米国の中間選挙を控えた10月、2月に続き今年2回目の株式市場の大きな下げとなりました。直近では、下げも十分出尽くしたのか、月末要因での調整なのか、今週はリバウンド期待も出ていますが、11月6日の中間選挙を前に大きく動きにくい展開が続きそうです。
そんな中、今週は、本日行われている日銀金融政策決定会合、また11月2日金曜日に発表される10月分の米国の雇用統計が注目のイベントです。
日銀の決定会合は現状維持の予想が大半ですが、会合後の会見での昨今の市場についての総裁のコメントは関心がもたれるところです。
一方、米国雇用統計の10月分は、フロリダ州に上陸した大型ハリケーン(「マイケル」)の影響もあり、数値通りに雇用の実体を把握できるか疑問視する向きもあります。
リリースされた数字による相場への影響は限定的になるかもしれません。
市場予想は、失業率3.7%(前月横這い)、非農業部門雇用者数+19.5万人(前回13.4万人)、平均時給前月比、+0.2%(前回+0.3%)(調査数値はブルームバーグから)です。
今回は、来週の米・中間選挙の結果待ちで相場への反応は期待薄とされています。ただ、今年は2月も10月も雇用統計結果による金利上昇が株式市場動向に大きく影響しましたので、やはり注目しておく必要はあります。
その米国の中間選挙。
事前調査では、上院では共和党が過半数維持、下院は民主党が多数派に?との見方が有力と伝わります。この「ねじれ」予想通りの結果なら、大きな影響はなく過ぎると思われますが、両院を民主党が押さえるとなると、今後の展開についてイメージするのに混乱が起こり、市場の見方が収束するまで時間がかかるように思います。
10月は、世界株安連鎖が続いた中、「米財務長官による対日為替条項の要求」、「英国EU離脱交渉の行き詰まり」、「サウジアラビア人記者の殺害事件の謎による中東不安」「米中貿易戦争による影響」「イタリア財政問題」など相場の重石になる事象が多発しました。その割には、ドル円相場の下値は限られていたという印象があります。
トランプ米大統領は、米国の利上げについて批判コメントを述べていましたが、米金利の動きには大きな影響を及ぼしておらず、10年物米国債利回りは株安場面でも3%を切らず、12月のFRBによる政策金利上げは市場の大方の予想するところです。
ドル高の背景には、基本的には金融政策正常化のプロセスにある米国金利と利上げへの道が遠い国との金利格差があると思われます。
また、欧州に見られるように、イタリアの予算案が欧州委員会に提出されるも、原案は差し戻され再提出となるイタリア政治不安。経済的には、欧州の直近のPMI(景気指数)の予想外の悪化。中国経済悪化の影響とも言われます。政治的な面で付け加えれば、反応は限定的ながら直近のメルケル現首相の敗退による任期満了での引退表明。と、欧州、パッとしません。
ユーロ相場は、一時のレンジ1.15-1.17から下離れして、1.13台で上下の動きです。
そのEUからの離脱交渉が難航している英国では、2019年3月29日のEU離脱を前に、「合意なきEU離脱」リスクが懸念されています。
通貨ポンドは、今年8月の安値1.26台を試しに行くような下落基調。このあたりのポンド下落の動きも、今回のドル高の背景ともなっているでしょう。
明日から11月。年末を意識する時期。
12月決算が主流の欧米では、例年、年越しの資金手当てが活発化してドル金利上昇要因になります。また、多国籍企業の本国への資金回帰(リパトリ)もあり、季節的にドル需要が高まります。
年内に注目される政治的イベントとして、11月末(11月30日~12月1日)に行われるG20の場で、米中首脳会談が予定されていると伝わっています。米中貿易戦争の行方が気になります。
来週の米国中間選挙の結果、季節要因、諸々の事象を冷静に見ながら、11月をイイ月にしていきたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
※10月31日東京時間12時執筆
本号の情報は10月30日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)