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 公的年金は若い時代に働いて得たお金の一部を国が強制的に積み立てて個人に成り代わって運用し、老人になった時に年金という形で支払うという制度であると大雑把には理解されますが、これにはいくつかの前提があり、時代が少子高齢化に変化する中でひずみが出ているとの指摘がなされています。


 多くの企業のサラリーマンは厚生年金で個人企業オーナー、個人商店経営者の皆さんなど国民年金を掛けてきたということでそれが一元管理され運用されて一定の成果を上げて運用成果を加えて年金として還元していくこの制度には一定の安定性がありますが、どこかで矛盾を生じてしまう恐れがあります。


 それを補うのが個人年金づくりに向けた取り組みです。

 個人の皆さんが手元に潤沢な金融資産(例えば1億円)があれば一般的な個人年金づくりは簡単だろうというのは昔の話。1億円が手元にある方はない人に比べ恵まれてはいますが、あっても金利の視点では銀行預金に置いていても年間の利子は限られていますのでより高いリターンを求めて投資を考えていく必要があります。
 20年から30年という期間にわたって必要な老後資金をどのようにプラスアルファで得ていくかを考えていく必要がありそうです。


 投資は投機とは異なり一定のリターンが必ず得られてそれを年金の代わりに活用するパターンが求められます。

 それは家賃収入のための不動産投資であったりもしますが、流動性を考えて上場株式を中核にした運用が王道かと思われます。


 その株式投資でのリターンは主にキャピタルゲインとインカムゲインです。

 キャピタルゲインは値上がり益、インカムゲインは配当金収入となります。


 投資タイミングによってはキャピタルゲインの反対であるキャピタルロスも生じることが起きがちですのでキャピタルゲイン狙いよりもインカムゲインを主体にポートフォリオを構築することが求められます。

 また、企業収益の流れを研究して今後の収益向上余地の大きな企業に投資する成長株投資を柱にすることも年金づくりには重要です。


 この結果として投資家は高配当利回り銘柄と今後の成長期待の高い銘柄の組み合わせを図るとともに、リスク分散(時間分散、銘柄分散)を図ることで資産の意図せぬ目減りを防ぐ必要があります。
 こうした個人年金づくりのためのポートフォリオ構築にはそれほどの専門性が必要という訳ではなく、比較的簡単に個人年金ポートフォリオを自由に構築することができます。
 また、年代ごと、保有されている金融資産の大きさ、必要となる年金額ごとにポートフォリオ構築や運用方法が異なると考えられます。


 証券会社などの専門家も様々なアドバイスを行いますが、具体的なポートフォリオ構築をご自身と専門家が二人三脚で行うことでより強固なポートフォリオづくりができると考えられます。


 サラリーマン生活が7~8年の年代、つまり30歳そこそこから始められると大きな資産形成を早めに行うことができますし、40歳代、50歳代からのスタートでも特段の問題はありません。

 50歳代でも住宅ローンはあっても個人金融資産が既に5000万円を超えておられる方もお見えかとは思いますが、公的年金以外の個人年金づくりには以下のような狙いを持つと良いかと思います。


 国の公的年金は年収にもよりますが厚生年金で月額20万円~30万円と想定。これでも十分やっていけるとは思いますが、これに個人年金として株式配当金による収入を加えることで月額35万円~45万円程度の年金を得ることができれば住宅ローンを払い終わった方にとっては十分な余裕が生まれるかと思います。


 月額税引き15万円の配当金は年間で180万円、5000万円を株式に投資された投資家であれば配当利回り3.6%となります。マイナス金利の時代にこうした配当利回りを確保するのは至難の業なのかと思われがちかも知れませんが、実は日本の株式市場には多くの高配当利回り銘柄が存在しているのです。
 これは相場が上がっていく展開よりも下落トレンドでこそ有効なのですが、いきなり5000万円をこうした高配当利回り銘柄に投入する必要はなく、リスク分散を図りながらある程度時間をかけて年金ポートフォリオを構築する作業を行う必要があるということです。


1.銘柄としてはできるだけわかりやすい事業を展開している企業を選定。

2.社会の変化とは関係がなく何があっても社会に必要とされる普遍性のある事業を展開している企業を選ぶこと。

3.株主に対してどういうスタンスで事業を行っているかを沿革を紐解いて確認する。

4.配当利回り3%以上の銘柄の中で配当性向(利益の中からどれだけ配当に回しているのかの比率)の低い銘柄をピックアップ(これは担当の証券マンに依頼してはどうかと思います)
  配当性向100%で高配当利回りだという事例も多くなってきましたが、それは事業の内容にもよります。必ずしも低配当性向企業が良いという訳ではないですが、できるだけ会社に内部留保していざという時に備えている企業を選定したいと思います。

5.過去3期間の業績推移と今後3期間の業績見通しを確認して成長を指向している銘柄を選定。

6.配当利回りの高い銘柄から指標としてのPER、PBRが低位にある銘柄をできるだけ選ぶ。


 さて、まだまだ留意すべきポイントはたくさんありますが、企業を研究する時間をたっぷりつかってまずはポートフォリオ構築にふさわしい銘柄を選定する作業が求められます。

 年金づくりのための投資は今日買って明日売るという短期売買ではありませんので、これはという銘柄に対して少しづつため込む姿勢が求められます。
 ため込んでいるうちに相場が変調をきたしても配当利回りが下支えしてくれるということを念頭に弱気にならないことです。

 企業からの四半期ごとの情報発信をよりどころにしてコツコツと集めていくスタンスで取り組むことがポートフォリオ構築には重要です。


 場合によっては企業とのコミュニケーションも重要です。
 企業にはIR担当の部署もあります。株主や投資家とのIRに積極的かどうかも今後の株価の行方を占うためには重要です。


 少なくとも配当重視の姿勢で投資された個人年金づくりをめざす皆さんは投資して3年間は保有し続けるスタンスが求められます。
(株価が期待利回りの下限に来たら売却も検討すべきではありますが・・)


 配当は企業業績でいかようにも変化していきます。
 初年度が配当利回りが低くても2年目、3年目の配当金が増える可能性のある銘柄を選定すべきです。


 現状の収益がピークで今後中期的な業績低下が予測できる銘柄は避けたいところです。減配懸念が生じるためです。
 これはマクロ景気動向によっても左右されますが個別企業特有の場合もあり、絶えず注意が必要となります。


 皆さんにとってはできるだけ高配当利回りの銘柄を選ぶという点に焦点を置いた投資が個人年金づくりのポイントになるということを考えておきたいと思いますが、それだけで大丈夫かと言うとまだまだ奥の深い世界が存在すると言っても良いかと思います。

 今後、こうしたおおまかな考え方を補足してできるだけ皆さんの実際の年金構築に役立つ話をして参りたいと思います。


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)