時価3230円(12日13時38分現在)
4月8日にJASDAQ上場。公募価格5000円に対して初値4480円。高値5300円があったが、その後3230円まで売られるなど調整の動き。
ファブレスのアナログ電源ICメーカーでウェアラブル機器(腕時計型健康チェック機器など)向け加速度センサーの量産化に注力。2015年3月期の予想経常利益15億円、EPSは417円を見込む。
時価3230円はPER7.7倍の水準。5月23日に野村証券にて説明会開催。
先日、会社訪問を行ったが思うことを以下にコメント。
5月7日と9日の安値3360円で、2番底形成の動きのように思えたが、需給悪化の状況で底割れしてしまった。事業内容と今期以降の収益向上期待を加味すれば打診買いのチャンスと判断できる。
明日5月13日に決算発表を予定しており、前期の業績は第4四半期の結果、多少の修正がありそう。新規買いは今期の業績計画を確認してからでも遅くはないが、反転するネタはいくつか存在している。
1.経営改革を断行し売上が減少する中で収益重視の経営に変革
2.価格競争の激しい民生用を中心にしたアナログ電源用半導体から車載機器、産業機器向けの高付加価値製品にシフトしつつあり、その結果として営業利益率が向上。
2013年3月期の営業利益率6.5%から今期第3四半期は15.5%に向上。日本にはデジタル半導体は存在しているが競争が激化している。アナログ半 導体専業メーカーは少なく、同社の独自性が感じられる。米国にはアナログデバイス、マキシム、リニアテクノロジー、テキサスインストゥルメントなどの上場 アナログ半導体メーカーが存在。それぞれが高収益率を誇っている。同社もこうした米国のアナログ半導体比率が高く高収益を誇る米国企業を目標にしている。
特にリニアテクノロジー(アナログ比率94.6%、売上高営業利益率44.7%)とは競争状態にある。
日本ではサンケン電気、ルネサス、ミツミ、セイコー、リコーなどがアナログ半導体を製造しているが、同社のような100%アナログ半導体というメーカーはない。メガチップスやアクセルのようなゲーム機器向けの半導体メーカーはあるが、変動要素が多い。
ソニーやパナソニックなど日本の家電メーカーが得意にしているコンシューマ機器が落ち込む過程で同社の業績が悪化したという業績の経緯があるが、 2009年にそうした流れが明確になり、それ以降は体質の改善・改革を断行した。アプリケーションを産業機器向けにシフトしたことで高収益体制が整ってき た。
もともと半導体は価格が下がっていくのが当然ながらコンシューマ機器は一層価格競争が厳しい。これを産業機器、車載向けにシフトしてきた成果が生まれ て、採算の悪い物をやめて売上を絞ってきた。この結果、売上そのものは2009年の118億円から減少傾向を辿り、2013.3期に86億円まで落ちた が、収益面では2012年に黒字化を実現し、2012年の経常利益は3.9億円、2013年は同4.4億円を計上し、2014年3月期は14億13百万円 を達成する見込みとなった。
今期は人材面での先行投資を実行するため15億円の経常利益を見込む。
3.加速度センサーの量産化を睨む
日立金属から譲渡受けた加速度センサーでビジネスの拡大を加速度的に行おうとしている。小型・省電力化技術を備えた半導体を産業用や自動車用にも応用し ようと同社は考えている。電源IC以外にもウェラブル機器に応用できる加速度センサーに注力している点は注目される。既に米国ジョーボーン社製の腕時計型 のウェラブル機器(ナイキで採用)にも昨年より導入されているとのこと。カシオ向けにも採用され納入済み。
4.特許について
特許など知的財産について回路とパッケージ(主にUSPパッケージ)に関する知財が13件、MEMSに関する特許を23件保有。IPDLによると特許出願件数は31件とのことで、R&D型の企業として発展を図ろうとしている。
5.上場後の出来高
発行済み株式数は264万2100株にしか過ぎない。しかも公開株数は80万7600株、それに対して現在までの出来高合計は256万株でほぼ全発行済み株数が売買された計算となる。
6.着実に成長していく企業
年率10%の売上成長を見込む。アナログ半導体は経験が必要で人材面での教育の充実が必要。今期は先行投資することから利益はやや伸び悩むが中長期的な 成長を見込んでいる。既にグローバル体制を充実させている企業で今後は日本での勝ちパターンを海外にも広げていく計画。アジア、台湾、北米などでの市場拡 大を見込む。
(炎)
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