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決算発表シーズンがピークを迎えた株式市場は日経平均の2万円大台乗せを目前にしており、投資家の関心が再び高まっています。
一気に2万円台乗せとはいかないところがむしろ買いのエネルギーをため込み、次の上昇相場を長続きさせるのではとポジティブに考えておきたいと思います。
日経平均やTOPIXなど主力銘柄に主役の座を奪われた格好の中小型株指数ですが、実際にはJASDAQ指数が高値を更新するなど堅調な相場展開となっています。IPO銘柄との関連が大きいマザーズ指数はまだ3月13日の高値を抜けていませんが、上昇トレンドが継続しており、早晩高値更新が期待されます。
主力銘柄への関心が高まる一方で関心が薄れたと見られた直近IPO銘柄も上場後に調整を余儀なくされた結果、割安感が強まった銘柄も見られ好決算発表とともに物色気運が高まっている銘柄も見られます。
先週10日に2017年3月期決算の発表を行ったウェーブロックホールディングス(7940)はその典型です。同社は過去上場していたこともあるのですが、地味な業態で高い評価はなされませんでした。
この結果、4月10日に東証2部にIPOした同社株の初値は公開価格750円を下回り721円と公開価格を割ってしまいました。その後の安値は619円で株価の低迷が続きました。そうした中、同社は5月10日に決算を発表。前期の業績は前期比87.5%の経常増益(16億96百万円)となるなど予想を上回る好調な決算となりました。
今期の経常利益も前期比3.2%増の17億5,000万円と堅調な見通しです。本日までの発表後の3日間で出来高を伴いながら一気に1031円まで買い進まれました。
なお、本日はストップ高でした。
本日の終値1031円は今期予想EPS128.29円に対してPER8.0倍にしか過ぎませんので明日以降も大商いが続く可能性があります。
11日から本日までの3日間で累計出来高が2689万株にも及び、発行済み株式数1112万株の2倍以上にも達しています。短期投資家と中長期投資家の積極的な関与が伺え、出来高の急増は新たな有力投資家の関与を伺わせます。
同社のような合成樹脂セクターの企業は一般的に評価は低いのでIPO時に不人気だったのは致し方ないのですが、優良企業であるサンゲツとの提携などを実行するなど比較的地味な中に成長意欲を備えた会社だと改めて評価したいと思います。
【同社の特徴】
社名の「ウェーブロック」とは糸を波状に挟んで強化したプラスチックシートの名前で、同社は特許を保有するイタリア人から技術を導入するため、1964年6月に日本カーバイド工業など3社の均等出資によって設立されました。
現在は住宅用壁紙を柱に、買収したダイオ化成で展開する農業用ネットや網戸用など合成繊維製の網製品、工事用シートなどの産業用資材・包材、自動車用内外装部品などを製造・販売しています。
同社はかつて東京証券取引所第2部に上場していたが、原材料価格の高騰やリーマンショックを受けて経営が悪化。大株主の売却意向を受けてみずほ系のMBO(経営陣が参加する企業買収)ファンドによる買収で、2009年7月に上場廃止になりました。
その後は事業子会社や工場の再編、中国工場の立ち上げ、新規事業の取り組み、壁紙販売最大手サンゲツとの資本業務提携などを実施するなど経営向上に向け邁進。前期業績は大きく向上し、7年9カ月ぶりに再上場を果たしました。
再上場なので厳密にはIPOとは言えませんが、見落とされがちの地味な銘柄にもリターンを上げるチャンスがあるということが言えます。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)