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マーケットは案外強く、バックミラーの業績の悪さにフォーカスが当たらないところを見ると、もしかしたら、出来過ぎと思う人も多いか。
たとえばアップルは1-3月のPC販売が激減。TSMCもコンセンサスには届かなかったが、地合いや株価にはさほど影響なかった。
安川電機も4Q受注は弱かったが特段、材料視されなかった。
カーボンゼロ、低消費電力へとインフラの総とっかえ需要があるので、景気の谷があるようには思えない。人々が前向きな気持ちになっている限り、過度に懸念はいらないのではないかと思うが楽観的すぎるか。
さて、本日は、経営のお話。
グローバル経営における難しさとして異文化コミュニケーションがある。
エンゲージメントをする上で、海外の人材と日本本社とのコミュニケーションの重要性がわかってきた。
たとえば海外に進出する日本企業は多いが、彼らの海外が上手くいかないときがある。
海外事業は現地マネジメントで運営するので、日本と海外との文化の違いで海外拠点が「本社はわかっていない」となるのが一番怖い。
書籍「異文化理解力」(エリン・メイヤー 英治出版)の95ページにはとても参考になる。
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例として、英国人とオランダ人とのミスコミュニケーションの例が面白い。
オランダはまさに米国と同じで、面と向かっていわないとわからないし、額面通りに受け取る文化。一方で、イギリスはやや空気を読む文化でハイコンテクストな文化。
イギリス人が「失礼ながら」というとき、イギリス人が意味することは「あなたは間違っている」なのだが、オランダ人はそうはとらず、「彼はわたしに賛成している」ととる。
イギリス人が「ああ、ところで」というと、その意味は、「ここからが本題だ。次の批判こそがこの話し合いの目的だよ」なのだが、オランダ人はそうとらず、「これはあまり重要じゃないんだ」と受け取ってしまう。
イギリス人が「何か別の選択肢はありませんか?」と聞くとき、それは「あなたの意見はよいものではない」という意味なのだが、オランダ人は「まだ決断しないのか?」と受け取ってしまう。
イギリス人が「もう少し考えてみてください」というとき、彼の意味するところは、「悪いアイデアです。やめてください」なのだが、オランダ人は「よいアイデアなんだな。もう少し掘ってみよう」と頑張ってしまう。
イギリス人が「確かにわたしのミスです」というとき、その意味は「わたしのミスじゃない」なのに、オランダ人は「彼のミスだ」と受け取る。
イギリス人が「それは独創的な観点だね」というとき、意味は「君の意見は愚かだ」なのに、オランダ人は「ほめられた」ととる。
このミスコミュニケーションのせいで、穏やかな紳士の英国人上司をもった若いオランダ人は首になるところまでいってしまったという。
オランダ人は小さいときから、ネガティブなフィードバックに慣れているという。ハイコンテキストな国の日本の経営者を相手にしなければならない外国人の大変さはわたしたちの想像を絶するほど大変なのではないか。
もちろん、サクセッションプランがしっかりしていて、海外とのコミュニケーションを取る中で、失敗しながら学んでいくものなのだろうが、その場合も、やはり、ロジカルにこのような異文化同士のコミュニケーションに最初から悩まずに、それを円滑にするためには、ノウハウ本を最初に読んでおいた方がよいのではないかと思った。
直接的なネガティブなフィードバックが好まれる国は、ロシア、フランス、イスラエル、デンマーク、オランダ、スペイン、オーストラリア、イタリアなど。
直接的なネガティブフィードバックとは、素直に単刀直入に正直に伝えること。「間違いなく不適切です」「まったくもってプロじゃない」。グループの中で個人に批判を向けても問題がない。
一方で、間接的にネガティブフィードバックをしなければならない国は、日本、タイ、インドネシア、サウジアラビア、インド、ガーナ、中国、韓国。
この場合は、ポジティブなメッセージでネガティブを包み込むように1:1で話す必要がある。言い方は、「少しプロフェッショナルではない」「やや不適切かも」という表現に留めること。
英国や米国は中央にある。
面白いのは日中。どちらも同じ文化圏なのだが、日本人はよく中国人に腹を立てる。
米国人は素直だと思われているが、実際には、配慮ができる発言をする。
同じ人でも、ある文化圏では、無神経で無礼で侮辱的と思われるが、一方の文化圏では、成実で、裏表がなく、正直だと思われる。
コミュニケーションにおいては「正しさ」を振りかざしても、必ずと言ってよいほど相手はわかってくれない。
適確で図星なことをいわれると、むしろ、憎まれてしまう。
そこが経営の難しいところだなあわたしは思っている。
だから、言ってもわからない人には何も言う必要はない。
言ってわかるぐらいならとっくにそうなっている。
そうなっていないのは、彼らの生き方は変わらないからだ。
変わらない生き方をする人々に関わる時間は実際には無駄である。
日々、努力し、謙虚な人々と働き、ほめつつ、共に頑張るのがよい。
万人にサービスする必要はなく、身近な地域社会や友人を大事に頑張っていくしかない。
わたしならばこの生き方でよいが、経営者はそれではすまない。
経営者というものはつくづく大変な職業だと思う。
(NPO法人イノベーターズ・フォーラム理事 山本 潤)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)