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相川伸夫の新規ピックアップ銘柄三栄建築設計(3228)
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相川伸夫の新規ピックアップ銘柄三栄建築設計(3228)

2021-10-28 23:46
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    ■相川伸夫ピックアップ銘柄フォロー(動きのあったもののみ掲載)
     ※2021年10月22日(金)執筆時点


    ・丸順(3422)18年9月18日配信
     配信時株価826円⇒955円(+16%)


     丸順は前回9月24日配信時に

    『現状、半導体不足による国内自動車メーカーの減産という悪材料吹き荒ぶ嵐の中にあります。正直今は買える材料がないのでこれだけ株価は下がってしまっています。』


    という話をしましたが、このタイミングでCATL向けEV電池用カバーの話が記事になって紹介されたことや割安出遅れ銘柄のニュースもここに来て増加したことで動意付いてきました。

     丸順の2Q決算はまもなくです。
     ちなみに国内は3-9月分で、海外分は3か月遅れて連結しているので次の決算では海外については12-6月の数字が連結開示されます。中国は1-5月までは好調そのものであり、6月からは半導体不足の影響が出てきました。
     国内は7月から本格的に丸順の関連する軽自動車も軒並み台数が落ちているのでプラスとマイナスはあるとは思いますが懸念は少ないと思われます。
     3Q以降に関しては国内も中国も半導体影響が深刻化してくるので下期の動向に注目されることと思われます。
     齊藤社長に今年の6月の期初取材時に言っていた「半導体不足は下期に回復すると楽観視する意見は多いし、他社もそのような業績予想を出されているが、現状の足元の情報からはそのような判断は出来ない。よって今期は厳しい業績予想を作った」ということでしたがまさしくその通りの状況になってきました。
     むしろ来期に完全な正常化できるのかも不安になりつつある状況ですので、今後の動向が気になりますね。

     その問題以外は外から見ている分には新規受注も好調なようですし、長期ではただただ買収されやしないか?という所だけが不安です(笑)
     せめてPBR1倍以上で市場評価してもらえるように、思わず投資したくなる魅力を今後もIR発信+メッセージ性もさらなる充実を強く期待していきたいものです!

    ※ピックアップ銘柄は買い推奨ではありません。
     私の目で面白い、アツイ要素がある!という理由で記事を執筆した企業の経過観察です。
     銘柄には大化け狙いと堅実成長狙いの銘柄が混じっており、銘柄数もかなり増えたので全てを列挙することはやめることにしました。


    ■新規ピックアップ銘柄 三栄建築設計(3228)


     前回での記事で簡単にではありますが小話として掲載させて頂きました。
     http://okuchika.net/?eid=10165
     内心、あのタイミングでピックアップ記事を執筆することも考えたのです。
     本決算持ち越し(10/14)は私の分析では期待値がある状況でしたが、一抹の不安があったので執筆は見送りました。

     そして本決算開示を受けた翌日、残念ながらマイナス10%の株価で市場は反応をしました。
     その後10/18に決算説明会があり、その週にIR担当に取材をして、『これはアツい!!』と再評価できる状況になりましたので本日執筆することとしました。

     本決算から2週間も経っていないので三栄建築設計についてどこよりも最新情報かつアツい話が今日はお届け出来ると思います。


     記事構成は…
    1.三栄建築設計の事業説明とコロナ禍での住宅需要と調達について
    2.本決算持ち越しに期待値があったと考える理由
    3.本決算の何が株価を-10%させた要因なのか?
    4.説明会+取材で何がアツいと思えたのか?
    5.懸念材料

    ※記載内容は説明会+会社取材+競合各社の動向や市場調査に基づく筆者の個人的な主観と推測に基づく内容です。投資判断は元より内容に関しても自己責任で判断頂くようお願いします。


    1.三栄建築設計の事業説明とコロナ禍での住宅需要と調達について


     同社の主事業は不動産分譲戸建て事業であり、注文戸建て住宅やマンション、ホテル、海外事業等分譲戸建て以外の事業も営んでいます。また、三栄建築設計を親としてメルディアグループとして子会社をいくつも持って関連業務をしている企業です。
     一見するとわかりにくい印象になるかもしれませんが売上・利益面で行けば圧倒的に分譲戸建てであり、次は注文戸建て+建築請負になります。

