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市場潮流

2014-04-14 13:25
    今週(4月7日~11日)の東京株式相場は、日経平均株価が週間で1103円の大幅な下落となりました。週初より米国株安と円高により売りが優勢となり、下落が続きましたが、本日11日は前日比340円安の1万3960円と約2カ月ぶりに年初来安値を更新しました。

     大幅下落の要因として説明されているのは、米国株とりわけハイテク株の下落および日銀の黒田総裁が日銀金融政策決定会合後の記者会見において「現時点で追加的な緩和は考えていない」と言明したことです。

     米国株の急落は、
    1)米主要企業の1~3月期の決算が減益との見方が一部で浮上した
    2)「モメンタム株」と呼ばれるグーグルやフェイスブックなどへの売りが膨らんだ
    とされています。また、海外のヘッジファンドは「モメンタム・プレー」(ほかの市場や銘柄の株価下落の勢いに便乗して、類似した銘柄に売りを膨らませること)と呼ばれる売買手法により、国内のハイテク銘柄も売っています。
     しかし、これまでも紹介しましたが、14年度の企業業績見通しは、日米欧の主要先進国のなかでは、日本の伸びが他を大きく凌駕しています。米主要企業の業績が停滞するようですと、かえって国内企業の堅調な業績がクローズアップされるのではないでしょうか。
     日経平均株価が1万4000円を割り込んだことで、日経平均株価ベースの予想PER(株価収益率)は13倍台となりました。国際比較でも割安感が強まっ ています。国内企業が14年度の見通しを控えめに公表する可能性がありますが、米国の景気が記録的な寒波の影響が薄れることで復調しつつあること、円高が 進んだとはいえ、100円を割り込むような動きになっていないことなどを勘案すれば、自動車など加工型製造業を中心に14年度は2桁営業増益を達成するで しょう。
     短期的なヘッジファンドの動きに惑わされることなく、中長期的な観点で押し目買いに徹するべきと考えます。

     日銀の黒田総裁が追加緩和を否定するのは、ある意味当然でしょう。黒田総裁は、「追加緩和をマーケットが織り込む」ことを嫌う傾向があります。マーケットが「予期しない時期に予期しない規模で」追加緩和を実施することを狙っているはずです。
     また、消費者物価指数が上昇基調にあるため、長期金利(10年国債利回り)との差額である「実質金利」はマイナス圏に入ってきました。この点に関して は、実質金利をマイナスに誘導し、企業の設備投資を誘発するとの日銀の狙い通りの展開です。FRBが量的緩和の縮小を継続する米国の実質金利との差は拡大 しています。これを反映、為替相場は再び「ドル高・円安」に回帰するでしょう。

     なお、オバマ大統領が4月23~25日に訪日しますが、この際に、TPPの政治決着が図られる可能性が多少あるのでは、と筆者は睨んでいます。ウクライ ナ紛争を経て、米国の日本に対する態度は明らかに変化しています。「重要な同盟国」として改めて連携を強化しようとの目論見でしょう。TPPが決着すると すれば、それは株式相場の転機になるかもしれません。

    (水島寒月)

    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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