先週末に行われたフランス大統領選挙第1回投票の結果は、中道派でEU支持のマクロン候補優勢のうちに、極右EU離脱派のルペン候補との5月7日の第2回目投票が決まりました。その後の世論調査もマクロン候補リードが伝えられ、一旦は、不安心理の解消で、ショート買い戻しを軸に、EUがらみでのリスクオフは後退しました。
売られていたフランス国債やフランス金融株は買い戻され、ドイツ国債とのスプレッドは縮小、通貨ユーロも対ドル、対円で大きく買い戻されました。
一方、米VS北朝鮮対立の地政学リスクも、注目されていた25日の北朝鮮人民軍創設記念日に訓練以外で軍事行動とされる行為は行われなかったことから、しばしの一段落となり、リスク回避通貨とされて買われてきた円は、対ドルで111円台まで戻し、質的逃避で一時2.1%台まで買われた米国債10年物は2.3%に利回り上昇しました。
フランス大統領選挙に関しては、今後5月7日最終投票までに、ルペン氏が台頭してマクロン優勢が変わる可能性も否定はできません。また、北朝鮮VS米がらみも突発的な何かが起こる可能性もないとは言えませんが、市場は心理的にこれらのイベントにやや慣らされた感あり、売られたところは拾い場というコンセンサスもできつつあるように見受けられます。
ただ、フランスでは6月の行われるフランス総選挙もあり、結果次第では国の運営が難しくなる混乱も考えられ、その後に不安が残ります。中道左派・独立系のマクロン氏が、共和党、社会党中心となるだろう議会の支持と協力を得られるかどうか。勝利の後も、なかなかの難問と試練が待ち構えているかもしれません。ルペン大統領なら、さらに混乱するでしょう。
加えて、ユーロ圏では、イタリアの総選挙の可能性もあります。反EUを掲げる政党が台頭した場合、市場心理にはネガティブとなるでしょう。今後もユーロ存続を常に試される場面が待ち受けます。
ユーロ圏の金融政策運営も、今に始まったわけではありませんが、問題が多いです。景気回復好調のドイツと何かと問題が多いその他の国との違いが、常に存在します。
今年に入ってから現実味を帯びてきた量的緩和のテーパリングも実行するにあたっては、国による違いが壁になるかもしれません。各国の状況は様々ながら「政策は一通り」しか選択できないですから。
明日27日には、欧州中銀ECB理事会が予定されています。終了後のドラギ総裁会見が注目されます。
さて、就任100日を4月末に控えたトランプ米大統領ですが、本日26日に税制改革を発表する予定と伝わっています。議会と上手く交渉できない状態は、特に2期目のオバマ政権にも似通っているともいわれます。
間近に迫った暫定予算の期限切れには問題ないとは言われますが、元来主張してきた政策遂行のための財源確保交渉をどのように実行していくのか、就任100日後の本格始動が注目されます。
トランプ大統領が、北朝鮮への威嚇という隠れ蓑で時間稼ぎをしている間でも、米国では企業決算は良いものが多く見られ、また、指標にバラつきはありながらも米経済は好調さを保っているとみられます。そんな中で、今週金曜日28日に今年の第1四半期GDP速報値(大方の予想1.0%~1.2%)が発表されます。
米国経済の回復を背景に、正常化に向けて利上げに動いている米FRB。次回利上げ実施は、約7割の確率で6月実施がコンセンサスとされています。さらに、以前から言われているように、バランスシート縮小への動きも現実味を帯びてきています。
イエレン議長は、ご自身の任期2018年1月までに金融政策の正常化を整えていくのだろうと推察します。
元に戻りますが、今夜は米国の税制改革が発表される予定です。国境税は見送りとの情報も見られます。発表内容により失望感で売られる場面があれば、押し目を拾うチャンスかもしれません。
先週までのリスクオフ状態は、やや緩和してはいますが、今週末から日本のゴールデンウィーク。北朝鮮がらみの地政学リスクはデリケートな状態が続いていますので、ゆっくりとした気持で休暇が過ごせるように、投資リスク管理には気をつけておきたいところです。
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※4月26日東京時間午後3時執筆
本号の情報は4月25日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)