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「味方に付けると頼もしい、敵にすると厄介なものとはなんでしょう?」
答えは金利です。
多くの漫画では、敵キャラが味方に転じると頼もしいものですが、金利も同じです。
億近読者のみなさんこんにちは。金融教育の専門家、遠藤です。
日本人は、金利に馴染みがありません。理由は、預金も国債も金利がほとんど付かないからです。
預金の金利はほぼ皆無に等しいのに対し、皮肉なことにお金を借りる時には金利が発生します。
日本で生きていると、金利は自分に恩恵をもたらさないのに、ちょっとお金を借りただけで請求される悪しきものだという印象を持ってしまいます。
「味方にはならず、敵にしかならないもの」が日本人にとっての金利です。
ゆえに、金融教育の業界では「お金を借りるのは怖いこと」ということを教える時くらいしか金利は登場しません。一応、投資の複利の話とかで金利は登場しますが、理論を話したあとに「でも日本の銀行では金利が付かないんです」という理想と現実のギャップを話すのでシラけてしまいます。
「昔は金利が付いたんです」と話しても、子供たちは「で?」と思うでしょう。
味方としての金利の話をしっかり理解するなら「債券投資」の話が適切です。
たとえば、米ドル建ての債券であれば、最近は3~4%程度の利率のものが珍しくありません。100万円で外債利率3.75%の外債を買えば、年間3万円の金利が得られます。為替リスクはありますが。
この3万円で外国株式インデックスファンドを買ったとします。インデックスファンドの平均リターンを年8.5%とします。
金利でこの投信を買う作業を、20年繰り返すと、合計60万円の投資を金利だけで行うことができます。平均リターンが8.5%だったなら、3万円の金利の蓄積60万円は20年後に156万円になる計算です。
元本の100万円との合計の資産は256万円になります。この資産を再度3%の金利の債券にすると年間の金利は7.6万円になります。先ほどと同じように外国株式インデックスファンドにこの7.6万円を放り込んだとします。
20年で金利の蓄積は152万円になりますが、運用結果は約390万円になっている計算になります。
総資産は元金256万円+投資信託390万円=646万円です。
100万円が40年かけて646万円になったということです。
100万円を40年かけて積立投資する場合、毎月の積立額は2083円です。毎月2083円の積立で646万円を得るためには、年7.6%の利回りが必要です。
金利で積立投資をすることで利回りが2倍に跳ね上がっていることになります。しかも、債券が軸にある投資なので、リスクは案外低い。
「そんなのS&P500への積立ならもっといけるじゃん。楽勝だよ。」という声が聞こえてきますが、実は株式投信への積立投資は終盤がハイリスクなのです。
株にしか投資していないと、積立の終盤で莫大な資産が株オンリーに投資されていることになり、怖くなります。
S&P500は過去30年で10倍になりましたが、再現性があるかは不明です。不確実性のことを「リスク」といいます。リスクを取りたい人は、30年で10倍を目指してもいいでしょう。
ただ、日経平均株価のバブルからの30年を見たら、「絶対は存在しない」ことは明白です。
積立を利用した方が、リスクが下がることは確かです。
金融教育の現場において、金利の話をする際に、複利の話をするのはセオリーです。ただ、再投資の不確実性の話をする人はほとんどいません。
実際、米国長期金利が年1.5%の時期には、3%の再投資はできないわけです。
どうせ再投資金利の利率が不確実であれば、ハイリスク市場の株に放り込んだ方が、合理的ではないか、というのが今回のお話です。
こんな話をしていくうちに、子供たちに
「なんで外国は金利が高いんだ?なんで外国株はなんだかんだで上がってきてるんだ?」
という疑問が湧いたら狙い通りです。
日本も生産性を上げれば、物価があがり、金利も上がるのではないでしょうか。
元気な日本を目指すためには、金融教育が必要です。
(遠藤)
[遠藤 功二氏 プロフィール]
日本FP協会認定CFP
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
MBA(経営学修士)
大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。
子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)