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 今朝日本時間未明の北朝鮮のミサイル発射にも拘わらず、感謝祭休暇明けに始まった米国の税制改革案審議の前進や、28日に行われたパウエル次期FRB議長の指名公聴会での発言中でされた金融規制緩和への方向性を好感し、リスク選好の動きとなりました。

 米国の税制改正審議は、年内成立を目指して進んでいますが、基本的に企業優遇、一方で家計の負担は増える税制改革ですので、株式市場にはプラスに作用するものと予想されます。
 ただ、家計負担増が個人消費への影響はどのように出てくるのかは、今後注目しておきたいところです。また、税制改革期待を大きな材料にしてきた米国株式市場に年内成立は材料出尽くしとなる可能性もあります。ここも気にしておきたいところです。


 今週末から早12月に入ります。米国の金融政策を決めるFOMCは12~13日に予定され、昨日のパウエル(FRB現理事、次期議長)も12月の利上げには根拠がある旨を言われていましたが、市場予想でも96%という高い確率で利上げが示されていますので、既に12月の利上げは織り込み済です。注目となるのは、来年からの利上げがあるかポイントになるでしょう。

 直近のデータでは、5割程度の確率で3月にもう一段の利上げが予想されています。ただ、今年も何度も議論にあがったインフレ率の低迷をどう見るかが利上げ判断のネックになると言われてきました。構造的な課題があるのか、循環的な問題なのか等、インフレ見通しを見る上で議論されるのではないかと推察します。パウエル次期議長がどのような基準で判断されるのかに注目が集まっていくものを思われます。パウエル氏は、ほぼ現議長のイエレン氏と考え方はほぼイコールという見方も出てはいますが、就任してからの発言を注意深くチェックしていきたいと思います。


 一方、前号でも取り上げました米国債券市場でのイールドカーブのフラット化はじわじわ続いています。インフレ率が伸びないにも拘わらず利上げをした場合の引き締め効果が現在の好調な景気を減速させるリスクを感じ取っている表れではないかとも見られます。金融の正常化への金利面でのステップは、今回の12月利上げで一旦完了して、インフレデータ次第を重視しての判断になっていく可能性も高いと思われます。

 因みに、米債10年物利回りは直近2.32%、一方2年物利回りは1.74%、金利差0.58%(今月初では0.76%)と縮小が続いています。


 そんな中でのドル円相場。
 明日は11月月末なので、現水準(111円台)で終了した場合には3か月ぶりの陰線引けとなります。27日につけた110円84銭は2か月ぶりの安値でした。月初は112円~113円台で推移していたものの、ドイツの連立政権協議での決裂というニュースでユーロ円の売りもドル円下げに繋がったフシがあります。111円割れでは、買い需要も見られるものの、上値も限定的です。

 ドルの長期金利の頭が重いこともドル相場に影響しているように思います。
 ドルの相対的強弱を示すドル指数のトレンドは下落傾向が続いています。
 今後、年末にかけて、流動性が薄くなることも予想されるマーケットですが、クリスマス休み前に今年最後の一花咲かせの相場があるかもしません。持ち高は軽くしておきたいと思います。


 欧州では、総選挙後のドイツが連立虚偽に難航してメルケル政権の発足に問題が発生し通貨ユーロの売り材料になりました。二大政党が議席数を減らし、極右が第三の政党になったため、連立には困難があります。今後、連立が成立しないと、選挙やり直しもあるとも言われます。結局、第4次メルケル政権無事発足との声が多数ですが、今後の動向が気になります。
 その他、イタリアでは政治の混迷が続いていて、来年前半に総選挙があると見られ、イタリア政治は引き続きリスク要因として働きそうです。


 EUとの決別の作業が続く英国では、英国側の要望通りには進んでおらず相当厳しい条件になるものと伝わっています。伝わってくる交渉状況や関連する事象によって、英国ポンドは乱高下(元々乱高下が多い通貨ですが)して、その動きが他の通貨、特にユーロに影響することが多く見られます。乱高下するため取引きの対象としては難しい通貨ですが、他の通貨への影響を考えると、その動きだけでもチェックしておいた方が良いと思います。


 今週末から12月入り。今年もきっちりと〆られるようにベストを尽くしていきたいですね。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※11月29日東京時間15時執筆
 本号の情報は11月28日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)