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大荒れした10月相場の最終週は米国の量的緩和第三弾QE3の10月末での打ち切りで終了するかと思いきや、日本発のビッグサプライズが世界の金融市場を沸かし、翌月に熱いバトンを渡す格好となりました。
10月31日の黒田バズーカ第二弾はQQE2(量的質的緩和第二弾)と呼ばれます。
31日後場の場中での発表は、急激な円安、株高として反応。その後、公的年金基金の株式運用比率の上げ報道も重なり、円安、株高に輪をかけました。黒田 QQE2は、11月に迫った消費増税をサポートするためのセットとしての金融政策かと思いきや、週明けから消費増税先送りと解散総選挙の話が浮上。バズー カで上がった為替も株も、宙に舞い上がるような空中戦状態となっています。二つの材料は矛盾しているように思いますが、反応は同じでしたね。
10月31日のQQE2発表は予想外でした。私は遠出をしていたため、車中でスマホに速報や注文の成約メールが続々と入り、何が起こったのかと情報検索に時間を費やしました。
それにしても、11月に入ってからは押しらしい押しがありません。予想より悪かった米国の雇用統計にも大きな反応はなく、ドル・円相場は108円から 116円まで営業日数8日で急伸。日経平均株価は、31日安値から12日高値までの差1600円上昇は、過熱感はあります。ただ、逆張りのリスクも未だ大 きいと思います。それだけのマグニチュードがあったということでしょう。
個人的には、利益確定をして持ち高を減らして、取引は小さいロットで場味を見る程度にとどめておくのが良いかと思っています。ただ、冷静でいられる間というのは、マダマダ相場はアツいのかもしれませんね。自分の心理こそ指標かもしれません。
政治がらみの思惑による動きは、情報が交錯する都度の乱高下します。昨日来の材料である消費増税の『先送り』はあくまでも先送りということで、いづれは 上げるということです。その間に景気を良くするための政策はなされるのか?など落ち着いて考えれば議論は諸々出てきそうです。
さて、11月になってからの主要通貨のパフォーマンスを見てみましょう。
米国のQE3が終了したこともあり、10月末比対米ドルで上昇した通貨はニュージーランド・ドルの0.24%が目立ったのみで、ほぼドル高の動きでし た。パフォーマンスが最悪だったのは、ロシア・ルーブルのマイナス7.9%、ブラジル・レアル-3%、そして、日本円の3%でした。
日米物価で比較したドル・円相場の購買力平価は現在の消費者物価で計算すると30%ほど円が過小評価されています。因みに、逆に20%以上過大評価されている通貨はニュージーランド・ドルや豪ドルでした。
年内から来年にかけて高値を115円予想が大勢でしたが、ここへ来て120円~125円予想も聞かれます。日米金利差は、米金利が1ヶ月前よりも、やや 上昇したことで多少拡大しましたが、8円近くの相場を説明できる背景ではなく、今回はあくまでも円の要因が主流でしょう。
これまで年間60~70兆円を増やしてきたベースマネーを年間80兆円程度増やし、ETFやREITなどの資産購入も増やす日本銀行の追加緩和の決定は、まさに異次元(というか異常?)。
物価2%を達成するためには、「何でもやる、何でもあり」政策を今後も続けるということになるのでしょう。金利の正常化に戻ろうとする米国と、異次元・日本の金融政策の差は、これまで以上に違いが大きくなります。
国際収支黒字の縮小、貿易赤字の累積や海外投資増加などのファンダメンタルズという背景もあり、円が安くなる状況には変化はないと思います。しかし、一 方の面だけに目が行ったときには、やや慎重になって、見逃したものがないか見ておいた方が良いかとも思います。異常な中にいると、異常さに鈍感になる傾向 があることにも、気を付けたいものです。
黒田総裁よりも前に、「何でもやる」と発言したのは、欧州中銀のドラギ総裁でした。
先週行われた欧州中銀の理事会後のドラギ氏は記者会見での発言で、量的緩和(「追加の非伝統的手段の活用」と表現)は、理事会で満場一致している、とし ました。これまで、ドイツ連銀総裁が反対していて進まない、とされてきましたので、状況が変わりつつあるようです。必要と判断されれば、量的緩和の実施の ハードルが低くなったと推察できます。
ここでも、米国との金融政策の差がユーロ安米ドル高基調をサポートするものと思います。ユーロは、売りポジションが累積しており、買い戻しも入りやすい のですが、量的緩和の拡大、増加が予想されている中で上値は限られているものと思います。現在、ユーロ・ドルは1.24台で取引されていますが、徐々に 1.20台へ向けての動きになると思っています。
10月末からの動きが急激だったので、相場に乗り遅れたり、利益確定が早すぎたとフラストレーションと共に振り返る向きも多いと思います。しかし、個人 の投資の場合、機会損失は実損ではありません。自分以外の誰にも評価されるわけではありません。焦ってついて行くよりも、次の仕込み機会を狙う学びの場と 捉えていきたいものです。
11月も中旬になります。空中での乱高下も想定されます。気を抜かずに、状況を見極めて、次のチャンスを拾っていきたいですね。がんばりましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*11月12日13時執筆
