生成AIによって世の中が変わろうとする中で今やオールドエコノミーとなってしまった印刷ビジネス会社、名古屋を拠点に活動する笹徳印刷(3958)が9月22日にスタンダード市場にIPOし、上場後7日目にしてPBR0.4倍割れの典型的な低PBR銘柄となってしまいました。
 PBR0.4倍割れというのは内部蓄積してきた自己資本に対して時価総額が6割も下回っている状況です。

 6月決算で前期は売上高130.4億円、営業利益3.63億円、経常利益5.85億円(受取配当金と受取賃貸料が1億円、1億円近い保険解約金返戻金と合わせ2億円を営業外収益に計上)という業績ですが、決して収益性が高いとは言えませんが、黒字は計上しているといった企業です。
 王子製紙などのパッケージ印刷を収益源としており、業績は比較的安定していますが、決して成長性が高いとは言えず、IPOの目的は不明ですが、恐らくは長期保有の株主の要請に応えたものと推察されます。いわゆるIPOゴールかと言えそうです。
 その結果当然のごとくIPO後の株価には投資家のネガティブな反応が見られ本日は早速にPBR0.4倍割れという評価になってしまったと考えられます。

 発行済み株式数618.5万株、自己株118.7万株のうち50万株は公開時に売却(公開価格600円)され同社には3億円が入ったかと見られますが、IPOしたての企業がPBR0.36倍は珍現象と言えそうです。

 自己株を除く時価総額は33億円程度ですが、前期末保有現預金19.1億円、投資有価証券29.95億円、保有土地建物44.5億円、これに対して有利子負債10.8億円(短期6.8億円、長期4億円)です。つまり時価総額は有利子負債を除く実質保有金融資産38.25億円を大きく下回っているということになります。
 しかもIPO時に自己株放出で3億円が同社には入っており、バリュー銘柄の位置づけに既になってしまったことになります。

 株価は初値680円で本日は公開価格600円を下回るまでになってきました。PER9.4倍、PBR0.36倍、配当利回り3%の銘柄になっており、ここから一段安となるのか気になるところです。


(炎)


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