本日は特別に、有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の最新号から、コラムの一部を掲載いたします。
 自立した投資家、石川臨太郎の最新コンテンツをお楽しみ下さい。


=コラム「増益修正や増配発表企業の株価が下落するのはチャンス」=
     (東京ラヂエーター製造に関して)

 (有料メルマガ第421回・2017/2/28配信号)


【前略】


 次に私が株仲間の雑談会に出した資料を載せます。

 カルソニックカンセイをファンド(=KKR)が買収したら、子会社の東京ラヂエーター製造を買収しないわけがないと考える。このペーパーは、その理由を説明するもの。

 カルソニックカンセイは東京ラヂエーター製造の株を5,770,000株(40.06%)持っている親会社です。

 東京ラヂエーター製造の発行済み株式総数は、12月末で14,400,000株ですが、自己株式として11,948株所有しています。

 カルソニックカンセイを買収したファンドは、
14,400,000株―自己株式11,948株―カルソニックカンセイ所有分5,770,000株=8,618,052株
を買うと、東京ラヂエーター製造の100%の株を手に入れることができます。

 カルソニックカンセイを買収したファンドが、東京ラヂエーター製造の持つ余裕資金である12月末の現・預金40.7億円+日産グループファイナンスに対する預け金57.2億円=97.9億円の金額内で、東京ラヂエーター製造の株を買えば、タダで東京ラヂエーター製造の100%の株を手に入れることが可能です。

 東京ラヂエーター製造は、後に確認しますが、現・預金と日産グループファイナンスに対する預け金を全部使っても事業には全く支障がありません。

97.9億円÷8,618,052株=1127.86円

 この金額以内で東京ラヂエーター製造の株を買うなら、自分の資金は使わずに東京ラヂエーター製造を100%手に入れられます。

 つまり、一時的にファンドの資金を使っても、買収した東京ラヂエーター製造に自社株買いさせて使ったお金を回収できるので、結果的にタダで東京ラヂエーター製造の100%の株を手に入れることができるという意味です。

 東京ラヂエーター製造は、投資有価証券も10.1億円持っているので、この投資有価証券を現金に換えれば、もっと高く買うことも可能だと考えています。

 東京ラヂエーター製造の全ての負債は85.94億円(=流動負債78.81億円+固定負債7.13億円)ありますが、受取手形及び売掛金82.0億円+在庫19.0億円=101.0億円という営業性流動資産で全てカバーしています。

(注)預け金について
(2016年3月期の有価証券報告書の開示情報を引用します)

『資金の預託及び借入については、日産グループファイナンス株式会社から提示された条件(利率等)を検討し、決定しております。この預託及び借入はキャッシュマネジメントシステムによるものであるため、取引金額については純額で表示しております。』



【その他の注目点 1】

 東京ラヂエーター製造の本社工場の土地の含み益の大きさ

 土地については、神奈川県藤沢市の本社工場の底地が公示地価格となっており、この価格を時価として計算すると42.4億円程度の含み益が見込めそうです。
 
藤沢9-1 1平方メートル当たりの価格 62,500円
工場の底地面積 88,254平方メートル
 
公示地価格を現在の価格として計算した時価 55.15億円
 簿価 12.69億円
含み益 42.46億円

公示地の説明
http://www.land.mlit.go.jp/landPrice/FullDataServlet?CLASS=0&NO1=14205&NO2=9&NO3=1&YER=2016&KENFLAG=false&MOD=2&SKC=14205&CHI=&YFR=2015&YTO=2016&YOU=7,9&PFR=&PTO=&LATEST_YEAR=

地図
http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet?LY=2016&TDK=14&SKC=14205&X=502004.65&Y=127385.366

 「自動車関連の工場が多い区画整然とした工業地域」という説明がなされています。

 この公示地の地図をみて、周囲の商業地や住宅地の公示地の価格が、藤沢9-1の1平方メートル当たりの価格62,500円の3倍近くもあることに気が付かれたと思います。
 藤沢9-1は用途区分が工業地だから価格が安くなっています。しかし、工場を移転して用途区分を住宅地や商業地に換えることは可能だと思います。
 すでに周辺は商業地や住宅地になっています。そうなると公示価格は一気に周辺の公示地価格まで上がります。もし売却するなら、それくらいの価格で売れる可能性が高いということになります。

 公示地の地図をよく見ると、工業地のままで売れば時価105.9億円(含み益93.21億円)と考えてもおかしくないし、住宅地に用途変更して売ると、時価144.7億円(含み益132.0億円)くらいで売れる可能性もあると思っています。

 そう考える根拠:
 
 藤沢9-1の公示地は用途地域が工業地だから62,500円と安いですが、この周りは住宅地や商業地になっており、すぐそばの公示地の価格は道を挟んだ反対側の住宅地藤沢-44が164,000円。商業地の藤沢5-17が175,000円。同じ道の同じ側の約300メートル離れた工業地の公示地である藤沢9-3ですら120,000円です。より商業地に近い公示地価格が半分ということはないと思います。



【その他の注目点 2】

 東京ラヂエーター製造はビジネスにも魅力があります。

 販売先はいすゞ自動車です。第2位の販売先はDMAXです。
 いすゞ自動車の国内向け商用車トラックに搭載される「ラジエーター」は全て東京ラヂエーター製造で生産しているということです。