本号の情報は11月11日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容および拙見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
10月31日の黒田バズーカ第二弾はQQE2(量的質的緩和第二弾)と呼ばれます。
31日後場の場中での発表は、急激な円安、株高として反応。その後、公的年金基金の株式運用比率の上げ報道も重なり、円安、株高に輪をかけました。黒田 QQE2は、11月に迫った消費増税をサポートするためのセットとしての金融政策かと思いきや、週明けから消費増税先送りと解散総選挙の話が浮上。バズー カで上がった為替も株も、宙に舞い上がるような空中戦状態となっています。二つの材料は矛盾しているように思いますが、反応は同じでしたね。
10月31日のQQE2発表は予想外でした。私は遠出をしていたため、車中でスマホに速報や注文の成約メールが続々と入り、何が起こったのかと情報検索に時間を費やしました。
それにしても、11月に入ってからは押しらしい押しがありません。予想より悪かった米国の雇用統計にも大きな反応はなく、ドル・円相場は108円から 116円まで営業日数8日で急伸。日経平均株価は、31日安値から12日高値までの差1600円上昇は、過熱感はあります。ただ、逆張りのリスクも未だ大 きいと思います。それだけのマグニチュードがあったということでしょう。
個人的には、利益確定をして持ち高を減らして、取引は小さいロットで場味を見る程度にとどめておくのが良いかと思っています。ただ、冷静でいられる間というのは、マダマダ相場はアツいのかもしれませんね。自分の心理こそ指標かもしれません。
政治がらみの思惑による動きは、情報が交錯する都度の乱高下します。昨日来の材料である消費増税の『先送り』はあくまでも先送りということで、いづれは 上げるということです。その間に景気を良くするための政策はなされるのか?など落ち着いて考えれば議論は諸々出てきそうです。
さて、11月になってからの主要通貨のパフォーマンスを見てみましょう。
米国のQE3が終了したこともあり、10月末比対米ドルで上昇した通貨はニュージーランド・ドルの0.24%が目立ったのみで、ほぼドル高の動きでし た。パフォーマンスが最悪だったのは、ロシア・ルーブルのマイナス7.9%、ブラジル・レアル-3%、そして、日本円の3%でした。
日米物価で比較したドル・円相場の購買力平価は現在の消費者物価で計算すると30%ほど円が過小評価されています。因みに、逆に20%以上過大評価されている通貨はニュージーランド・ドルや豪ドルでした。
年内から来年にかけて高値を115円予想が大勢でしたが、ここへ来て120円~125円予想も聞かれます。日米金利差は、米金利が1ヶ月前よりも、やや 上昇したことで多少拡大しましたが、8円近くの相場を説明できる背景ではなく、今回はあくまでも円の要因が主流でしょう。
これまで年間60~70兆円を増やしてきたベースマネーを年間80兆円程度増やし、ETFやREITなどの資産購入も増やす日本銀行の追加緩和の決定は、まさに異次元(というか異常?)。
物価2%を達成するためには、「何でもやる、何でもあり」政策を今後も続けるということになるのでしょう。金利の正常化に戻ろうとする米国と、異次元・日本の金融政策の差は、これまで以上に違いが大きくなります。
国際収支黒字の縮小、貿易赤字の累積や海外投資増加などのファンダメンタルズという背景もあり、円が安くなる状況には変化はないと思います。しかし、一 方の面だけに目が行ったときには、やや慎重になって、見逃したものがないか見ておいた方が良いかとも思います。異常な中にいると、異常さに鈍感になる傾向 があることにも、気を付けたいものです。
黒田総裁よりも前に、「何でもやる」と発言したのは、欧州中銀のドラギ総裁でした。
先週行われた欧州中銀の理事会後のドラギ氏は記者会見での発言で、量的緩和(「追加の非伝統的手段の活用」と表現)は、理事会で満場一致している、とし ました。これまで、ドイツ連銀総裁が反対していて進まない、とされてきましたので、状況が変わりつつあるようです。必要と判断されれば、量的緩和の実施の ハードルが低くなったと推察できます。
ここでも、米国との金融政策の差がユーロ安米ドル高基調をサポートするものと思います。ユーロは、売りポジションが累積しており、買い戻しも入りやすい のですが、量的緩和の拡大、増加が予想されている中で上値は限られているものと思います。現在、ユーロ・ドルは1.24台で取引されていますが、徐々に 1.20台へ向けての動きになると思っています。
10月末からの動きが急激だったので、相場に乗り遅れたり、利益確定が早すぎたとフラストレーションと共に振り返る向きも多いと思います。しかし、個人 の投資の場合、機会損失は実損ではありません。自分以外の誰にも評価されるわけではありません。焦ってついて行くよりも、次の仕込み機会を狙う学びの場と 捉えていきたいものです。
11月も中旬になります。空中での乱高下も想定されます。気を抜かずに、状況を見極めて、次のチャンスを拾っていきたいですね。がんばりましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*11月12日13時執筆
本号の情報は11月11日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容および拙見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)