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新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。
年初来約57%上昇した日経平均株価、そして円安が年間約21%進んだ2013年巳年から午年の2014年が明けました。昨年のお祭りの二日酔いのため か、年明けは反落から始まった株式市場。ドル・円相場は年初105円半ばの抵抗線を抜けなかったこともあり、104円台に反落してもみ合いとなっていま す。
2013年の対米ドルでの主要通貨パフォーマンスで、上昇トップはデンマーク・クローネ、続いてユーロの2通貨が約4%の上昇。その他上昇したのは、スイス・フラン、英ポンド、スウエーデン・クローネとすべて欧州通貨でした。
一方、下落したのは、21%の日本円に続き、14%下落した豪ドル、8%下落のノルウエー・クローネ、カナダ・ドルは6%下落。日本円以外の主要通貨で下落したのは、ほぼ資源国通貨と呼ばれる通貨です。
昨年は、リーマンショックから5年が経過し、米国経済の回復が指摘されるようになり、5月にはFRB議長が量的緩和の段階的縮小について言及。それをきっかけに、米国金融政策の変更が市場の最大関心事となりました。
結局、昨年末行われた金融政策決定会合で、今月から少しずつ縮小していくことが決まったことは周知の通りです。その間、米国債10年もの金利は、年初1.69%から、年末には3%を超える水準まで上昇しました。
一方、日本銀行は昨年4月に『異次元の量的緩和』を開始。お金をばら撒いた結果、年末にはマネタリーベース201兆円と目標を突破したとのこと。両国の金融政策の置かれた位置の違い、出口への時期の差は、為替相場のドル高、円安をサポートする大きな要因になりました。
もう一つの主要通貨ユーロは、上昇して終了。ユーロ圏経済の回復の目がドイツ中心に出てきたことに加えて、スペインやイタリアなどの問題国の債券価格の上昇にも見られるように信用度が向上したこともポジテイブな要因でした。
逆に、日本の金融危機後と同様に、金融不況が長引くという見方からのデフレ懸念も指摘され、デフレ時の通貨高と見る向きもあります。加えて、銀行規制に関連して、金融機関が海外資産を本国に戻すためのユーロ買いもユーロ高の背景になったでしょう。
ドル・円相場を見ていると、昨年は米ドル高で終わったと思いがちですが、米国の主要貿易相手国通貨をバスケット通貨として建てているドル指数(インデッ クス)は、年足79.60で始まり80.035で終了。ややドル高ですが、長いスパンでみると安値圏(ドル安)でうろちょろの場所にいます。昨年の場合 は、比重が高い(31%)ユーロ上昇が影響したこともありますが、相対的にはドル高ではないわけです。米国への輸出が大きい中国の通貨、人民元は年間 2.8%上昇。ドル安、人民元高が進みました。欧米諸国が求めてきた人民元レートの修正が進行中です。
昨年の振り返りが長くなってしまいました。
さて今年は?
一番の関心事、ドル・円相場を考えてみたいと思います。
ドル・円相場のローソク足チャートの年足、昨年は大きな陽線でした。
21%のドル高円安、2012年は陽線でしたが13%高でしたから、昨年の陽線の大きさは際立ちます。1970年代からの推移を見ると3年連続で大きな 陽線が続いたことはありません。もちろん、ドル・円の歴史が360円から基本的に円高へ動いた歴史が続いたこともありますが。ちなみに株式市場は年末に最 高値で終わった翌年は良かったように記憶しています。
午年のジンクス(尻下がり)を覆し、3年連続の大陽線になるか!?
