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書評:未来の年表
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書評:未来の年表

2018-03-02 10:04


     ご存知の通り、我が国は将来へ向けての様々な問題を抱えています。

     その代表的な問題として高齢化が挙げられます。


    「人類未曾有の超高齢化社会」

    「社会保障は1人の老人を1人の若者が支える肩車型」

     こういったキーワードを耳にする事は、最近では日常茶飯事となっています。

     では具体的に、日本の人口1.27億人がいつ・どのくらいの割合・スピードで高齢化するのか?

     高齢化すると世の中はどう変わるのか?

     具体的にイメージ出来る人はそう多くはないのではないでしょうか?


     今日ご紹介する本は、社人研(国立社会保障・人口問題研究所)が発表している人口推計が実際のものとなった場合の日本の姿を予想した、なかなかショッキングな内容となっています。


     未来の年表
     人口減少日本でこれから起きること
     著者:河合雅司 (講談社現代新書)
     http://amzn.to/2Cv0ry2


     それでは本書の内容をご紹介していきます。


    ◆未来予測の中でも正確性が高いと言われる「人口推計」

     現代は変化の激しい時代で、数年後には何が起きるかを予測することさえ難しくなっています。

     新聞や経済誌で経済予測や為替予測を専門家が発表しているのをよく見かけますが、予測が的中することは稀です。
     それだけ予測が難しいことを意味しています。

     しかし、人口学に基づいて作成される人口推計は経済や社会予測と比較して遥かに正確な予想が可能と言われていますが何故でしょうか?


     人口は、『出生』・『死亡』・『移動』という三つの独立的な要因の総合効果で決まります。
     たった3つの変数で予測出来ることが、正確性が高い理由だと言われています。

     社人研が5年ぶりに改訂した「日本の将来推計人口」を駆使して、日本の未来図を描いた内容となっています。


    ◆日本の将来推計人口(平成29年推計)

    ※中位仮定の場合

    2015年
     総人口: 1億2,709万人
     生産年齢人口:7,728万人(60.8%)
     老年人口:  3,387万人(26.6%)
     年少人口:  1,595万人(12.5%)

    2040年
     総人口: 1億1,092万人
     生産年齢人口:5,978万人(53.9%)
     老年人口:  3,921万人(35.3%)
     年少人口:  1,194万人(10.8%)

    2060年
     総人口:   9,284万人
     生産年齢人口:4,793万人(51.6%)
     老年人口:  3,540万人(38.1%)
     年少人口:    951万人(10.2%)

    2065年
     総人口:8,808万人
     生産年齢人口:4,529万人(51.4%)
     老年人口:3,381万人(38.4%)
     年少人口:898万人(10.2%)


     50年後の総人口8,800万人は戦後1950年頃の日本の総人口程度ですが、大きく異なるのはその構成内訳です。

     子供が10人に1人、一方、高齢者は2.5人に1人、働くことが可能な年齢の人は2人に1人です。

     この内訳が映し出す未来はどんなものなのでしょうか?


    ◆人口減少イベントカレンダー(抜粋)

     本書内では人口減少によって今後起こることをカレンダー形式で時系列に説明しています。抜粋でご紹介します。

    2017年
     おばあちゃん大国に変化
     日本人女性の3人に1人がすでに65歳以上

    2020年
     女性の2人に1人が50歳以上

    2022年
     「ひとり暮らし社会」が本格化する
     独居世帯は3分の1超

    2025年
     ついに東京都も人口減少へ

    2027年
     輸血用血液が不足する

    2033年
     全国の住宅の3戸に1戸が空家になる

    2039年
     深刻な火葬場不足に陥る

    2040年
     自治体の半数が消滅の危機に

    2065年~
     外国人が無人の国土を占領する


     いかがでしょうか?
     全然楽しそうな未来じゃなくて残念どころか少しぞっとしますね・・・。

     勿論、的中する未来予想図ではないですが、少なくとも「今のままでは」こうなってしまうだろうという話です。


     本書では、これらの仮説についての具体的説明がされています。

     また後半部分では解決策として「戦略的に縮む」ことを提言しています。


    ◆大事なのは年表に怯えることではない

     本書を手に取る上で重要なのはショッキングな未来予想図に怯えることではなく人口推計が現実となった場合の「日本の規模感」を頭にイメージ出来るようになる事だと感じました。

     今後、私たちが長い社会経済生活を営む上で、この規模感を持っているか否かで、随所での重要な意思決定に大きな違いを生むと思うからです。

     例えば住宅を買おうと思う時。
     転職を考えた時。選挙で投票をする時。
     あるいは、子どもの進路について助言するとき・・・

     これらの情報を知っているか否かでは、意思決定が異なる。
     私はそう思います。


     みなさんはいかがでしょうか?
     ご興味を持たれた方は、是非ご一読いただき感想などをお寄せいただければ嬉しいです。


    (梶原)


    プロフィール:梶原真由美(かじはら まゆみ)
    ファイナンシャル・プランナー
    日本ではまだ珍しい顧問契約制のFP会社である
    株式会社マネーライフプランニング所属。
    1976年千葉県生まれ。40歳で出産、
    12歳年下の夫と長女の3人家族。


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    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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