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■相川伸夫ピックアップ銘柄フォロー
※10月9日(金)執筆時点
・山王(3441)2016年12月19日配信
株価560円⇒1089円(+94%)
・テノックス(1905)17年2月20日配信
株価815円⇒836円(+3%)
・特殊電極(3437)17年6月12日配信
株価1461円⇒2180円(+49%)
・東北特殊鋼(5484)17年9月4日配信
株価1831円⇒1440円(-21%)
・新報国製鉄(5542)17年10月2日配信
株価1577円⇒850円(-46%)
・パウダーテック(5695)18年2月19日配信
株価4845円⇒2916円(-40%)
・東京エレクトロンデバイス(2760)18年4月6日配信
株価1970円⇒3260円(+65%)
・アバント(3836)18年6月25日配信
株価473円⇒1126円(+138%)
・神戸天然物化学(6568)18年8月13日配信
株価2718円⇒1713円(-37%)
・丸順(3422)18年9月18日配信
株価826円⇒674円(-18%)
・クロスフォー(7810)18年10月9日配信
株価421円⇒301円(-29%)
・カンロ(2216)19年11月5日配信
株価1665円⇒1500円(-10%)
・ロンシール工業(4224)20年4月24日配信
株価1758円⇒1684円(―4%)
※ピックアップ銘柄は買い推奨ではありません。
私の目で面白い、アツイ要素がある!という理由で記事を執筆した企業の経過観察です。
執筆から3年程度は継続ウォッチしていきたいと考えていますので、銘柄は今後さらに増える見込みです。また、銘柄には大化け狙いと堅実成長狙いの銘柄が混じっています。
・丸順のIRセミナーを11月7日(土)に名古屋会場にて開催します。オンライン(ZOOM)での参加も可能な会になっておりますので下記URLから詳細を確認の上、是非参加して頂けると幸いです!
【丸順(3422)IRセミナー告知】
・11/7(土)13時~ZOOMでの参加もできます
https://ws.formzu.net/fgen/S3053637/
私は大手自動車部品会社勤務時代、金型整備と製品試作のいわゆる職人仕事をしていました。丸順の上石津工場に3回訪問していますが、同社の技術力と技能はトップクラスであると評価しています。
IRセミナー当日のスピーカーには斎藤社長が登壇予定です。
高卒で平社員として入社し、29で課長、38で部長、48で常務、53で社長就任!!
2015年と2016年に会社は倒産の憂き目に瀕して自己資本比率は4%まで落ちましたが、斎藤社長を旗本に一丸となって踏ん張り、足元では27.4%まで回復。コロナが無ければ過去最高益もさらに更新中だった事でしょう。
こういう企業は本当に強い!
多くの学びがあるセミナーになると大変期待しています!
◆新規ピックアップ銘柄中央自動車工業(8117)
今回新たにピックアップ銘柄に追加するのは知る人ぞ知る優良企業の中央自動車工業です。
同社は33業種の区分で行くと卸売業種に分類されている東証二部に上場している企業です。
前期20年3月期の売上高は259億円、営業利益は50億円であり、営業利益率はなんと脅威の19.3%です。
この時点で『よくある卸売事業者』ではないことが十分に伝わるかと思います。
同社の事業は<自動車部品・用品及び付属品の販売>という言葉で説明されています。
その言葉の中で高い営業利益率を作り出している大きな要因は新車販売時のコーティング材の製造販売を同社が営んでいるからに他ありません。
◆事業変遷
中央自動車工業は1946年創業した企業ですが、昔からコーティング材を販売していたわけではありません。同社はビジネスとして成り立つであろうものを貪欲に取り込んでいき、時代の移り変わりで柔軟に波乗りをしていく巧みな経営をしている企業です。
・1956年に石川トヨペットを創業(カーディーラー)
※現在では石川トヨペットは議決権42.7%の関連会社。
・1967年~はカーエアコンの製造・販売⇒1990年~はカーエアコンは後付け商品ではなく標準装備になる変化で事業縮小
・1990年~カーエアコンが萎む中で車のコーティング関連に着手を始める
・1998年~2008年の携帯電話の普及期(25%⇒75%)には販売代理店の仕事も営んでいた