今年はチャレンジの年なのでしょう。
円安のサポート要因は、日本の貿易赤字の恒常化、インフレ格差(日本の期待インフレ率の上昇と米国のインフレ率の低下)、米国経済の復調、金利差(日本の実質金利のマイナス化により金利差拡大)、日本の量的緩和の継続期
待+消費増税に関連して、さらなる緩和拡大期待があること)。
投資面では、日本株投資の外国人による円売り、日本の投資家の外国投資の増加などもあげられ、円安の背景は納得しやすい要因が多数あります。105円 50銭の抵抗線を突破すると、次の目標値は108円水準か?! あるいは110円か?!と、予想したいところですが、逆に動く要因にも目を開き耳を傾けて おくことも必要でしょう。
100円に乗せてからのドル・円相場上昇を支えてきた大きなポイントは、日銀による更なる金融緩和期待です。今年は4月から消費増税が実施されますの で、その悪影響に対する政策実施、或いは、インフレ目標2%の達成のための追加緩和もあるかもしれません。ただ、その場合でも、影響の分析を考えると、今 春というより年後半か?と考えます。
また、順調にインフレ率が上昇した場合に、長期金利が今の状態(0.6~0.7%)でおさまっているだろうか? という懸念もあります。日銀が長期債の 多くを買っているので大丈夫!でしょうか? 基本的には、異常事態への対応ですから、いつかはボロが出るかもしれません。
貿易赤字の原因となっている燃料輸入の構造が変化して貿易赤字構造が変わる、というのも現状では考えにくいわけですが、想定外があるかもしれません。
安倍政権の持つ政治的リスクにも注意を払っておいた方が良いかもしれません。アベノミクスの新たな戦略がでない、効果があらわれない、との失望もあるでしょう。
国際包囲網から「円安操作をしている」というスタンプを押されるような事があると、大きく相場が戻す場面も考えられます。
米国経済が本格的に回復するのかどうか、ということも勿論注目しておかなければなりません。
想定外をのぞけば(実際には想定外が大事なのですが)、基本的には、円安基調は大きく変わらないと思いますが、大きな円高修正から3年目を迎えるわけ で、過去2年間のパワー使い過ぎによるスピード調整の可能性は高いと思います。やや冷静に見ながら参加していく必要があると思っています。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
今年も拙コラムによろしくお付き合いのほど、お願い申し上げます。
*1月8日正午執筆
本号の情報は1月7日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
本年もよろしくお願い致します。
年初来約57%上昇した日経平均株価、そして円安が年間約21%進んだ2013年巳年から午年の2014年が明けました。昨年のお祭りの二日酔いのため か、年明けは反落から始まった株式市場。ドル・円相場は年初105円半ばの抵抗線を抜けなかったこともあり、104円台に反落してもみ合いとなっていま す。
2013年の対米ドルでの主要通貨パフォーマンスで、上昇トップはデンマーク・クローネ、続いてユーロの2通貨が約4%の上昇。その他上昇したのは、スイス・フラン、英ポンド、スウエーデン・クローネとすべて欧州通貨でした。
一方、下落したのは、21%の日本円に続き、14%下落した豪ドル、8%下落のノルウエー・クローネ、カナダ・ドルは6%下落。日本円以外の主要通貨で下落したのは、ほぼ資源国通貨と呼ばれる通貨です。
昨年は、リーマンショックから5年が経過し、米国経済の回復が指摘されるようになり、5月にはFRB議長が量的緩和の段階的縮小について言及。それをきっかけに、米国金融政策の変更が市場の最大関心事となりました。
結局、昨年末行われた金融政策決定会合で、今月から少しずつ縮小していくことが決まったことは周知の通りです。その間、米国債10年もの金利は、年初1.69%から、年末には3%を超える水準まで上昇しました。
一方、日本銀行は昨年4月に『異次元の量的緩和』を開始。お金をばら撒いた結果、年末にはマネタリーベース201兆円と目標を突破したとのこと。両国の金融政策の置かれた位置の違い、出口への時期の差は、為替相場のドル高、円安をサポートする大きな要因になりました。
もう一つの主要通貨ユーロは、上昇して終了。ユーロ圏経済の回復の目がドイツ中心に出てきたことに加えて、スペインやイタリアなどの問題国の債券価格の上昇にも見られるように信用度が向上したこともポジテイブな要因でした。
逆に、日本の金融危機後と同様に、金融不況が長引くという見方からのデフレ懸念も指摘され、デフレ時の通貨高と見る向きもあります。加えて、銀行規制に関連して、金融機関が海外資産を本国に戻すためのユーロ買いもユーロ高の背景になったでしょう。
ドル・円相場を見ていると、昨年は米ドル高で終わったと思いがちですが、米国の主要貿易相手国通貨をバスケット通貨として建てているドル指数(インデッ クス)は、年足79.60で始まり80.035で終了。ややドル高ですが、長いスパンでみると安値圏(ドル安)でうろちょろの場所にいます。昨年の場合 は、比重が高い(31%)ユーロ上昇が影響したこともありますが、相対的にはドル高ではないわけです。米国への輸出が大きい中国の通貨、人民元は年間 2.8%上昇。ドル安、人民元高が進みました。欧米諸国が求めてきた人民元レートの修正が進行中です。
昨年の振り返りが長くなってしまいました。
さて今年は?
