株式投資は楽しいが、時に乱高下する場面に出くわすことになり、投資家心理が揺れることになる。
このところの株式相場がそうした局面に該当する。
株価は多少乱高下した方が面白いとも言える。むしろ乱高下するのは当然なリスク商品なのであってそうした乱高下は多くは投資家心理の表れでもある。
投資家は損はしたくない。
だから株価がこれから下がるだろうと思われる場合は売りたい心理となるが下げのトレンドが明確ではない場合はまだ積極的に売ろうとは思わない。
まだ上がるのではないかとの心理状態が売り行動を躊躇させることになる。
投資家の心理は複雑なのだ。
上がる株は持ちたいけど下がる株は持ちたくない。
米国の長期金利が上がりそう。だからこれから株価は下がりそうだ。
時価総額を90兆円にまで高めたEV企業米テスラ株が高値から急落中。時価総額は60兆円余りにまで低下した。株価的には1株900ドルから539ドルまでの急落。それでもトヨタの時価総額26兆円の2倍以上ある。
日本では滅多に動かない日銀株(正式には日銀法で定められた出資証券)が4日間のストップ高(28万円から58万円)の後、ストップ安を演じるなど奇妙な現象が市場にはあふれている。
日銀(8301)は今、話題の日本の上場企業の筆頭株主。その額は50兆円とも言われるが、9月末で530兆円の政府発行の国債も保有している。
貸出金は105兆円で経常利益は前期で1.6兆円、中間期で1兆円という途方もない数字となっている。
それでも最近のソフトバンクGが3Qまでで3兆円余りを稼いでいるから、それもまた凄い話に違いない。
ソフトバンクGが時価総額20兆円余りとなっているのに対して日銀株の時価総額を発行口数(100万口)×株価(4.4万円)で計算すれば440億円となる。つまり株式市場の経済原理から言えば時価総額は極めて安く評価されていると言える。
それもそのはず、日銀株の55%は財務大臣が保有しており、配当金も上限が決まっていて、普通の株とは全く異なって位置にあるのだから、日銀株に投資する意味は他の株式に投資するのとはまったく次元が異なっている。残りの部分45%(45万口)は一体誰が保有しているのか謎に包まれているから時に都市伝説的にあーだこーだと語られることになる。
話はいささか横道にそれたが投資家心理はこうした滅多に動かない銘柄の変動によっても影響を受けることになる。
勝手に名付けて恐縮だが、ザ・国家株という存在が改めて見直される動きとなりそうな予感がする。
投資家心理が過去の潮流をこれ以上続けられそうもない時にまったく違った目線で傾くとしたらこれまでとは対極にある評価尺度が根底になる必要がある。
これまで全体相場が上がっている時にまったく逆に下がってきた銘柄で国家的見地のビジネスを行ってきた銘柄はそれに該当する。
ここまで言うと皆様もうすうす感じられる銘柄が浮上するのかも知れない。
株式投資は成長株投資が基本。
そうした真っ当な取り組み方が主流ではあっても行き過ぎた局面では反省する必要がある。投資家心理はそうした局面では全く意に反した別の潮流に傾きがちになるのではないだろうか。
(炎)
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