・2014年、米国CPC社(車のコーティング材)から<製造、販売、商標等>の権利を購入・取得し、生産も海外からの輸入⇒国内製造に切り替えていきました。
2014年以前も自動車関連部品企業の中でも比較的利益率は高かったです。しかし、顕著に利益率が増大してきたのはCPC社からコーティング事業を自社に移し替えをした2年後である2016年からです。
◆CPCブランドのカーコーティングについて
自動車に乗られている方の場合は良く伝わると思いますが、10年以上前は家で洗車をして、その後にワックスをヌリヌリしていました。しかし、近年そのような姿は見かけなくなったと思います。
ガソリンの給油をしたときにはついでに洗車機を通してシャンプー洗い500円か、もしくは月に1回のボディーコーティング洗いで2000円とかのメニューを選ぶ方もいたと思います。近年ではそもそもガソリンスタンドで洗車機を使う人も減ってきていると思います。
これらはワックスよりも手間が少なくてキレイな状態に保てるコーティングが主流になったからです。
【ワックス<ポリマーコーティング<ガラスコーティング】
↑値段も品質も効果持続時間も上記で説明できます。
・ワックスは1000円で買えますがひと月程度でみるみる効果が落ちます。
・ポリマーは2000円の自動洗車機~1万円程度で3か月~半年程度(5年を謳っているものもありますが、それはメンテナンス=塗り直しを条件にしています)
・ガラスは6万円~30万円と高額ですが5年保証であり、実質全くのノーメンテナンスでも1年は効果が持続します。塗り直しのメンテナンス(施工時にセットでついてくる専用キット)を1年に1回やれば効果はしっかり持続します。
こうした商品の変遷が存在しており、現在進行形でガラスコーティングの市場は拡大していると思われます。
また、スマホに関しても保護フィルムを1000円で購入して貼り付けるのが従来は一般的でしたが、近年ではこれもガラスコーティングをするようになってきています。
私も3年前まではフィルム派でしたが、今では7000円の高価格ガラスコーティングをスマホに施工しています。2年使っても傷一つ付いておらず、操作性も画面の見やすさも大変満足しています。
スマホのガラスコーティングは2000円~8000円くらいの価格であり、これを車に当てはめると6万円~30万円と言われても私の感覚としては高くは感じません。
これまでワックスを掛けていた方からすると非常に高く見えるガラスコーティングですが、一度使ってその利便性を知ってしまうとハマるものと思います(笑)。
◆中央自動車工業のコーティング事業を試算
まず初めに断っておくのは、同社は売上内訳を開示していません。これは競合他社を刺激しないようにする目的や、営業の際に粗利率等が高かったりするのがあからさまであった場合に「儲けすぎだからもっと負けろ!」という圧力が掛かってしまうのを避ける為、戦略的な作戦であると推測されます。
従って、私にも明確な数字は分からないです。
以前のIRセミナーでの資料や社長の話+様々なデータから調べてみた憶測で話をさせて頂きます。
2020年3月期における地域ごとの売上は
・国内169億円(内、ABTの自動車処分事業=20.5億円=4カ月の連結)
・海外90億円(アジア40億+α)
1)コーティングは海外にも輸出しているとのことですが、ここに関しては不確定なので一旦ゼロベースとします。
2)ABTの20.5億円の売上での営業利益はのれん償却負担を除き1億円とします
3)コーティング以外の卸売事業の営業利益率を5%程度と仮定します
以上の前提でカチャカチャやると、私の推測では国内コーティング事業の売上は100~130億円程度はあり、営業利益率は30%~45%という驚異的な数字になるのではないか?という試算結果になりました。
https://www.google.com/search?q=CPC%E3%80%80%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0&tbm
↑これは『CPC コーティング』をGoogle検索したURLリンクです。
上記の検索を画像検索に変更し、検索ワードにトヨタ、日産、三菱、ホンダ等々を加えていくと、トヨタの比率と日産の比率が極めて大きい事が分かります。
◆競合企業「keeper技研」の存在
商品での競合企業にはkeeper技研があります。