一番の関心事、ドル・円相場を考えてみたいと思います。
ドル・円相場のローソク足チャートの年足、昨年は大きな陽線でした。
21%のドル高円安、2012年は陽線でしたが13%高でしたから、昨年の陽線の大きさは際立ちます。1970年代からの推移を見ると3年連続で大きな 陽線が続いたことはありません。もちろん、ドル・円の歴史が360円から基本的に円高へ動いた歴史が続いたこともありますが。ちなみに株式市場は年末に最 高値で終わった翌年は良かったように記憶しています。
午年のジンクス(尻下がり)を覆し、3年連続の大陽線になるか!?
今年はチャレンジの年なのでしょう。
円安のサポート要因は、日本の貿易赤字の恒常化、インフレ格差(日本の期待インフレ率の上昇と米国のインフレ率の低下)、米国経済の復調、金利差(日本の実質金利のマイナス化により金利差拡大)、日本の量的緩和の継続期
待+消費増税に関連して、さらなる緩和拡大期待があること)。
投資面では、日本株投資の外国人による円売り、日本の投資家の外国投資の増加などもあげられ、円安の背景は納得しやすい要因が多数あります。105円 50銭の抵抗線を突破すると、次の目標値は108円水準か?! あるいは110円か?!と、予想したいところですが、逆に動く要因にも目を開き耳を傾けて おくことも必要でしょう。
100円に乗せてからのドル・円相場上昇を支えてきた大きなポイントは、日銀による更なる金融緩和期待です。今年は4月から消費増税が実施されますの で、その悪影響に対する政策実施、或いは、インフレ目標2%の達成のための追加緩和もあるかもしれません。ただ、その場合でも、影響の分析を考えると、今 春というより年後半か?と考えます。
また、順調にインフレ率が上昇した場合に、長期金利が今の状態(0.6~0.7%)でおさまっているだろうか? という懸念もあります。日銀が長期債の 多くを買っているので大丈夫!でしょうか? 基本的には、異常事態への対応ですから、いつかはボロが出るかもしれません。
貿易赤字の原因となっている燃料輸入の構造が変化して貿易赤字構造が変わる、というのも現状では考えにくいわけですが、想定外があるかもしれません。
安倍政権の持つ政治的リスクにも注意を払っておいた方が良いかもしれません。アベノミクスの新たな戦略がでない、効果があらわれない、との失望もあるでしょう。
国際包囲網から「円安操作をしている」というスタンプを押されるような事があると、大きく相場が戻す場面も考えられます。
米国経済が本格的に回復するのかどうか、ということも勿論注目しておかなければなりません。
想定外をのぞけば(実際には想定外が大事なのですが)、基本的には、円安基調は大きく変わらないと思いますが、大きな円高修正から3年目を迎えるわけ で、過去2年間のパワー使い過ぎによるスピード調整の可能性は高いと思います。やや冷静に見ながら参加していく必要があると思っています。
最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。
今年も拙コラムによろしくお付き合いのほど、お願い申し上げます。
*1月8日正午執筆
本号の情報は1月7日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)