 いすゞ自動車への売上は、東京ラヂエーター製造2016年3月期売上高の42.9%、(2013年3月期売上高の42.9%、2012年3月期は40.1%、2014年3月期42.2%、2015年3月期42.1%)を占めています。
 なお第2位の販売先はDMAXです。2016年3月期のDMAXへの売上は売上高の10.4%(2015年3月期8.4%)です。それ以前にはDMAXへの売上高は10%未満なので、有価証券報告書には販売先として出ていません。ここ2年間でDMAXへの売上高が着実に伸びてきていることが分かります。
(注)DMAXはアメリカにおけるいすゞ自動車(以下いすゞ)と、ゼネラルモーターズ(以下GM)とのディーゼルエンジン生産合弁会社です。

 つまり、いすゞ自動車という日本の大手のトラックメーカーは東京ラヂエーター製造の製品がないとトラックが作れないということです。

 東京ラヂエーター製造は収益力も安定していて強い企業です。
 東京ラヂエーター製造の純利益と一株利益の推移です。
 2014年3月期 11.81億円(一株利益 82.2円)
 2015年3月期 13.45億円(一株利益 93.5円)
 2016年3月期 13.88億円(一株利益 96.5円)
 2017年3月期予12.00億円(一株利益 83.4円)

 つまりカルソニックカンセイを買収したファンドは、ここ数年純利益で12億円から13億円稼ぐ東京ラヂエーター製造の含み益が巨額な土地と、製造と建物等17.7億円+設備等40.6億円+投資有価証券10.1億円=68.4億円をタダで手に入れることが可能です。

 ファンドがこれほど美味しい話を見逃すはずはないと考えています。

 もちろん東京ラヂエーター製造の1株を1127円などという安い価格で全部買うなんてことはKKRも考えていないでしょう。でもこの金額は、今日の終値より高いです。

 9月末の一株純資産ですら1290円あり、第3四半期の利益で増えているでしょう。
 どう考えても最低でも1300円以上。普通なら1株1600円から1800円くらいの価格でTOBされると思う。』


 私が雑談会に出した東京ラヂエーター製造に関する情報は以上です。


 雑談会は2月21日の午後4時から行いました。東京ラヂエーター製造の株価は1070円でした。

『もう十分上げたから、上がらないと思う』というのが株仲間の感想でした。
しかし東京ラヂエーター製造の株価は2月24日には1147円になりました。

東京ラヂエーター製造の直近の株価データです。
http://www.nikkei.com/markets/company/history/dprice/?scode=7235&ba=1

東京ラヂエーター製造の株価のチャートです。
http://www.nikkei.com/markets/company/chart/?type=3month&scode=7235&ba=1&n_cid=DSMMAA13

 2月24日には多くの企業の株が下げましたが、東京ラヂエーター製造の株価はかなり強い動きで上げています。私は東京ラヂエーター製造の出来高が増加してきていることにも注目しています。

 株価というのは上げたり下げたりで、一方的にどちらかに動いていくということはあまりありません。上下動のサイクルを描きながら『上か下』にゆるやかに動いていくことがほとんどですが、東京ラヂエーター製造の株価は、カルソニックカンセイのTOBに関する特別配当の権利落ちの日から堅調に上向いて上昇しています。

 私と同じように、東京ラヂエーター製造も親会社のカルソニックカンセイに続いてTOBされると考える投資家が増えているのだと想像しています。


【後略】


経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎


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 また、コラムでは、「注目していた企業の決算発表が行われ、期待したような増益修正や増配を発表する企業が多いにもかかわらず、株価が下落する企業が多いです。特に流動性の高い大型株には輸出関連企業ばかりではなく、内需銘柄でも下げが大きくなることが多いように感じます。これはチャンスだと考えて、動こうと思っています。」と題し、業績の裏付けがある企業の株価をウオッチして、安く投資できる様にするポイントなどを、自身の経験談を元に考察しています。

 さらに、東京ラヂエーター製造のTOB考察と、魅力的な3月優待企業5銘柄を取り上げております。

 今回も濃厚の渾身のレポート満載です。

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【2016研究銘柄パフォーマンストップ3】

 1月12日~11月22日配信分 全45銘柄 12月16日現在

 1位 エージーピー(9377)+233.33% 3月29日配信
 2位 エージーピー(9377)+213.68% 8月9日配信※
 3位 東京ラヂエーター製造(7235) +117.09% 7月5日配信

 ※この銘柄は2回配信しました。

 パフォーマンス分布
 +100%以上   3銘柄
 +50%~100% 2銘柄
 +25%~50% 14銘柄
 +10%~25% 15銘柄
    0~10%  8銘柄
 0%以下      3銘柄

 42勝3敗となりました。なお、配当・優待は加算しておりません。
 詳細は、コラム銘柄も含め、近日中にWebへ掲載します。


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詳細は http://www.iforum.jp/magazine.htm をご参照下さい。

過去サンプル(研究銘柄)
 銘柄研究 ニチリン(5184)
 銘柄研究 帝国電機製作所(6333)


過去サンプル(コラム)
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 新たな金融政策で、出遅れている日本株の見直しに期待(2016/09/27)
 特別掲載 バランス・シートを読むための簡単な知識(2)
 現代の錬金術である株式投資を使って、老後の生活を少しでも豊かにしようとするための心得(2012/10/30)
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