こちらもガラスコーティングになり、商品としては完全にぶつかりますが、実は両者には大きな違いが存在します。
Keeper技研は経営の苦しいガソリンスタンドの新しい稼ぎの一つとしてのビジネススキームなので中古車・ないしは既販車向けにコーティングを売ります。
一方、中央自動車は新車販売台数が右肩下がりのカーディーラー向けに販売するコーティング液剤ですので、基本原則は新車購入時にしか販売されません。新車購入後の2回目の車検(購入5年後)での再コーティングの商品もありますがこちらの数字は小さいです。
また、keeper技研は施工技術向上にもっとも注力をしており、中央自動車のコーティング液剤の新商品開発+新規ディーラー開拓の営業に力を入れています。
冒頭で述べたように2014年にCPCのブランドを完全に手中に収めた後、2017年には中之島R&Dセンターを竣工(2019年に増築も)させ、それからは商品開発スピードも劇的に加速していると効いています。
R&Dセンターは営業開拓にも効果抜群で毎年100社(1000人程度の来客)が訪れて性能評価、試験、品質保証をいかにしているかをPRすることで新規ディーラーの獲得に大きく貢献しているとの話もあります。
https://www.central-auto.co.jp/nakanoshima/index.html
―売り方の変化に着目すべし―
日本国内における新車販売台数は年間約500万台、中古車に関しては海外に行くものや業販で動くものもカウントされてしまうため明確な数は曖昧ですが年間250万台とも言われています。
国内では「若者の車離れ&高齢化による免許返納&スマートシティの推進」等によって自動車販売台数は下がっています。自動車メーカーは海外に活路を見出していますが、国内で仕事をしている自動車ディーラーはどうしたらいいのか?
《1台当たりの利益を上げるしかない=販売時に付加価値(付属品やサービス)を付けていく》
という道が王道になります。
https://www.airia.or.jp/publish/file/r5c6pv000000m20m-att/r5c6pv000000m211.pdf
上記データが示すように年々自動車の平均使用年数は長くなっており、2018年には乗用車で13年という平均使用年数まで伸びてきました。2000年の時には10年であったことからするとかなり伸びています。
そこで、この回転を速く短くする施策として近年は<残価設定ローン>という売り方が主流になっています。
これは最長で5年後の車の買取金額を新車購入時に保証(走行条件や傷・事故の条件あり)し、新車購入に必要な初期の持ち出しを少なく購入できるシステムです。
例えば300万円の車を購入する際において、残価率33%の場合約100万円が残価=最終支払額という設定になります。
5年後に査定額が100万円を超えていれば上回って買い取ってもらえるのでその資金でまた新車を買うか、もしくはそのまま残価の100万円を支払って乗り続けるかを判断する「営業チャンス」を得ることがディーラーの一番の狙いです。
近年は自動車も安全性能の向上や燃費性能の向上もあり、試乗すると購入意欲も揺さぶりやすいのは間違いないと個人的には思います(笑)
そういう施策も込みで、ディーラーとしては新車1台当たり利益をアップさせたいのでコーティングは是非とも付けてほしい商品だったりするわけです。
実際に5社のディーラーに話を聞きに行ってみた結果、2社のディーラーからは下記の話が出ました。
「コーティング無しの場合は車両価格からは3万円値引くのが限界ですが、CPCコーティング12万円を付けてもらえたら―7万円は頑張りますよ!」
あくまで私の例でしたが、よく理解できるスキームです。
中央自動車のIRセミナーでの話では新車へのコーティング比率はいくらか?という質問には「10%程度」という回答がありましたが、おそらくはかなり控えめな数字で話しています。
実際の店舗での聞き込みやネットで調べているとコーティング付加率は多い店舗で販売車の9割、少ない店だと3割という結果になります。
安い車か高い車なのかも影響しているのは間違いありませんが、CPCのシェアが多いのは主にトヨタ向けと日産向けです。ホンダにも最近入ってきているとの話も聴いています。
