閉じる
閉じる
×
先週、米中協議再開を好感して動いた市場も、今週に入ってからは、様子見気分が支配する展開。先週発表された米雇用統計の数字が予想以上だったための利下げ期待の後退もあり、ここは10日と11日のパウエルFRB議長の現在の金融政策に関する議会証言を待ちたいところでしょう。
これまでの米国の株式市場を支えてきた要因の一つでもある利下げ期待が少し変化しました。
6月末には7月開催されるFOMCで、0.25%利下げが76%、0.5%利下げ予想も24%もあったのですが、直近の予想では0.5%利下げがなくなり、0.25%の利下げが98.5%、利下げなしの予想も1.5%に。エコノミストの心変わりが示されました。
昨日は、フィラデルフィア連銀総裁から「金利を変更する必要はない」とのコメントも聞かれ、債券利回りが上昇。一時は2%割れまで低下した10年米国債は2.07%まで戻り、今後の利下げ期待を反映するされる2年債も一時1.7%程度までありましたが、1.9%台に戻りました。
そんな中で、パウエルFRB議長が何を話すのかには注目が集まります。
米国景気が10年以上拡大し続け、金利の正常化を果たした後にも決定的な景気悪化の裏付けはないとされます。その間、米国株式市場は記録的な上昇をしてきており、今後の利下げには限界もあると考えることもできます。
新たな投資行動をとるまえに、現在の状態で、金融政策をどう決定するかの根拠についてFRB議長の説明を聞いておきたいところです。
そのパウエルFRB議長に関しては、現トランプ政権から「解任」される可能性も囁かれてきましたが、昨日、米NEC(米国家経済会議)議長から、パウエル氏の議長職は安泰との言明がありました。中央銀行の独立性を考えれば、任期まで安泰は当然だと思いますが、現政権は何でもあり。保証されるという感じではなさそう。そんな中で、トランプ大統領推薦の2名が理事候補になりました。2名ともハト派とされています。
人事がらみでは、既に、報道されているようにECB(欧州中銀)総裁に現IMF専務理事のラガルド氏(フランス)が決定。事前予想リストにはなく意外感がありました。タカ派としてしられるドイツのバルト万氏が候補にも挙げられていたので、現ドラギ総裁の後もハト派が続き、利下げの可能性が広がったと見た市場はユーロ売りで反応しました。ドル金利の反発という要因も加わり、ユーロ・ドルは、1.13台から1.12を挟む水準まで下がっています。
米国では、幅や時期は別として、基本的に利下げの可能性が高く、欧州も人事面からも利下げが視野に入り、また英国でも英中銀のカーニー総裁からも昨今ハト派的な発言があり、先進国は超金融緩和10年目にして未だ緩和状態が暫く続くことになりそうです。
一方の日銀は、何かあれば更なる緩和をするとは言っているものの、10月の消費税増税が控え、また、更なる利下げは銀行界への悪影響も考慮すると、動けないのではないかと推察します。
7月に入ってからの主要通貨の対米ドルのパフォーマンスは、ほぼ全ての通貨が米ドルに対して下げました。大方の通貨が6月のドル安からの戻しでした。
最も売られたのは、韓国ウオンの2.24%安。
日本円は、107円台から直近の108円後半水準ですので、1%近い円安です。先週の雇用統計発表後に、米国の利下げへの見方が変わったことから108円半ばまでドル円が買われた一方で、日本株は利下げ期待が萎んで売られた米国株の動きに反応して下げる展開に。株と為替の相関が今のところ見られません。
ドル円相場は、今年に入って、正月の104円ワンタッチを覗くと、107円半ば~112円半ばでのレンジ内の動き。
2017年から約3年近く、105円~115円のレンジの中で動いていて、今年もその域から外れる兆候はまだ見られないように思います。
また、偶然なのか、2017年の年初に発足したトランプ政権と重なるのが興味深いところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※7月10日東京時間午後2時執筆
本号の情報は7月10日東京市場始値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)