但し、こちらにはまだ不満が残る。成長のベクトルがまだ読めないのです。相手は地方であり財政難にあえぐ地方自治体だからビジネスにはならない筈。ところが同社のビジネスは徐々に発展し、前期売上はピークを更新。利益も高水準となっています。
スマホ時代でテレパル電話帳などはとっくの昔に不要になってしまった感があり、縮小のビジネス。それに代わるのが地方自治体と共同発行する広告入りの暮 らしの便利帳。既に460以上の自治体が発行している累計発行部数3800万部となり紙資源の消費に貢献している(そこで電子書籍化を図っているそうで、 既に6月2日現在で328地域が電子化しているとのこと)。
暮らしの便利帳を見る世帯がどの程度ありますか?
私はたまに見ていますが、全世帯配布を旨として発行したからと言って実際にはどの程度の世帯が見ているのか不明で広告の効果もあるのかはよくわからない。
だけど地域では自治体の発行する媒体なので広告掲載はステータスだそうです。同社はあまり広告費用がいくらだとかは言わない。広告の費用対効果は不明で 結果として中小企業の出した広告費の多くは同社の人件費(平均年齢38歳、年収426万円)に充当され、残った分が利益として残され、大半が内部留保され ています。
2003年に700円で株主となった方は年5円配当に10年間甘んじてきましたが11年目の前期からやっと10円配当を実施してくれました。
つまり、
時価625円+4.5円×10+8円=678円
でまだ700円を下回っているのです。とっくの昔に株主は入れ替わって満足しているよ。だから気にしないという声もあるでしょうが、上場したからには最初のファイナンスに対して、きちんと誠意をもって応えたかが重要だと私は考えています。
赤字企業でもなく好業績となっている企業がIPO時の株価を下回っている点が私には理解できないのです。
実は前期は7.5円配当を準備していたのですが、私がかなり増配を要請していたので10円配当にしたようです。これは社長も意識が出てきたなと思いき や、配当性向と言う意識はまったくなく、今期の配当についてはノーコメント。今期も10円決まりのムードで、少なくとも配当性向主義で20%程度を株主に 配分する政策を打ち出せばEPSが83.2円であれば配当金は17円となり、配当利回りは2.7%となります。
今時の多くの企業は配当性向を20%から30%に置いていますのでオーナー自らも恩恵を受ける増配を積極的に実施すべきだと思うのですがそこはオーナーにも考えがあるのかも知れません。つまり積み上げたキャッシュを崩したくはないのでしょう。
事業には予期せぬリスクもありますので、いざという時(大地震など実際に予期しないことが起きるのに備えているのかも知れません)のために用意しているのかも知れません。
とは言っても長期株主の期待には応えていく必要があります。増配が嫌なら自社株買い。企業価値を高めていく努力を惜しまず、せめてPER10倍、PBR1倍の株価水準とする努力を経営陣には求めたいですね。
新たに役員となられた天下の藤沢久美さんにもぜひ頑張ってアドバイスしてほしいと思います。
2年以内に経常利益10億円、時価総額100億円、東証1部となれば文句は言わないが、このままだと多くの投資家は、「サイネックスって本当に上場している意味があるの?」という不満を持つのかも知れません。
地方自治体とのお仕事はロングテイルで息が長いのですが、数的なゴールは1700と見えています。もっとスピーディにやってしまうか、いやじっくりといくのかで成長のベクトルは違ってきます。
今期の発行自治体数は昨年の今頃に比べ倍増していますが、業績計画にはほとんど反映されていません。発行部数が少ない自治体が多いためらしいです。つまり手間ばかりで儲けにならない自治体相手のビジネスになりつつあって次の一手が必要なのかも知れません。
そこで登場したのがふるさと納税支援サービス、マスコミが積極的に取り上げているそうです。
特産品ネットもそうした流れのビジネス。あらゆる自治体サービスが視野に入ってくる勢いも感じさせます。ITメディアの売上げが今期は29.5%に拡大するそうです。その多くは旅行ですが、粗利率が低いので余り利益に貢献しないようです。
上場企業としてもっとアイデアあふれる積極的な事業展開を期待したいところです。
(炎)
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