     ここ一年余り、同社に限らず大手上場企業の分譲戸建てプレーヤーはすさまじい勢いで業績を伸ばしています。販売棟数もそうですが、着目すべきはその利益率です。
     粗利率で見ても各社値引きを全然しなくても飛ぶように住宅が売れているわけです。

     これにはいくつかの要因が重なってこういう現象を起こしています

    【背景説明】

     1)2020年の春先からコロナショックが始まり、戸建て分譲プレーヤー及び不動産販売業者はこの先どうなるか分からないということで不動産開発を控え、持っている在庫を処分売りした。2020年は御存知の通りコロナで営業もままならず、先行きの不透明感も相まって新設住宅着工件数も軟調に
     2)一方、アメリカではコロナ対策の財政出動によって住宅ローンも低金利になったこと&テレワークの推進による郊外住宅需要増加が後押しする形で『今がチャンス!』と20年7月~住宅需要が旺盛に。新築住宅も増加することで木材需要も増大、のちのウッドショックのきっかけにつながる
     3)日本国内の金利は元より過去最低であり、コロナ財政の出動で金利低下しなかった。よって低金利による住宅購入ブーストは起こらなかった。その代わりにリモートワーク推進&定着によって大手企業勤務の社員による郊外への戸建て住宅ブームが発生。都道府県の転出―転入ではこれまで首都圏が長らく転入1位だったが逆転ぶっちぎりのワースト1位で転出超過になり、周辺の都道府県への転入超過の傾向が顕著の傾向が徐々に表れる。1)によって住宅の新規開発が少ない状況下において需要と供給のバランス変化から戸建て需要が高まって元より少ない住宅在庫がどんどん売れるようになる。20年6月以降その傾向は高まっていく
     4)2021年に入り、米国の材木価格はぐんぐん上昇(ウッドショック)し、2021年5月にはコロナ前の3倍の価格でピークを付けてその後下落。この現象は世界の住宅市場に影響。日本は国土の67%を森林が占めるにも拘わらず住宅建材の約7割を安い輸入木材に頼っていたためにこの影響は大きく、木材を高い原価で購入して価格転嫁できるのは販売力やブランド力を持っている大手ハウスメーカーや大手デベロッパーくらいなもので、日本の戸建て住宅の6割以上を担っている地場の工務店は消費者への価格転嫁が困難なので購入には弱気。「輸入材が買えないなら国産材を使おう!」となるのですが、国内需要の3割程度しか供給していなかった国産材は数が少なく、価格が上昇し続けます。
      ※三栄建築設計は前々から国産材使用促進に向けて準備をしており、21年4月に一般社団法人日本木造分譲住宅協会を発足(三栄を中心に競合のオープンハウスとケイアイスター不動産と一緒に設立)し、21年5月以降自社の戸建て住宅での国産材比率は97%に。
     5)米国の材木価格は21年5月にピークを打ったものの、日本に輸入される木材は10月から入ってくるので日本国内の建材は現在がもっとも高いとされています
      ※日経記事 カナダ産製材品2年ぶり下落 ウッドショック緩和の兆しも
       https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC279Y80X20C21A9000000/

     ザックリですがこのような背景で大手と中小は大きく明暗が分かれたわけです。国内の大手デベロッパー、特に戸建て分譲住宅を提供している飯田グループホールディングス、オープンハウス、ケイアイスター不動産、三栄建築設計の極めて業績が良かったです。
     彼らは木材の仕入れ価格が上がったとしてもスケールメリットを生かして地場の工務店よりも安く購入出来たり、長期契約などもあったでしょう。また、地場の工務店をはじめ木材納入の目途が立たないことで営業や土地仕入れが難航しているのを横目に戸建て分譲プレーヤーは強気の土地仕入れと「木材価格上昇」を理由に販売価格に転嫁していくことに成功しました。

     その証拠に各社の粗利率を見ると一目瞭然で、例年よりも3%~5%上昇しています。仕入れ値と販売価格の上昇タイミングの違いもこれには含まれていますが上手く売価に反映させれているのは間違いないと考えています。

     建材価格に関しては最高値で購入した材木(10~12月期分)が続々入港している状況なので輸入材も国産材もまだまだ高止まりが続くと思います。
     その後、現在の材木が捌けていけば徐々に価格は低下するでしょうが、コロナ前にすぐに戻るとは思えません。理由はいくつかあって…
     1)世界は長期インフレなのに日本は長期デフレである
     2)円安によって輸入価格が上がってしまう
     3)原油高と海上輸送費(コンテナ運賃)が高止まりしている
    ことが挙げられます。
     『原材料価格高騰を販売価格に転嫁できるか否か?』が今後の業績を占ううえで非常に重要な要素になると考えています。


