皆さんご存知の通り、東芝が巨額の損金計上で債務超過に陥るなど存亡の危機に陥っています。
本来は日立と並ぶ日本を代表する重電メーカーで多くの投資家に親しまれてきた同社ですが、不正会計問題に続く米国WH社の原子力事業でのつまずきで大きく事業規模を縮小せざるを得ない状況になってきました。
債務超過の解消に向け残りの半導体事業も一部売却を余儀なくされ、これから建て直しに向け動くことになるでしょうが、ぜひ日本国のために頑張って頂きたいと願うばかりです。
さて、この東芝もかつて日本の高度成長時代とともに成長してきた社歴を持っています。
歴史の教科書にも載るような事業の沿革を知ると東芝という企業の本来の価値が読み取れます。
企業は上場した以上はステークホルダーのために事業を発展させ、得られた利益を原資に従業員や株主に分配していく一種の社会インフラだと考えられます。日本国内から飛び出して世界市場を相手に事業展開を図った企業には相応のリスクもある代わりにリターンを上げるチャンスももたらされます。
普通では考えにくいような巨額の損失を発生させた東芝のような問題はもしかしたら他の上場企業も内包している可能性があります。
NYダウの上昇が続く中で日本株がやや停滞気味なのもそうしたことに起因しているのでなければと案じられます。1民間企業の問題と片付けられない不安な思いを抱いている投資家の皆さんも多いのではないでしょうか。
ところで株式市場にはおよそ3650もの企業が上場し、それぞれに成長に向けたビジネス展開を図っています。
最新四季報(2016年12月16日現在)によると東証1部が2002社、東証2部が533社、マザーズ227社、JASDAQ760社となっています。これら以外にも名古屋1部、2部、セントレックス、札幌、同アンビシャス、福岡、同Qボードに465社(重複を含む)が上場しています。
毎年100社ほどのIPO企業がありながらこの数は今から16年ほど前の3600社に比べ大きく増加している訳ではありません。これは企業倒産や上場廃止などによって市場から退出した企業があるからに他ありません。
株式市場では新陳代謝が進み、新規に上場する小規模ながら成長性の高い企業と疲弊し上場をあきらめた企業が入れ替わっている訳です。
中には先般、三越伊勢丹に買収されたニッコウトラベルのようなオーナー経営の企業で資本の移動によって上場を廃止するケースも見られます。
市場は二極化していますので今後上場企業同士の資本移動が盛んになることも考えられます。
結果にコミットするというTVCMのフレーズで有名になったRAIZAPグループ(2928)は立て続けに6社のやや疲弊した企業を子会社化し、急速な事業拡大を図っています。
その成否は未知数ながら10年余り前に札幌アンビシャス市場に上場した美と健康をテーマにした同社の積極拡大への取り組みは注目されます。
IPOしたばかりの企業のすべてにそうした成長への取り組みを期待することが困難ですが、比較的年齢が若い経営者に率いられたIPO企業にはアグレッシブなビジネス展開を図ろうとする企業も多く、そうした成長期待の高い企業を見出していかれることは投資の醍醐味と言えます。
株価は既にそうした成長性を折り込んでいる可能性もありますが、投資家の皆さんは、企業のIR活動の中で得られた様々な情報を基に、時間をかけながらじっくりと成長株を見出し、じっくりと投資されていくことが成果につながるものと期待します。
今年も既に1月から2月にかけ合計6社がIPOを果たしました。
上場時は「身の引き締まる思い」という感想を漏らす経営者が多いのですが、それが意味することは多くの投資家の熱い期待を背に受けての思いであり、それがゴールではなく始まりだとの意味合いだと思います。
まだ先行きの事業がどうなるか海の物とも山の物ともわからない時期に大きな期待をして頂いたことへの感謝の言葉がこうした表現になって表れているのかも知れません。
本当はその後の株価を巡っての終わりのないバトルが開始されたことを念頭に置いての発言なのかも知れませんが経営者にとっては責任重大。IPOを機に業績を向上させる意欲を示すのが本筋ではあります。
3月には一気に22社がIPOして参ります。
中にはインターネット市場調査のマクロミル(3978)やオークネット(3964)のように再デビューする銘柄も見られますが、多くはマザーズやJASDAQに新規上場する銘柄です。
皆さんも真の成長銘柄を探し当てて大きな投資成果を出して頂きたいと思います。
(炎)
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