私が訪れた日産ディーラーでは今年の1月からCPCコーティングを純正商品として新規に扱うようになり、11万円:6万円=2:8のバランスで売れているとのこと。販売車の6割にコーティング付きで売っている。近年コーティングの売れいきは加速していると聞きました。
同じく私が訪れたホンダではCPCとスリーボンドの2社のコーティングの取り扱いがあり。CPC(10万):純正のスリーボンド社製(10万or6.5万)=5:5の割合の出方でした。
この店の場合は8~9割がコーティングアリで売れており、3年前のコーティング割合は5割程度だったので近年大きく伸びたとのことです。
私を担当した営業マン個人の印象ではCPCに軍配が上がりました(コーティング品質・ユーザーサービス&アフター・店舗への中央の営業対応)。
施工に関してもCPC(中央)の場合は外注施工で手間もかからず、アフターも満足しているそうです。
競合であるkeeper技研も新車ディーラーへの営業攻勢に出ており、スズキのディーラーでカタログ金額マイナス5%で施工できるようになっていることを確認しました。
実地調査も踏まえた私の見解としては現状の市場環境ではどっちかが勝つか負けるかではなく、どちらもまだまだ売上成長して行ける局面かと判断します。
◆ポテンシャルとバリエーション
国内の新車販売台数は乗用車が約300万台で軽自動車が約200万台です。
中央のシェアがトヨタ・日産に強いというのはポジティブです。
https://www.homemate-research.com/bc52/ranking/access/
現状のシェアは分かりませんが、上記サイトによれば国内に自動車販売店舗は17,645店舗あるみたいです。
ディーラーとしては高品質なガラスコーティングを求めており、数年前よりも売価は上がってきています。コーティング付加率も上がってきており、今後も増加していくでしょう。
Keeper技研も中央も時価総額は拮抗しておりどちらも400億円です。
Keeperはコロナ禍にある今、月次も非常に好調で前年比+20%等の数字で株価も好調です。
中央はコロナ禍の影響で新車販売台数が今年は-15%程の影響があり、ダメージも大きいです。
※新車販売台数×コーティング率=中央のコーティング売上高
ここで着目してもらいたいポイントとして、昨対比での会社予想ではあまり変わっていない錯覚に陥りますが、これはABTを買収した影響です。今期売上高にABT分の50億円程度乗っているのです。
よって、オーガニックな会社の売上は今期は前年よりも―40億程度あり、ABT自体は今期は特にのれん償却等が大きいので利益貢献はほぼない。にもかかわらず会社が描いている営業利益がやたら高いという印象を私は持っています。
来期、再来期には自動車販売は徐々に戻っていくでしょう。そうなると私は現在の営業による新規開拓の影響も出てくると考えています。
・中央自動車工業(8117)
21年3月期会社予想(10月9日時点)
株価2020円
時価総額404億円
売上248億円
営業利益42億円
経常利益48億円
純利益31億円
PER13.68
PBR1.30
配当利回り2.78%
自己資本比率86.2%
有利子負債 0
現金83億円
同社は無借金経営のスーパー堅実経営なので倒産は万に一つもあり得ません。
また、営業利益ベースでは1997年~今まで一度も赤字になったことは無く、配当金は一度も減配になったことも無くずっと増配になっています。
絶対はないですが、今後も増配になっていくだろうと私は考えています。
会社の歴史にそうした意志を感じます。
そのような優良企業が市場平均配当利回りである1.95%よりも安い評価である2.78%で放置されています。
冒頭でゼロベースとした海外でのコーティング事業も成長していくでしょう。
こうした企業こそ長期投資する妙味のある企業だと思います。
Keeper技研は業績好調なこともありPER36、配当利回り0.7%と評価も高いです。
中央自動車が今後5年で利益が2倍になっても私は驚きませんが、その時に市場から評価の見直しがあれば株価も数倍という大きな期待もすることができます。
どうなるかは誰にも分かりませんが、これまでの同社の沿革や業績のトラックレコード、R&Dセンターでの活動実績等も鑑みると信頼できると私は考えています。
それではまた。
『全力全開全力前進!!!』
(相川伸夫)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)