    2.本決算持ち越しに期待値があったと考える理由


     まずは時を戻して、三栄建築設計の本決算について考えてみましょう。

     1)同社は中計を開示しており、最終年度の23年8月期に配当性向30%を目標にしている。よって22年8月期は増配の可能性(中計グラフも点線で引いており、25%の配当性向が妥当)があった(21年8月期は配当性向21%)
     2)21年8月17日のIRで有形固定資産から販売用不動産へ115億円の保有目的変更があった。これは流動資産=1年以内に販売するということなので22年8月期に計上されるだろう。
      ※評価額が簿価を割っている場合には減損するとの明記もあったので21年8月期中にマイナス分があれば持ち越しは減損済みと推察
     3)同社の決算傾向として来期予想はチャレンジングな強気の数字を出してくることが常だったので来期予想は強気で出してくる可能性が高い。
     4)三栄建築設計は2016年からグループ名称を三栄建築設計グループからメルディアグループに変えているものの、グループ母体の親会社が三栄の社名のままだったので『???』が続いた。最近になって子会社名称を続々と『メルディア〇〇』に変えており、上場子会社のシード平和も10/1にメルディアDCへと変えた。三栄建築設計の社名がメルディアになればやっとグループとしての整合性が取れ、急成長中のメルディアチャンネル(YouTube)やインスタ等とのつながりが投資家にもはっきり訴求でき、またSEO含めて効果的になるので変更してくるだろう。
     5)21年9月21日のIRでプライム市場の選択を表明、しかし『流通株式比率』だけが基準に足りない⇒推測では1.5%程度放出すればいいだけなので創業者で現代表の小池氏の立会外分売りが出てくるのを本決算と一緒に出してくると想定⇒大義名分の下に安値で売る訳がないだろう

     1)~5)を総合した結果、私の予想では次のような本決算を考えていたわけです。

    『22年8月期は中計2年目予定を大きく上回る足元の分譲戸建ての売れ行きを反映した強気業績予想と配当性向25%による増配で株価は大きく上昇。
     プライム市場昇格の大義名分の為に小池氏は株価が上がる決算を出した後に立会外分売を発表。投資家は立会外分売りによるディスカウントよりも、いつ売ってくるか、どれだけか分からない大きな売りの不安が払拭され、これを好感。メルディアへの社名変更も発表し、急成長中のYouTubeチャンネル等もPRを開始し成長イメージを投資家に大々的にアピール』


    という絵を想定していたのですが、本決算はそんな開示ではありませんでした(笑)。
     振り返っても株価や状況を考えて十分に期待値のある本決算だったと思いますが実際はそういう結果ではありませんでした(笑)。
     本決算を受けて市場は大きく失望売りで反応しました


    3.本決算の何が株価を-10%させたのか?


     これはシンプルです。

     1)増収減益での予想だった
      ※営業利益は増益ではあるものの前期補助金等での増益分の影響で最終減益予想
     2)配当金は21年8月期据え置きで配当性向は22.6%で増配の姿勢が感じられない(中計達成意欲への疑念の発生)
     3)流通株式比率にまつわる大株主の売り圧の存在で上値が抑えられることへの嫌気

     大きくはこの3点だと私は考えています。
     同社の決算説明資料には資本政策において下記の文言が明言されています。

    ・資本コストを意識した経営で企業価値向上を目指す

     この決算の出し方は正直な話、資本コストを特別意識していないと私には映ります。
     資本コストというのは投資家側が
    『御社に投資するならこれくらいのリターン(株価上昇や配当金)をくれないと割に合わないな~』
    という目には見えないコストのことを指しています。
     資本コストはつまるところ投資家と企業の信頼コストとも言えるわけです。
     業績が悪くなったら無配で良い時は50%の配当性向の企業と、赤字決算でもDOE(株主資本配当率)を元に安定配当をしてくれる会社のどちらが株価の動きが少なくなりそうか?で考えると当然DOEを採用している企業の方が資本コストは低くなります。
     投資家に回ってくるリターンとは株価上昇と配当金であり、リスクは株価下落と減配です。
     よって業績のボラティリティ(変動)が大きければ大きいほど株価変動は大きく、株価低迷抑制に効果を発揮する配当金まで0円まで動いてしまう場合にはさらに株価は下押ししてしまい、株価のボラティリティを上げてしまいます。
     企業業績の将来が明るいことを投資家に示し、信用してもらえれば投資が得られるので株価は上がります。逆もしかりで長期的な業績成長・明るい展望が示せない場合には投資家にとってのリターンの低下=株価低迷として市場は反映します。

