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 読者の皆様、あけましておめでとうございます。
 本年も宜しくお願い致します。


 さて、株式市場は新年早々から売り込まれています。筆者に景気の先読みが出来る訳ではありませんが、今年の景気を相当弱気に見ているのか、または海外ファンドが日本株売りを出しているのか。いずれにしても外人投資家頼みの日本市場ですから、まずは当局がここを理解しないことには効果の無い投資家誘導策が続くことになります。


 先月末ころにNYで運用の仕事をしている友人と話しましたが、今年の金融市場についてはかなり混乱する可能性が高いと考えていることが分かりました。

 まず、FRB(連邦準備理事会)による利上げについては徐々に縮小してくるものの、金利が高止まりすることにより債券市場(特にハイイールド債(HY)など)に大きくベットしているファンドのパフォーマンスが悪化した状態が続くことで解散するファンドが増えそうなこと。また最近では収益が大きく落ち込む銀行が増えると同時に、運用難で身売りを希望するVC(ベンチャーキャピタル)が急増しているとのことです。

 今のところ買い手が見当たりませんので2023年中には投げ売りになる懸念もあるとのことでした。金利高により投資先の評価(バリューエーション)が押し下げられますから資産価値評価も厳しいものになっているのでしょう。


 市場金利については既にターミナルレートが一旦5%を付けていますし、来年早々には0.25%程度の利上げに留まると予想され、4%台のレートを超えないとの予想も出てきているようですが、景気悪化と共に市場金利が高止まりするようなら債券運用のパフォーマンスは悪化します。

 不動産市場については一定の需要が見込まれており、労働需給の逼迫も続くと予想されていることからFRBも簡単には利下げには動けないだろうとの見立てです。


 日本の株式市場については既に利上げ予想分を織り込んでいるため、もうそれほど下がらないだろうとは言っていました。とは言え、外人投資家の資金の退潮が続けば日本株は下がらずとも上がるとは見込めないため、万が一のショックにも耐えられるよう、保有する銘柄は厳選し、その一方で不動産などの金利敏感株をショートしておくのが安全ではないかとのコメントでした。

 日本は利上げを続けられる状況でも無く、今のところは景気悪化にも至らないとのコメントも見ますが、リーマンショック頃を思い返すに、当時は「EPS(1株当り利益)が500円を割る、割らない」といった議論の中で日経平均株価が7,000円~8,000円辺りを推移していたことを思い出します。
 大きなショックがあると企業利益は物凄い勢いで減ることがある訳です。


 振り返れば、一昨年11月頃には「年度内には30,000円を超え、翌年半ばには35,000円!」と言った威勢の良いコメントを出されたアナリスト(エコノミスト?)が何人かいらっしゃいましたが、既に上昇しはじめていた資源価格の影響を見落としていましたし、年を超えて間もなく始まった円安、そしてロシアによるウクライナ侵攻と言った想定外の事態も重なり、株式市場は大きく動揺を繰り返しました。

 今は2,000円強のEPS予想が続いているため、仮にPER13倍とすれば少なくとも日経平均株価は26,000円辺りを維持するとの前提での投資が可能ですが、投資においては何が起こるか分かりません。あれもこれもと手を出さず、余裕を持ったポートフォリオを作っておきたいところです。


 足元の投資環境としては、上昇が続く市場金利、資源高、欧米の景気悪化懸念、中国の景気低迷・・・等々があります。現在の市場はこれらの懸念を織り込みつつの動きと捉えていますが、市場環境が不透明な間は強気にはなれません。
 日本は米国市場の動きに大きく左右される市場でもあり、悩ましい市場動向が続きそうな予感がします。


 ご参考まで、このような環境下で筆者の株式ポートフォリオは、昨年売り込まれたIT企業やEC企業、需要増が見込まれる資源や非鉄、配当利回りの高い業績安定企業と言った銘柄に分散投資しています。

 余談ですが、いずれは世界の市場金利も落ち着いてくると予想されますので、長い目で見れば海外の高金利市場(主に新興国)への投資も検討する時期に入っているのかも知れません。入り口としてはエマージング債に投資するETFかなと思います。


 また、今のところ株式市場が大きく下落するような事態は想定し辛いため、日経平均が26,000円を割っているのに今以上に弱気になる必要があるのか?とも感じますが、とは言えある程度のキャッシュポジションを維持するなど、万が一の市場変化にも耐えられるよう無理の無い運用をと考えています。


 本年も読者の皆様のご活躍と、ご健康をお祈りいたします。


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)