11月3日のセミナーには多くの皆さんに足を運んで頂きました。
心より感謝申し上げます。
また熱心に耳を傾けて頂いたことにも重ねて御礼申し上げます。
セミナー開催を前に起きた出来事は全体相場の波乱でしたが、リスクを感じさせる波乱の局面こそチャンスでもあり、お見えになった皆様の今後の投資成果が多少でも向上しますことを切に願っております。
山あり谷ありの株式相場の中で着実に経験を積み重ねながら株式投資を実践し成果を高めようとされている皆様にとって多少でも参考になったのであれば幸いです。
全体相場の波乱から個別銘柄の株価にも影響が及んでいる今日この頃ですが、株価下落の中にこそ投資チャンスが存在すると考え、地道に銘柄研究を行いながら投資タイミングを図る皆さんの運用成果の向上を祈願したい。
3日のセミナーでは具体的に投資対象の一つとなる典型的なバリュー銘柄を取り上げたが、その典型的なバリュー銘柄の株価が久々にこのところ大きく値を下げてきた現実があります。
全体相場がいかに大幅調整しようと投資価値のあるバリュー銘柄への投資は値下がりのリスクを軽減するだろうというやや消極的な発想で臨んではいましたが、その背景となる企業努力に問題があっては万事休すです。
例えば一時900円割れまで売られたテノックス(1905)株は典型的なバリュー銘柄と言えます。
同社の事業は社会インフラの中でも重要な要素となる基礎工事や地盤改良の分野。地味だが高度な技術開発が求められる分野ですが、同社は業界内でも技術開発に熱心な少数精鋭主義で運営されてきた特殊技術の会社でもあります。
地震大国、日本を支える基礎工事の会社への評価があまりに低いのを見ていてこれでは話にならないという思いから筆者は過去5,6年前から長期スタンスで同社に対して注目してきたという経緯があります。
その結果として株価は400円台から上昇を続け昨年11月には1355円という高値までついてきたというのが同社の株価の変遷です。
同社に対してご存知、相川伸夫氏にも注目をしてもらっていますが、先般来の取材申し込みを中間決算発表後にしてほしいと言われて、そのままの状態になっている中で今回の900円以下の株価下落につながったというのがホットな株価の背景です。
とにかくバリュー銘柄と言われるままに評価されている企業は地道にIRができていない。個別の事情はさておきテノックスはその典型的な事例かも知れません。
現在公表されている今期予想EPS100円に対してBPSが1625円、一株当たり配当金30円、しかも無借金で保有現預金が約80億円に及ぶであろう銘柄の株価が904円。時価総額63億円。PERは9倍、PBR0.56倍、配当利回り3.3%ですので普通では考えにくい株価形成ですが現実に9日の中間決算を前に売り込む投資家の存在はやや予想外でした。
昨年の今頃に起きた工事の不具合問題がまた今年も発生する?なんてブラックジョークのような懸念材料でもあるのであればともかく、同社の企業評価は指標面では明らかに売られ過ぎだと言えそうですが、現実に投資家がやたらと売りを出している背景が何か、不気味なのが漠然とした不安感を募らせてしまいます。
同社株を1000円前後からコツコツと投資してきた一部の投資家はまったくの期待外れで泣いているのかも知れませんが、当面は1Qの業績進捗が高かったので2Qが赤字に転落などしない限りは通期の業績上方修正が期待される点を拠り所にした投資に心がけたいところです。
いつになったら6月に就任した新社長が表に出て今後の事業展開についてアピールするのかと言われそうですが、筆者はその時期を心待ちにしています。
恐らくこうしたバリュー銘柄が想定外に売られる事例は市場の中にたくさん見られる現象なのかも知れません。
とりわけ、同社と同じセクターの属するゼネコン各社などの高収益ぶりを横目に評価が低下している現状をどう見たら良いのか、最大の問題はオリンピック以降の同業界の位置づけになりそうです。
つまり別の視点での評価が加わっての株価下落をどう見たら良いのかになってきます。
例えば東証1部銘柄の中堅建設会社の松井建設(1810)などもそうした部類の銘柄です。中間期を上方修正したのに通期は減益のまま変えていない。株価820円はPER7.8倍。実績PBR0.67倍、配当利回り2.9%、今期2期連続の経常減益見通しの47億円で時価総額251億円に留まっている無借金経営の企業をどう評価したら良いのかなど随所に見られるバリュー銘柄の混迷ぶりに現在の株式市場の特徴的な現実を感じざるを得ない。
市場に存在する1600ものPBR1倍割れ銘柄には自社の価値をアピールしないで放置している銘柄がとても多い。これらの銘柄の多くはIRに不熱心だと言えます。
先日取材した岡山の建設コンサルタント、ウエスコHD(6091)は7月決算の説明会を開いていない。結果としてPBRは0.4倍台に留まり、時価総額も55億円と保有する現預金74億円に比べ圧倒的に低い。いくら自然災害関連のお仕事が今後同社に舞い込むと思われてもそれをアピールしない姿勢が今の株価の停滞につながっているのではないか・・。
思い当たる節をお持ちになっている各バリュー銘柄のIR担当者の皆さん、今こそ奮起して下さい。とにかくIRに不熱心なバリュー銘柄経営者の奮起を促したい。
(炎)
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