     特にPBR1倍を切っている状態というのは業種の差も当然あるものの基本的には投資家からの評価がかなり低い状況にあることを意味します。投資家にとってそれくらいの安値で買わないとリスクとリターンが見合わない会社だと考えられているわけであり、企業にとって大変不名誉な状態です。

     辛辣なことをここまで書きましたが、そんな同社をこの度ピックアップ銘柄として執筆することに決めたのは言い換えればその分現状に高い伸びしろがあると言えるからです。
     つまり、私は今の同社の市場評価は大いに覆る可能性があると踏んでピックアップに至ったわけです!


    4.説明会とIR取材で判明した三栄建築設計の今期業績予想の真意と今後の展望


     まずはこれまでの推察に対して誤解があった部分の訂正から説明していきたいと思います。

     1)期初予想は強気の数字
     ⇒中経二年目の数字に近くなっているものの、いつものチャレンジングな期初予想を下方修正することが内部でも良くないということで今期から保守的な予想に大転換。決算説明会でも「今期業績はウッドショックの影響も踏まえ保守的な予想をしており…」という点を強調していたのが印象的でした。
     2)今期業績には販売用不動産115億円が載っているのでそれを引くと全然成長しない業績予想
     ⇒これに関してはもしかすると業績予想に含まれていない可能性があります。今期販売用不動産になった一つに土地だけで103億円にもなる大きな物が存在します。これに関して伺った所「今期売却を見込んでいるものの引き渡しができるまで売上になるか分からないので数字としては入れてない」というニュアンスの会話がありました。1)で保守的という話もありますのでそう考えると一層納得感が上がります
     3)流通株式比率に関して
     ⇒これはやはり1.5%程度ではないか?という見立てが近いようでした。現在関係する会社にもこれに関して話をしているらしく、目途はある程度付きそうだとの話です。とはいえ、おそらく小池氏の持ち分も減らす可能性が高いと思っています。その時には立会外分売りでしっかりと好材料と合わせて市場との対話を図っていただけると最良ですね!

     同社の市場評価が低くなってしまっているのは投資家から見た同社への業績懸念と株式売り出しによる需給悪化懸念の二つです。よって今後これらが解消されてくることで評価は変わってくることでしょう。

     不動産販売では仲介業者が販売した場合物件価格のおよそ3%を支払うことになっています。4000万円の物件であれば120万円程度を三栄建築設計は自社物件を売ってくれた仲介業者に仲介手数料として支払うわけです。そこで、そのコスト削減を兼ねて100%子会社のメルディアリアルティという不動産仲介会社での自社物件販売を精力的に強化しています。
     20年8月期は545件でしたが21年8月期は872件に急増しています。
     今後も自社販売比率は上げていく方針であり、メルディアリアルティの社員の給与部分で販管費は増加しますが、自社物件一つ当たり営業利益率を3%分押し上げることになるので一人当たり販売数が大きくなれば大変大きな効果があります。

     私も三栄建築設計のメルディアリアルティで二回分譲戸建てを見に行き、営業マンともたくさん話したのですが、そこで一番大きなインパクトを受けたのは『三栄建築設計の物件では戸建てとして完成する前の段階で全物件の50%程度が例年売れている』ということでした。
     分譲戸建ての良さは完成物件そのものを見て購入判断できるところだと思っていたのですが、最近だと土地+物件の完成予想図レベルで売れる勢いとのことで、私が10月に見に行った愛知の店舗では完成在庫が3棟しかなく、後は引き渡し待ちばかりという状況で、業績をこれだけの材料で確定づけることはできませんが好調なのは間違いないと感じました。

