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猛暑が続いています。
暑中お見舞い申し上げます。
夏にはお化け屋敷でぞっと寒さを味わう、というわけでもないでしょうが、ウクライナ問題での欧米対ロシアの関係が険悪さを増してきて、マーケットでは神 経質な動きが続いています。夏休みシーズンで世界的に参加者が減っているというのもありそうです。夏枯れ時は乱高下というお化けも出るので注意したいとこ ろです。
先日発表された米国のGDPのように米経済の好調を示す経済指標が出ると、早期利上げ懸念が台頭して株式市場が下落する。逆に、経済指標が予想外に大き な低調を示してもNG。ほど良く、緩和状態が続くぬるま湯状態が長く続くことをマーケットは望んでいるのでしょう。金融市場が、お金じゃぶじゃぶのぬるま 湯から出るためには、時間も必要、やり方にも相当の戦略を必要とするのは過去のどこかの例を見ても明らかです。
先月開かれた米FOMCでは、量的緩和第三弾を100億ドル削減を決定しました。政策に関するスタンスに変化はありませんでしたが、イエレン議長が強い 関心をもっている労働市場については、失業率の数字よりも「労働市場のたるみ」といった内容についての言及があり、インフレ率については、「目標に幾分近 づいた」という表現に今回変わりました。これらが、米国の雇用と物価を守る役目を背負ったFRBの現在のスタンスですが、QE3終了後の正常化への出口戦 略がどのように行われるかについては、9月のFOMC理事会で議論されるものとみられています。
そんな中で、米国債市場は米GDP上方修正で利上げ期待が台頭。10年物金利は、2.56%水準まで上昇する場面もありましたが、7月の雇用統計が予想 より低かったことに加えて、ウクライナ情勢緊迫化による債券買いから2.46%まで反落しました。利回りが上昇すると、すかさず債券買いが入ってくるとい う状況で、未だにボックス圏での動き、方向感が見えにくい状態が続いています。
今後の金融政策を織り込むことで注目される2年物国債は、GDP発表後に一時0.56%近辺まで上昇しましたが、直近では0.46%水準まで下落してい ます。早ければ来年春頃にも予想された米利上げ開始が来年の後半にずれ込むという予想も増えてきたからでしょう。利上げに関しては、米金融当局も慎重に対 応していくという見方が増えてきたということではないでしょうか。
為替市場では、米ドルが引き続き強い展開です。ユーロを中心とした貿易相手国バスケット通貨に対する米ドルレートは、7月初旬から大きく上昇。7月月初 が71・815だったのに対して、直近8月5日終値では81.55までの上昇となっています。7月初旬から直近8月5日までで、対米ドルで上昇した通貨は インドネシア・ルピー、マレーシア・リンギ、そして中国元でした。中国の人民元の上昇は対円でも16円30銭台から60銭台まで上昇しており、今後も動向 を注目していきたい通貨です。
逆に、下落トップは、利上げ期待で買われてきたものの利上げ一旦打ち止めか?で売られたニュージーランド・ドル、次にアルゼンチンのデフォルトで自国の 負債問題が懸念されるブラジル・レアルです。ブラジルに関しては、2年後にオリンピック開催も予定されていますが、財政問題も懸念され、通貨も弱含みで推 移するものと思われます。
地政学リスクが問題視されると、リスク逃避的行動が起こるのは知られています。かつては(だいぶ前)、有事のドル買いと言われましたが、近年ではリスク 逃避というと、軍事面でも比較的安全な円やスイスプランが買われるのが、お決まりパターンになっていました。ただ今回の場合、ドル・円相場の円高への動き は限定され、スイス・フランも逆に売られています。ウクライナ問題に関しては、欧州への全般的な影響を重視する向きが多く、ユーロのみならず欧州通貨全般 が弱含みで推移しています。
ドル・円相場は、米GDPの好調を受けて、一時103円台をタッチする場面もありましたが、その後は102円台後半で張り付き、株安にも大きく反応していません。
有事に反応しない背景の一つには、日本の安全保障に関する状況が変わったこと(集団的自衛権等の方針転換)もあるかと思います。戦争と関係なく安全な通貨、という見方が変化してきているのかもしれません。
ユーロ相場に関しては、明日8月7日のECB理事会での政策変更は予想されていないものの、総裁のコメントは注目されています。金融問題で荒れたユーロ 圏では、銀行のストレステストを実施してきました。ストレステストの結果は今秋にも判明すると伝わっています。今後のユーロ相場を見る上で重要なポイント なので、注目していきたいところです。当面は、ウクライナ情勢をめぐるロシアとの軋轢が欧州経済にどのように影響していくかに注目され、ドルとの関係では 弱含み推移するものと思われます。現在のユーロ対米ドル相場1.33台後半ですが、1.31~1.32方向に動き易いのではないかと思っております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
夏の暑さがピークの時期。引き続きお気をつけてお過ごし下さい。
*8月6日13時執筆
本号の情報は8月5日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容および拙見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
