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村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その1
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村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その1

2022-11-30 18:24
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    ===村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編(1回目)===


    =はじめに=



     セゾン共創日本ファンドの保有銘柄の1つである村田製作所の保有理由の一部をまとめたものです。村田製作所のコンデンサ事業の将来性を感じていただくために執筆いたしました。

     第1部で村田製作所のコンデンサ売上の推移やその中核となるMLCCの基本を説明します。海外売上が中心に村田製作所の売上は急拡大していますが、国内売上も頑張っていることをご紹介します。

     第2部ではMLCCの高付加価値化の長期トレンドをご紹介します。
     高耐圧や高温特性の求められる領域が自動車やロボットでは求められるのですが、長期の業績の強い追い風となることを説明いたします。

     第3部では自動運転など、今後、車の情報処理量が膨大になることがMLCCの需要の拡大にどうして結びつくのかをお話します。


     今回は、MLCCを中心にお話しますが、バンド数が劇的に増えているRFモジュールやSAWフィルターの動向もあり、次回以降で、その他の部門の成長力について解説していくつもりです。


    ■第1部 MLCCビジネスと基本知識について

    =村田製作所にとってのMLCCビジネス=



     2022年3月期の村田製作所のコンデンサの売上は7,885億円でした。

     村田製作所はITバブルのときに急成長しコンデンサ売上が2,000億円を突破したのですが、そのITバブル崩壊後は1,000億円台の売上が5年間続きました。
     2017年度と2021年度にそれぞれ4,000億円、7,000億円を突破しました。

     過去20年間の増収率の平均は9%(連続複利)でした。
     増収率の標準偏差は14%程度でした。
     過去10年では増収率15%でその標準偏差は10%でした。

     コンデンサ売上の増収率9%と標準偏差14%として、今後9年間を見通してみます。正規分布を前提とすれば、期待増収率は81%(9年後コンデンサ売上2.2倍)で想定リスクは42%となります。およそ7割以上の確率で売上は1.5倍になる計算です。およそ2割の確率で売上は2.7倍になる計算です。
     増収によるスケールメリットで利益率も上昇するでしょう。
     MLCCビジネスの利益率が4~5割になり、利益率が1.5-2倍で売上が2-3倍になれば、コンデンサ事業の利益は3-6倍となる計算です。

     コンデンサ売上の大半はMLCC(積層セラミックキャパシタ)です。

     村田製作所にとってのMLCCビジネスはもっとも収益性が高く、成長も期待できる事業のひとつです。車載向けで5割のシェア(21年インフォメーションミーティング資料32ページ)を誇ります。
     22年4-6月期のコンデンサの売上は2,000億円強ですが、利益率はセゾン投信の推定で30%台と見ております。コンデンサの売上のうち3割弱は車載用途ですから、ここが将来、わたしたちの見通しでは数倍になっていくと想定しています。

     MLCC全体としては生産能力で毎年1割程度の増加ペースです。

     増収率がおよそ1割であればそれ以上の増益が期待できるわけですから、将来に向けて高い利益成長が期待できます。


    =成長は海外売上だが国内売上も増加中=


     村田製作所のコンデンサを含む全社売上と海外売上は以下の通りです。

    1980年 国内売上  300億円 海外売上    104億円
    1990年 国内売上1,535億円 海外売上    596億円
    2000年 国内売上1,561億円 海外売上  3,030億円
    2010年 国内売上1,008億円 海外売上  4,299億円
    2020年 国内売上1,380億円 海外売上1兆3,959億円

    (村田製作所有価証券報告書よりセゾン投信作成)


     22年3月期では国内売上は1,642億円まで回復。

     海外で勝ち、国内でも成長を続けるよい循環に入ってきました。

     厳しい円高を乗り越え、村田製作所は国内雇用の増加にも十分に寄与しているのです。


    =寄り道 よき相性。よき思い出=


     村田製作所は、わたしにとっても思い入れが深い銘柄で、クレイフィンレイで米国年金を運用しているときに担当し、97年当時は株価が3,000円台でした。
     90年代後半の村田製作所の営業利益は200億円程度でしたが、ITバブルで携帯電話の普及で需要が大きく育ち、2000年度には1,700億円もの営業益を稼ぎ出し、株価は2万円(分割調整前。その後の分割換算で8,500円)を超えたのです。

     パフォーマンスに大貢献してくれた相性のよい企業です。
     ところがこの1,700億円という利益は顧客からのダブル発注によって生じたバブルでした。
     翌年度には利益は510億円に急減し、株価も長期の低迷に入りました。
     ITバブルのピークの株価を超えたのは2020年に入ってのことでした。
     ITバブル当時は村田製作所のPERは70倍あったものです。
     当時のテック企業のPERは少し高すぎました。

     その後、コンデンサ事業の拡大などで村田製作所の利益は大きく成長し、2021年度の村田製作所の営業益は4,000億円を超えるまでになりました。
     PERは22年9月現在15倍程度ですので、合理的な低水準にあります。


    (つづく)


    山本 潤 セゾン投信共創日本ファンド ポートフォリオマネージャー



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    加入協会:一般社団法人 投資信託協会

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