     また、私の個人的な価値観ではありますが、三栄の物件は値段に対してホントにおしゃれな物件が多くさすがデザインにこだわっている家ならではという印象でしたね。


    5.懸念材料


     三栄建築設計の主戦場は東京近郊になります。感覚としては23区というかはもう少し外側というイメージのエリアでコンパクトな土地に3階建て戸建て分譲で手ごろな価格という戦略です。狭く感じる印象がありますが、実際に3階建ての物件見学をしてみると中は広く感じるからとても不思議でした(笑)。
     一番の競合はオープンハウスです。オープンハウスは23区内がメインですが最近は徐々に外側にも進出してきているご様子です。
     とはいえ競合しているとはいえパイは大きいのでこれによって業績がいきなり落ち込むとかはそこまで懸念する状況ではないかと思います。

     現状の株価は大体の悪材料を織り込んでいるように感じがしているのですが、ここにさらに重なってくる想定の悪さとしては代表の株が立会外分売りではなく市場売却でされた場合かと思います。あくまでこれは短期的な需給の話ではあるのですが、市場売却だとメッセージは何もなく、大量保有報告書で投資家は知ることになります。
     この場合、例えば今の安値で売却しようものなら『代表が今の株価で売る』
    ⇒『今後の業績や株価上昇の材料がないから今が高値』⇒『今期~来期の見通しが暗い』というメッセージ性をもたらすことは想像に難くありません。
     願わくば好材料と合わせて立会外分売りで流動性に貢献して頂きたいところです。

     あと、これは商習慣と言うものなのかもしれないのですが、三栄建築設計は8月期決算ですが4Q偏重で売上が立ちます。
     8月期の不動産販売なのに4Q偏重な理由が全く分からなかったのですが、これは『絶対何としてでも年間売上を達成させるんだ!』という発破が掛かっていることが大きな原因であることが取材によって分かりました。
     締め切り効果は大変偉大であることは執筆を迫られて記事を徹夜で仕上げることが多い私には非常によくわかります。が、しかし、4Q偏重で売上を作ろうとするあまり4Qの粗利率が例年ほかに比べて2%~4%悪いというのは大きなマイナスポイントです。粗利率が大きく下がるということは4Qで他の四半期に比べ値下げしてでも販売を頑張っているという証拠です。

     同業の分譲戸建て住宅プレーヤーの飯田グループホールディングス・オープンハウス・ケイアイスターも4Q偏重ということはなく、粗利率も極端にばらついたりもしていません。ということは4Qに大きく値引き販売をしてまで売らなくても売れるであろう物件を業績予想の売上ノルマを守るためにそうしているという可能性が濃厚です。
     取材においても4Qは値引き枠も大きく設定しやすく、完成3か月以上の売れ残り完成在庫も4Qでしっかりと整理するという意向もあるようです。
     物件完成前に50%が成約するとは言っても売上として計上されるのは物件引き渡しベースである以上、4Qに売上が立つように土地仕入れをしているともいえるわけです。

     この問題を根本から解決するにはおそらくは1年~2年程度業績予想との数字のズレを作ることになるでしょうし、そもそもそういうリズムでビジネスを長年してきてしまっている以上はそう簡単に切り替えれない可能性も大いにあり得ます。粗利率を下げずに4Q偏重であれば良いのですが、粗利率を下げてまで売る必要があるかというのはどうしても疑問が残ります。
     経営陣がどのように考えているのか?を聞いてみないことにはここに関しては判断しにくいのですが、粗利率を低下させてまで売ってしまうべきは不人気物件だけで良いと思います。今後こうしたところも経営効率改善で利益率がダイレクトにプラスになるポテンシャルがあるともいえます。

    ・三栄建築設計
     株価       1806円
     時価総額     383億円
     今期予想     PER5.4
     今期予想     PBR0.75
     今期予想配当利回り 4.15%

     同社はESG・SDGsの観点でも国産材使用と植樹ということをやっています。これによる環境への効果は決算説明会資料で詳しく書かれているのでご覧ください。
     同社は長期的には5000棟の分譲戸建てプレーヤーを目指しており、
     19年8月期が1600棟
     20年8月期が1696棟
     21年8月期が1990棟
    の引き渡し件数の伸びを記録しています。分譲だけではなく注文住宅も伸ばす方針です。
     現在は販売部門も設計・開発部門も人員採用を拡大しており、真剣に目指していると思われます。また、時代の変化によってYouTubeでの営業効率アップは非常に強力な物となってきています。

     こうした様々な施策が成果として実る頃には業績も株価も配当金も大きく成長していると大いに期待したいと思います。


    それではまた!

    『全力全開全力前進!!!』


    (相川伸夫)


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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