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投資アイデアの創出 その1
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投資アイデアの創出 その1

2019-08-30 14:48



     投資アイデアをどうやって得るのかは、人それぞれです。
    わたくしの場合、会社訪問というダイレクトな手段があります。
    でも、闇雲に会社訪問するのではなくて、訪問の目的をはっきり持ち、会社を取材する場合がほとんどです。


    それでは、訪問の目的とはなんでしょうか。


    業績に変化があるかどうか。

    これがもっとも重要なポイントです。


    よい変化はどうやってわかるのでしょうか。

     新製品やあたらしい会社の取り組みによって、活気が出てきている、そういう会社に恵まれることです。それが、できれば小さな芽のうちに注目していたいものです。

     できれば、アナリストがフォローしていないような小さな会社が望ましいでしょう。小さな会社が時代という大きな流れに乗るとき、大きなチャンスが開けるからです。


    アプローチとしては、2つあります。

    ひとつは、アイデアベースの投資手法です。
    1)投資アイデア→
    2)銘柄の業績の分析(以下、業績)→
    3)PER・CF倍率などのバリュエーション(以下バリュエーション)
    という流れです。

    1)アイデア→2)業績→3)バリュエーション

    と来て、3)のバリュエーションで高すぎて買えないと結論が出てしまうことがあります。

    それでは時間が無駄。


    そこで、もうひとつのやり方にスクリーニング・ベースの投資手法があります。

    1)バリュエーションで安いものを選ぶ→2)それぞれの業績を探る(業績)

    ということで、スクリーニング・ベースでは、無駄が生じません。

    それでは、わたしはスクリーニング・ベースで投資をしているかと問われるなら、残念ながら、スクリーニング・ベースではわたしは投資をしていません。


    どうしてでしょうか。

    それは、バリュエーションが安いものを選んだ時点で、選択肢が限られており、全体の選んだ銘柄群がガラクタの集まりだったりするからです。スクリーニングでは、全体の作業が無駄になる可能性さえあるのです。無駄をなくそうと思って導入したスクリーニングによって、すべての作業が無駄になってしまうのです。

    本当に、重要なのは、時代の流れを見極めることです。将来の変化を読み取る力がまず備わっていないと駄目なんです。


    なぜかというと、
    1)アイデア→2)業績→3)バリュエーションという流れの1)と2)の段階で、この全体の世の中の流れをじっくりと考える力がついてくるからです。

    いきなりスクリーニングでは、考える力がつきません。
    時代の流れもわかりません。

    無駄なように見えて、アイデアベースで投資案件を考えるというのは、実は、有効な手法です。いま、グローバルな時代ですから、結果として、投資案件が外国企業になることも多々あります。


    まずは、1)アイデアからはじめたいと思います。

    1)のアイデアをどうやって出していくのか。

    いろいろな方法があります。

    ●日常の観察から
    ●メディアから(書籍、雑誌、新聞、TV)
    ●人から教えてもらう。情報交換などを通して
    ●法律の改正など、社会の制度から
    ●高齢化社会など、予測可能な社会を見通して

    などいろいろな方法が考えられます。


    今回は、雑誌を例にとって考えてみたいと思います。

    雑誌は、新聞ほどではないが新しい情報へアクセスできます。
    そして、専門誌など、新聞記者には到底書けない深い内容の記事が多く載っているものもあります。


    そのひとつが日経エレクトロニクスかもしれません。

    昨日じっくりと「日経エレクトロニクス」(以下NE)という雑誌(隔週)を読みました。

    2時間ほどかけて念入りに読みました。
    雑誌をこんなに時間をかけて読むのは久しぶりでした。
    日経マイクロデバイスやダイヤモンドのLOOP、トランジスタ技術(以下トラワザ)なども役に立ちます。


    さて、わたしがテクノロジーセクターを中心に見ているのは訳があります。

    テクノロジーは変化が多い。
    よって、変化を先取りしてポジションをつくることが可能なセクターです。
    その変化を読むために、こうした雑誌を読むわけです。

    テクノロジーのことがわからなくても、NEやLOOPは誰にでも読めます。
    ところが、若干のテクノロジーの基礎知識がないと読めないのが、トラワザと日経マイクロです。


    さて、NEは2001/1-5の号を読みました。
    実践編です。

    アイデアとしては、まだまだ未熟で、アイデアの「卵」のようなものですが、こんな感じを受けました。


    P35 FOMA ようやくスタートライン
    ⇒ドコモが本来メーカーが負担すべき開発費を400億円近く負担。NEC、シャープ、松下などと提携。ゲーム機なみの性能ということで、ゲーム業界は最近悪いことばかりだったので、恩恵を試算してみようかなとふと思う。