暑中お見舞い申し上げます。
夏にはお化け屋敷でぞっと寒さを味わう、というわけでもないでしょうが、ウクライナ問題での欧米対ロシアの関係が険悪さを増してきて、マーケットでは神 経質な動きが続いています。夏休みシーズンで世界的に参加者が減っているというのもありそうです。夏枯れ時は乱高下というお化けも出るので注意したいとこ ろです。
先日発表された米国のGDPのように米経済の好調を示す経済指標が出ると、早期利上げ懸念が台頭して株式市場が下落する。逆に、経済指標が予想外に大き な低調を示してもNG。ほど良く、緩和状態が続くぬるま湯状態が長く続くことをマーケットは望んでいるのでしょう。金融市場が、お金じゃぶじゃぶのぬるま 湯から出るためには、時間も必要、やり方にも相当の戦略を必要とするのは過去のどこかの例を見ても明らかです。
先月開かれた米FOMCでは、量的緩和第三弾を100億ドル削減を決定しました。政策に関するスタンスに変化はありませんでしたが、イエレン議長が強い 関心をもっている労働市場については、失業率の数字よりも「労働市場のたるみ」といった内容についての言及があり、インフレ率については、「目標に幾分近 づいた」という表現に今回変わりました。これらが、米国の雇用と物価を守る役目を背負ったFRBの現在のスタンスですが、QE3終了後の正常化への出口戦 略がどのように行われるかについては、9月のFOMC理事会で議論されるものとみられています。
そんな中で、米国債市場は米GDP上方修正で利上げ期待が台頭。10年物金利は、2.56%水準まで上昇する場面もありましたが、7月の雇用統計が予想 より低かったことに加えて、ウクライナ情勢緊迫化による債券買いから2.46%まで反落しました。利回りが上昇すると、すかさず債券買いが入ってくるとい う状況で、未だにボックス圏での動き、方向感が見えにくい状態が続いています。
今後の金融政策を織り込むことで注目される2年物国債は、GDP発表後に一時0.56%近辺まで上昇しましたが、直近では0.46%水準まで下落してい ます。早ければ来年春頃にも予想された米利上げ開始が来年の後半にずれ込むという予想も増えてきたからでしょう。利上げに関しては、米金融当局も慎重に対 応していくという見方が増えてきたということではないでしょうか。
為替市場では、米ドルが引き続き強い展開です。ユーロを中心とした貿易相手国バスケット通貨に対する米ドルレートは、7月初旬から大きく上昇。7月月初 が71・815だったのに対して、直近8月5日終値では81.55までの上昇となっています。7月初旬から直近8月5日までで、対米ドルで上昇した通貨は インドネシア・ルピー、マレーシア・リンギ、そして中国元でした。中国の人民元の上昇は対円でも16円30銭台から60銭台まで上昇しており、今後も動向 を注目していきたい通貨です。
逆に、下落トップは、利上げ期待で買われてきたものの利上げ一旦打ち止めか?で売られたニュージーランド・ドル、次にアルゼンチンのデフォルトで自国の 負債問題が懸念されるブラジル・レアルです。ブラジルに関しては、2年後にオリンピック開催も予定されていますが、財政問題も懸念され、通貨も弱含みで推 移するものと思われます。
地政学リスクが問題視されると、リスク逃避的行動が起こるのは知られています。かつては(だいぶ前)、有事のドル買いと言われましたが、近年ではリスク 逃避というと、軍事面でも比較的安全な円やスイスプランが買われるのが、お決まりパターンになっていました。ただ今回の場合、ドル・円相場の円高への動き は限定され、スイス・フランも逆に売られています。ウクライナ問題に関しては、欧州への全般的な影響を重視する向きが多く、ユーロのみならず欧州通貨全般 が弱含みで推移しています。
ドル・円相場は、米GDPの好調を受けて、一時103円台をタッチする場面もありましたが、その後は102円台後半で張り付き、株安にも大きく反応していません。
有事に反応しない背景の一つには、日本の安全保障に関する状況が変わったこと(集団的自衛権等の方針転換)もあるかと思います。戦争と関係なく安全な通貨、という見方が変化してきているのかもしれません。
ユーロ相場に関しては、明日8月7日のECB理事会での政策変更は予想されていないものの、総裁のコメントは注目されています。金融問題で荒れたユーロ 圏では、銀行のストレステストを実施してきました。ストレステストの結果は今秋にも判明すると伝わっています。今後のユーロ相場を見る上で重要なポイント なので、注目していきたいところです。当面は、ウクライナ情勢をめぐるロシアとの軋轢が欧州経済にどのように影響していくかに注目され、ドルとの関係では 弱含み推移するものと思われます。現在のユーロ対米ドル相場1.33台後半ですが、1.31~1.32方向に動き易いのではないかと思っております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
夏の暑さがピークの時期。引き続きお気をつけてお過ごし下さい。
*8月6日13時執筆
本号の情報は8月5日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容および拙見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)