旧社会保険事務所のあまりにもずさんな年金記録が発端に「年金不安」が叫ばれて久しいですが、年金そのものの財政についても
「納めていても、将来は貰えないのではないか?」
などの不安が常に消えません。
今年平成26年は、そうした不安にこたえるための5年に1度の年金財政を計算する年になっています。
(そもそも何故5年に1度しか計算しないのかもよくわかりません。重要な事であれば毎年確認のために計算しても良いような気がします)
その年金財政検証の結果が先月6月3日に発表されています。
5年前の財政検証についてもこのメルマガで解説しました。
http://www.okuchika.net/?eid=3582
今回の財政検証は5年前の「超楽観的」な検証との批判を反省してか、かなりのパターンを検証しています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/dl/h26_kensyo_kekka.pdf
具体的にはA~Hまでの9つの経済成長パターンによって年金財政を試算しています。
今回の財政試算も全体的に言えば甘めの試算です。
・賃金が物価よりも1~2%も上昇するようになっている
(実際には、日本人の平均給与書所得はあまり上がっていませんし、今後も厳しいと思います)
・年金積立金の運用が賃金上昇率よりも1~2%上昇するようになっている。
(物価上昇率も含めると4~5%の運用利回り水準)
という前提条件が、これまでの日本経済の成長率を考えると高い水準になっているように感じます。
一方で今回の試算明らかになったのは、
・年金は賦課方式を取っているので、積立金がなくなったからと言って、制度破たんするわけではない
・積立金がなくなった後は、現在の給付水準の7割程度になる
ということは、資料から明らかです。
私は常々、
「年金の積立金は、このままいけば2030年代に無くなる公算が大きい」
「しかし、積立金が無くなっても制度破綻はせずに、給付水準が現在の70%程度に下がる」
と指摘しています。
今回の試算では、まだまだ楽観的な部分もありながら、一番悲観的なケースでは、支給額の減額も予測される結果が出ていました。
個人の皆さんは、将来の年金が「必ず減額になる」という心構えで、老後の準備に取り掛かってほしいと思います。
株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
http://www.mlplanning.co.jp/
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