    P36 イオンの液晶TV台湾TECO ELECTRICが製造を担当。ブルームバーグで配当利回り
    4%と出る。ちょっとチェックしてみようかなとふと思う。

    P39 家庭用プリンター
    キヤノンがA4に写真画質を37秒でプリントアウトできる機種を9月に出したとある。従来の半分の時間だとか。写真のサイズが5年後ぐらいには大きくなっているかもなとふと思う。

    松下のアユはブレナイの宣伝がのっていた。手ブレ補正機能。ジャイロはどこかなと。村田かなとか。手ぶれ補正は画素数が多くなると必須になるかもなとふと思う。

    P43 QUALCOMMに対抗してSTMとTIがCDMA1x向けチップセット発売。153kbps。CDMA陣営に選択肢が広がりいいことだなあとなんとか思う。

    P49にマイクロソフトが特許をライセンスアウトするという記事。大きな戦略転換。徐々に追い詰められていると見ることもできるが、ライセンス料金が安いらしい。

    P53 Dellのテレビ参入。画像処理ICが台湾系がぞくぞくと参入してくる。いやな感じ。米国のファブレスIC設計会社であるGENESISやPixcelWorksなどを調べないとなあ。

    P71 インテリジェンスが忙しい。リアルタイムOSや回路など求人が上回っている。そうか。インテリジェンスはちょっと高かったな。それでかなんて思う。富士ソフトABCなんかはチェックしてみないと駄目かなとふとチェックリストに富士ソフトと書く。

    P87 年初だけあっていろんな会社のR/Dトップがいろんなことをいっているが、原則がはっきりしているのはキヤノンとシャープだなあと認識。
    キヤノンは装置で差異化すると。内作じゃないとという発想。その通り!!と納得。シャープは、プロパテントを標榜しつつ「特許を書くな」と。含蓄がある。

    P91 Pbフリー。
    タムラは最近元気かな。ちょっと気になる。さっそくチェックリストに書いておく。RoHSで2006年の規制で恩恵なのかそれともコストアップの面もあるのか。チェックしたい。
    そして、実装の部品で耐熱性が求められるということになると、いろいろあるけど、一時的に日系のシェアが上がるかもしれんなと漠然と思う。

    P130あたりから部品会社の社長が登場して自社の宣伝。村田やアルプスは面白いことをいっていたが、とくに感じず。
    第三世代。投資負担の少ないKDDIとスペックで勝るドコモ。今年はドコモという人も多いが、案外、KDDIががんばるかもなと予感。掲示板でこのことを話したら、よくキャリアをしっているもぐたんさんから、今年は、実は、ボーダーフォンかなという指摘をうけ、納得。このように、アイデアをみんなで議論することで、アイデアの質が深まっていくものです。

    そして、タムラ製作所や富士ソフトにさっそく取材のアポをいれたのでした。

    (つづく)

    (PS)
    最近、乾布摩擦と相撲のしこを始めました。

    しこは、ストレッチと筋肉運動が一石二鳥でできるので本当にお勧めです。

    乾布摩擦は、これを毎日すると肌がすべすべになります。すべすべになっても別に男なのでうれしくはないですが、病気にならないように気合を入れています。

    乾布摩擦の本は、八重洲ブックセンターには、わたしの見た限り、1冊もありませんでした。「ただしい乾布摩擦のやり方」という本を探していたのですが。あるわけないですね。

    魚網をつかうといいと聞き、魚網でゴシゴシ磨いています。

    朝は、プロポリスを飲んで、うこんを飲んで、歩き、呼吸をすって3秒.止めて2秒.ゆっくり吐いて15秒という斉藤孝さんの呼吸入門を手本にして呼吸をしています。

    そして、しこをじっくり踏みます。「どすこい!」と大きな声を出します。

    さて、ビジネスでラスベガスに行って、CESというショーでデジタル家電の動向をさぐりに行きます。帰りにNYによって、大学とオフィスに立ち寄ってから16日に成田に戻ってきます。

    さあ、今年もがんばりましょう!


    山本 潤

    ~本レポートに関する重要な事項~
    本レポートは投資教育やイベント紹介などを目的に2004年01月06日に執筆されたものです。本レポートは、個別株の売買などの投資決定を下す上での参考にはなりません。本レポートは、その正確性もしくは完全性などについては保証するものではありません。本レポートで紹介した見解などが今後変化したとしても、億の近道発行プロジェクトは、それを読者に通知する義務は負いません。
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