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3月決算銘柄の配当落ち後の投資スタンス
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3月決算銘柄の配当落ち後の投資スタンス

2017-03-29 13:59
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     皆さんが保有されている株式の大多数の決算期を占める3月期決算銘柄の権利配当落ちを明後日に控え、明日が配当取りの最終の約定日となります。
     つまり明日までに投資した株には配当がついてくるということになります。

     それではそれ以降はどうかと言うと3月決算の場合は、その翌日に実施する配当分の株価が落ちる配当落ちを行います。約3700銘柄のうちの多くがこの日に配当落ちとなりますので市場全体でも配当落ちの日には一定株価分だけ機械的に安くなります。


     それでは配当落ち後に買おうという投資家も出てきますので、どっちが得かは市場環境にもよりますので何とも言えませんが、投資家は配当落ちまでの株価の動きを見ながら判断をされることになります。


    【配当利回り3.39%のA銘柄の場合】


     時価854円で期末配当金15円(中間決算で14円配当実施、年29円配当銘柄)を予定しているA社の場合について

     A社は地味ながら過去4期間にわたり増配を続けてきました。
     今期で5期連続の増配となります。

     また、同社は配当性向20%~30%を掲げており、来期も増配の可能性があります。
     但し今期は期初予想を期中において下方修正しており、業績は前期比大幅な減益が見込まれています。一方で受注は堅調で今期の大幅減益から来期は増収増益が見込まれています。

     今期の予想EPSは108円で来期は144円が見込まれています。
     時価は今期予想PER7.9倍に留まっており来期は5.9倍が見込まれています。
     PBRは3Q末のBPSが1503円で0.57倍に留まっています。

     指標面では割安感がありますが、他にもこの程度の銘柄は数多く見られますので、極端な割安感はないと思われます。

     また、配当面では今期の配当利回り(1日で配当が得られる)が3.39%となっており、比較的高い利回りを得るチャンスがあります。
     また、来期の業績が堅調に推移するとの見通しから来期も増配が見込まれるとしてEPS144円に対して配当性向25%とした場合、年36円の配当が期待されるものの、今期のような期ずれの工事が発生したと仮定してEPSを前年比10%増程度に見込んだとしてもEPSは120円。
     配当性向を25%として30円程度、30%とすれば36円が期待されます。
     この配当見通しは未知数ながら増配期待が残っています。

     新四季報では来期の配当について最大で31円を予想しています。
     なぜ増配が可能かと言うと同社は毎年キャッシュを積み増していて大きな投資を行わないできているからです。結果としてROEが低下します。
     ROEを低下させないためには積み上げてきたキャッシュを配当として株主に還元するか、積極的に投資に回すしかありません。

     明日同社株に投資した投資家は、15円配当を得ることができますし、半年すればまた同額以上の配当金を得ることになりますし、1年後には再び期末に16円程度の配当金を得ることになると想定されます。

     一方で多くの株主は同社株を株価水準が700円以下の安い水準(配当利回りは4.1%以上)から保有してきた投資家が多いため無理して売却する必要はないと考えている可能性があります。
     ですから市場で売買される浮動株は限られていると見られます。

     高配当利回りの銘柄をいくら下方修正されたからと言って無理して売る必要はないとの理屈が成り立ちます。

     同社の直近の高値は908円。
     時価は高値から54円分の値下がり水準です。
     これは年間29円の配当金に換算して約2年分に相当します。

     単純に言うと高値で投資した投資家はこれを配当で補うために2年間保有しないとならない計算です。

     さて、28日の終値が仮に今日と同じ854円だとして29日は単純に15円分の配当落ちが考えられますので配当落ち後の基準株価は839円となります。
     ここから1年後の配当落ちに向けた紆余曲折が再び始まることになります。
     仮に31円配当を同社が来期において実施するとなれば配当利回りは3.69%となります。
     この株価は変動を続けますが、配当金が一定なら下げれば下げるほど配当利回りは高まる理屈です。

     一方では配当金が減る場合や増える場合も想定する必要がありますが、ファンダメンタルズの動向を踏まえて減配が考えにくいとなると株価は期待利回り水準(市場全体では1.6%前後)までは上昇する余地が生まれます。
     仮に期待配当利回りを2.5%としただけでも配当金を31円として株価は1240円となる可能性が生まれます。
     この株価水準はPERで8.6倍(EPS144円が前提)、PBRで0.83倍となります。

     決して平均的な評価では割高な水準ではないことになります。
     いつの間にか多くの投資家がこの水準で同社株を取引きしていることになるのかも知れませんが、そのためには同社の業績が今後も着実に安定した成長を辿ることが必須の条件と言えます。



     配当を目当てに買うかキャピタルゲインを獲得するために投資するかいずれにしても基本的には対象となる銘柄の業績が堅実に推移している必要があります。
     この段階ではこの銘柄のように来期の業績展望を踏まえての中長期スタンスでの保有に耐えられる銘柄かどうかが重要なポイントと言えます。


     皆さんもぜひこうした格好で保有銘柄を吟味して配当取りを念頭に中長期スタンスで投資されますとじっくり安定した投資ができるものと期待されます。


    (炎)


    【祝!!赤ちゃん誕生!!!】

    月曜日の億近で熱いレポートですっかりおなじみになった相川伸夫氏に、赤ちゃん誕生のお知らせが私のところに、御本人から興奮気味に昨晩、舞い込みました。この場を借りて心よりお祝い申し上げます。

     これからも良いパパ、夫となって円満家族を築いて下さい。

     出産の立ち会いに追われ、本日掲載予定していた相川氏のコラムは休載となりますが、落ち着いたらまた執筆の予定のようですので皆さん、今しばらくお待ちください。

    なお、お祝いメッセージは随時事務局宛てにお送り下さい。
    okuchika.mail@gmail.com

    宜しくお願いします。


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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