株式市場には見向きもされないまま、放置されている銘柄がまだ数多くあるようです。
 過去、億の近道でも何回となく取り上げてきたテノックスはその典型です。

 2017年11月高値1355円をピークに不具合工事問題の発生もあり、1年3か月にわたって調整を余儀なくされた同社株ながら、不具合工事問題の完全終結を宣言し、IR活動も活発化させようとしている状況でそろそろ投資家の見直し買いが入っても良さそうだという意見を述べる経験豊富な個人投資家も出ています。

 とは言え、同社株の株価が大きく上昇するには同セクターへの関心が高まる必要があります。


 これまでの緊縮財政の下で建設投資が拡大することは難しいし人的な資源の制約の下ではビジネスの拡大にも限界がある。そう考えられても致し方ないが、同社は技術のテノックスとして日本のみならず今後はベトナムを中心にしたASEAN諸国へと展開する計画をもっており、東京オリンピック後の業績の拡大にも布石を打っているとの話を耳にするとまた見直してみたいと思ってしまう。
 大阪万博の開催決定は実は同社のビジネスにプラスとなる筈なのだが、投資家にはそのニュアンスが伝わっていない。


 日本の国土は絶えず地震の被害に怯え、建物の基礎や地盤改良を未来永劫にわたり続けていく必要がある。新幹線などの高速鉄道に高速道路、橋梁などの社会インフラを構築するニーズが消えてなくなる訳ではなく、同社のような長期的な視点で技術開発に努めてきた企業の存在感は今後ますます高まるものと期待されます。


 地盤改良を事業アイテムの一つに掲げる3月5日東証1部上場予定の日本国土開発は、土木工事の機械化・施工を開拓、普及する目的で1951年に設立されたというが、創業時は国策会社としてスタートしたらしい。


 日本国土開発から遅れること19年。今から19年前の1970年に10名の創業メンバーが立上げた業界のパイオニアがテノックス(10頭の雄牛の意味)だ。地味なイメージが強い基礎工事、液状化対応など地盤改良技術に秀でた同社が世界に打って出ようとしているのは自然の流れ。
 従業員数が270名余りにしか過ぎない同社と従業員数がその3.7倍となる約1000名の日本国土開発とを比較することはさほど意味がないのかも知れませんが、昨年までテノックスの同業とも言える三信建設の筆頭株主だった(既に建機レンタル会社に売却、同社には11億円の売却益が入った)日本国土開発が再上場を果たして関心が集まれば、多少は無借金経営で時価総額が保有現預金を下回っているテノックスに注目する向きが出てもおかしくない。


 その日本国土開発は公開価格が510円で決定され、公開時の時価総額が501億円に留まったことで割安感が強く公開前に入手した個人投資家の対応が気になるところだが、今期の配当利回りが5.3%と高めになった点は新た
な投資家を呼び込む契機になるかも知れません。


 テノックスの問題は無駄に長期保有していると見られる現預金をどう活用して次のステージに立てられるかであり、非効率な経営、変動の激しい不安定な業績をこれ以上は続けられない点だ。
 工事の見える化やIoT化、海外市場の拡大が次の課題であり、蓄積した現預金をどのタイミングで使うのかを真剣に投資家の前で語って頂く必要がある。


 日本国土開発の上場日となる3月5日にテノックスは個人投資家向けの説明会を日本投資環境研究所主催のセミナーで予定していますがこれも偶然だとは思えない。


(炎)


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