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 最新号の会社四季報では日本の株式市場には3739社の企業が上場しているようですが、皆さんはその中からどんな銘柄を対象にして売買されていますか。

 株式市場での企業の評価は株価という具体的な数値で様々になされていますが、そうした株価だけを多くの投資家の皆さんは考えて取り組まれているものと思います。

 そうした株価と発行済み株式数の掛け算が時価総額。以下の数式ですぐに出て参ります。

 発行済み株式数(除自己株)×株価=時価総額


 市場全体の時価総額は現在、およそ600兆円ですが、このうち日本最大の時価総額となっている企業は皆さんよくご存知のトヨタ(7203)で約22兆円となっています。
 トヨタのグループ企業にはデンソー(6902)や豊田自動織機(6201)、アイシン精機(7259)、豊田通商(8015)といった時価総額が1兆円を超える企業が数多くあり、それらを合わせたら日本の株式市場の5%はトヨタで占められていると言っても良いでしょう。

 素晴らしい日本のモノづくり企業を代表するトヨタが過去から現在に至るまで投資家に多くのリターンを与えてきたことで高い信頼関係も構築してきたと言えます。


 これに続くのがソフトバンクグループ(9984)で時価総額は11兆円を上回ります。更に昨年はモバイル会社、ソフトバンク(9434)が上場し、6.8兆円の時価総額となっています。
 親子上場についてはネガティブに言われがちですが、賢い孫社長の次の事業戦略であるAI群戦略の推進にとって第1歩の施策だったと考えられます。
 日本全体の時価総額に対してこれらで18兆円、3%を占めていることになります。社歴はトヨタに及びませんが、アグレッシブな経営と卓越したビジネスセンスで多くの投資家の関心を呼んでいます。
 ビジョンファンドも2号目を設定するなど孫社長は意欲的で、この時価総額でも評価が低いと懸命にアピールしています。

 トヨタとソフトバンクG、日本の時価総額上位2社同士が手を結んだ話は皆さんもご存知の通りです。


 さらにこれらに続く時価総額の上位企業は、NTT(9432・時価総額9.8兆円)、NTTドコモ(9437・同8.3兆円)の親子通信ガリバー2社です。これらも合わせて18兆円で、市場全体の3%を占めています。


 更に、キーエンス(6861・同7.9兆円)、ソニー(6758・同7.2兆円)、ファーストリテイリング(9983・同7兆円)と続き、金融ではこの後に三菱UFJFG(8306・同6.8兆円)が続いています。

 かつて上位に来た銀行の力が落ちてきた結果が時価総額のランキングにも表れているようです。


 ざっくりと上位10社までの時価総額と今期予想税前利益を並べてみると以下のようになります。

1.トヨタ(7203)時価総額21.8兆円/税前利益2.72兆円
2.ソフトバンクG(9984)11.2兆円/3.5兆円
3.NTT(9432)9.8兆円/1.57兆円
4.ドコモ(9437)8.3兆円/0.84兆円
5.キーエンス(6861)7.9兆円/0.34兆円
6.ソニー(6758)7.2兆円/0.77兆円
7.ファーストR(9983)7.0兆円/0.26兆円
8.三菱UFJFG(8306)6.8兆円/経常1.28兆円
9.ソフトB(9434)6.8兆円/0.73兆円
10.KDDI(9433)6.6兆円/1.02兆円
合計 93.4兆円/13兆円・・・7.2倍

 日本全体の上場企業の時価総額約600兆円に対して上位10社が占める比率は15%余りとなります。


 キーエンスやファーストRのように利益に対して時価総額が大きくなっている企業は発行済み株式数が比較的少ないことに加え、オーナーの持ち株が多いことによると考えられます。

 特にファーストRはオーナーの持ち株比率が20%を超えており、225銘柄にも採用されていることから需給がタイトになっている状況が見られます。

 また通信系が上位に来るのは、通信インフラでの収益が独占的な構造となっていて圧倒的にキャッシュフローが生まれやすいためです。ある意味恵まれたビジネスを行っているからこその時価総額上位だと言えます。


 こうした時価総額上位10社に続く時価総額1兆円以上の企業は120社あります。こうした大型企業が日本の株式市場の主役を担っている訳ですが、これら大型企業に関心を持つのは個人投資家の皆さんよりもどちらかと言うと年金や投信運用を担う機関投資家です。

 個人投資家の皆さんはより成長のベクトルが高そうな中小型銘柄への関心を持たれているのかも知れません。


 時価総額上位と同様に下位銘柄を吟味してみると、いづれも利益が低水準にあって赤字だったり財務内容が悪化していたりと見るに堪えない銘柄がほとんどです。特に時価総額が10億円以下となると利益規模は1億円以下、赤字が継続し継続疑義がかかった状態の銘柄が大半を占めています。財務内容は劣悪で経営再建中だったりします。
 実質倒産状態のような銘柄もありますので、それらを除く必要がありますが、箱状態の時価総額8億円以下の銘柄には投資ファンドが蠢き、仕手的な値動きに至るケースもあります。そうした視点での取り組みが求められる世界と言えます。

 結果論とは言え、最近の事例では地域新聞社(2164)が500円(時価総額8億円台)以下の株価から5000円(時価総額90億円)まで短期急騰を演じたこともあります。
 直近では株価が400円(時価総額8億円)以下で低迷してきたフルッタフルッタ(2586)株が768円(時価総額15億円)まで上昇したという事例もあり、低収益や赤字で苦しむ時価総額10億円以下銘柄にも注目する向きがあるものと推察されます。


 安定性を求める投資家、成長のベクトルを求める投資家、株価の動きにのみ関心のある短期投資家など資金量の大小に関わらず個人投資家が求める運用対象は多岐にわたります。時価総額上位のビッグな銘柄を対象とするのか、時価総額下位のスモールな銘柄を対象とするのか、それぞれの視点でお楽しみ頂く必要があります。


 投資家のリスクオフの流れから時価総額が30億円以下に放置されているキャッシュリッチな銘柄群も増えてきています。私もその中からいくつかの有望銘柄を見出しており、有料メルマガで取り上げておりますのでご購読お申込み賜りましたら幸いです。

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(炎)


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