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コロナ禍で日本経済が戦後最悪の不況に突入しようとしている時に3月をボトムにこのところの株式相場は底堅い上昇基調を続けている。
緊急事態宣言で経済活動がストップした日本の4-6月期の実質GDPは年率27.8%も大幅な減少となり、リーマンショック時の落ち込みを大きく上回った。
本日は久々に東京都の陽性者数が95名と100名割れとなったがまだ油断はできない。見えない敵新型コロナとの戦いは日常生活の中で続いている。このため7-9月期も回復が緩慢となる恐れも指摘されており、これまで堅調な推移を辿ってきた株式相場にもいつまた暗雲が立ち込めるのか不透明。
ただ、こうした局面こそむしろ投資チャンスだと割り切って相場に臨もうとする個人投資家の皆さんも多いように思う。その結果がこのところの株式相場にも反映されていると言って良いだろう。
令和2年もはや後半戦に突入し2か月近くが経過しようとしているが、7月はBranding Engineer(7352)、Speee(4499)、GMOフィナンシャルゲート(4051)など7銘柄がIPOを果たし、既に、8月もモダリス(4883)、ティアンドエス(4055)、ニューラルポケット(4056)の3銘柄が登場。
銘柄ごとに人気の違いはあっても概ね堅調な初値形成、株価推移が見られる。
とりわけ好需給の下で上場直後にもたついた銘柄も高値更新の動きが見出せるなど活況を呈していると言っても良いだろう。
とりわけ8月7日にマザーズに上場したティアンドエスが公開価格2800円に対して2.5倍の7010円で初値をつけた後、本日の高値28300円まで短期間で更に4.0倍となった。公開価格からは10倍の水準であり驚きの株価上昇である。
同社は大手企業及び半導体工場向けシステム開発・運用保守・インフラ構築事業を展開。半導体やソリューションといった3つのカテゴリーでビジネスを展開し今11月期の年商は24億円余り。経常利益は3億円を見込んでいるが、これに対して時価総額は500億円を目前にするまで上昇してきた。
まだ利益成長の先行きが不透明な中での高株価だが、いささか過熱気味になってきたとの印象がある。
同社は今後の急成長が期待される先進技術カテゴリーにおいては、とりわけAIに注力。この点を背景にAI関連銘?柄として上場後の人気が一気に高まってきたものと言える。
この動きは20日にマザーズ市場に上場したニューラルポケット(4056・公開価格900円)にもバトンタッチされた。ニューラルポケットは上場3日目の本日初値5100円をつけ、その後一気に約10万株の買いを集め6100円の買い気配をつけるに至った。
ソフトバンク向け売上構成比が45%を占めるニューラルポケットの事業規模は今12月期で売上7.8億円、経常利益1.4億円にしか過ぎないが、本日の株価で算定される時価総額は既に840億円。利益規模の大きなティアンドエスの時価総額を上回っている。
「AIエンジニアリングで未来の社会を形にする。」をミッションに掲げ、実社会でのAI技術の活用と産業化を目指す同社は文字通りAIエンジニアリング事業を単一事業として展開する企業で事業規模こそ小さいものの、AI関連銘柄としてのやや過剰なまでの人気化が見られる。
5年後の世界のスマートシティの市場規模は2.4兆ドルにもなると見られ、そうした拡大が見込まれる市場に同社の技術は活用可能と自らの成長性をアピール。ティアンドエスが公開価格の10倍まで上昇しているだけに同社も更なる株高が期待されているのだろう。
AI関連のIPO銘柄がやや過剰な人気を集めているだけに既存の上場銘柄もAIをテーマにした銘柄を中心にしたジリ高歩調が感じられる。
シンボルストックとしての直近IPO2銘柄を先導役にした相場展開がどこまで続くのかはともかく、AIバブルが発生しているとの印象が持てる。
やや過熱気味とはなっているがコロナ禍を打破する革新的技術、テーマがAIにあるとすれば最近AI関連事業を打ち出したLibWork(1431)や新規事業で取り組んでいるアクセル(6730)など既存の上場企業も含めて中長期的に見て、AI関連銘柄が継続的な人気を集めることは想像に難くない。
ソフトバンクグループが既に打ち出しているAI群戦略などとともに今後のIPO相場がAI関連銘柄の登場で一段と沸き上がることは十分に予想できる。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)