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新しい年2015年が明け、半月近くとなりました。
本年もよろしくお願い申し上げます。
今年の為替市場は、ギリシャのユーロ離脱もあり得るという情報によるユーロ一段安から始まりました。一方、原油価格は1バレル、50ドルを割りこみ、世界経済の下振れリスクを懸念するリスク回避優勢の年初となりました。
年初来の対米ドル主要通貨の騰落をチェックすると、昨日終値ベース上昇率トップは、日本円の1.57%、続いてメキシコペソ(+0.94%)韓国ウオン (+0.74%)。対して、下落トップはノルウエー・クローネの-3.94%、スウエーデン・クローネ(-3.27%)続いて加ドル、ユーロ、英国ポンド などは2%台の下落率です。主に欧州通貨の下落が目立ちます。
ロシア・ルーブルも下落しています。リスク回避姿勢によるドル高、円高の動きと言えるでしょう。
新年早々の世界経済への悲観的見方の背景にあるのは、世界的なデフレ懸念です。
世界の商品価格は、2002年秋以来の水準に下落。1バレル=45ドルを一時割り込んだ原油価格をはじめ、天然ガス、トウモロコシなどの食料価格、そして、非鉄金属の代表、銅相場も昨日6年ぶりの大幅下落となりました。
昨年初めには、利上げ期待が高まった英国でしたが、昨日発表された12月の消費者物価上昇率は前年同月比で0.5%。インフレ目標値を2%としている英国中銀にとっては利上げどころではなくなりました。
世界の国債市場を見ると、先進諸国の国債利回りはインフレという言葉から程遠いところで取引されています。昨年は2%前半での取引が続いた米国債10年 物も1.8%台まで低下、量的緩和真っただ中でつけた歴史的低水準である1.6%に近づき、今年年央の利上げ期待にも関わらずの金利低下が続いています。
ドイツ連邦債10年物も0.4%台、2年物は相変わらずマイナス金利です。
また、日本国債は中央銀行による市場操作という要因もありますが、0.25%割れという歴史的低水準まで低下してきました。2年物はマイナス金利、5年物はゼロ利回り。世界的に超低金利が極まってきた感があります。
米国の金融政策変更のタイミングを計るために注目された12月の米国雇用者数は予想を上回ったものの、賃金が予想外にマイナスになったことから、米国 FRBによる今年年央の利上げ予想に疑問符がつきました。近い将来の金融政策を反映するとされる2年物国債利回りは昨年末の0.7%台から0.5%台まで 低下し、市場の期待が変化しつつあるように見えます。
米国経済の回復基調は続くと見る向きは多いものの、一人勝ちとされた昨年までと比べてペースは遅くなる可能性が高いと見られます。
昨年来、量的緩和を終了した米国FRBが利上げに動くか? 動くならいつなのか?が市場を動かす大きな要因になってきました。一方で、欧州中銀がいつ量的緩和を始めるのか?も大きな関心事でした。
1月22日の欧州中央銀行の理事会で、ついに量的緩和へ足を踏み入れるという見方が優勢になっています。ユーロ相場は対ドルで、1.17台まで下落。過 去10年間につけた安値である1.1640に近づく展開となっています。ユーロ下落は、量的緩和期待のみならず、ギリシャ政局不安もあり、1.1640安 値を割り込み、米ドル等価である1ユーロ=1ドルに近づく可能性は十分あるとみています。
数年前の欧州債務危機以来、金融リスクの安全網を整備してきた安心面もある一方で、政治、テロなどへの懸念材料に加えて、根が深いデフレの長期化により、量的緩和政策を長期に実施する可能性が高いのもユーロ安の背景になるでしょう。
異次元緩和で長いデフレ状態から脱却を目指す日本。円安による食品値上げも相次いでいますが、ここへ来て商品相場安という外部要因が押し寄せてきましたので、物価目標の達成とされた2015年には、第三回目のさらなる異次元金融緩和を期待する声が高まるかもしれません。
利上げタイミングは不透明なもののニュートラルに戻した米国に対して、量的緩和を始める欧州、ますます長期化しそうな日本の構図は続くと見られますから、基調としてのドル高は続く可能性は高いとみられます。
ただ、日本の円安の背景として大きな部分を占めていた累積貿易赤字が原油安によって縮小してきており、背景の一角が崩れかけていますので、昨年後半、一 気に進んだドル高円安はスピードダウンし、110円台(広いレンジではありますが、110円~120円)の間のどこかでレンジ形成をしていくのではないか と考えています。また、鍵を握る米国経済次第では、レンジの下値が下方に変わることもあるかもしれません。
当面のドル円相場は、12月の121円台の高値を天井に、下値を探りながらの展開になると想定して、一方方向の相場に固執せず、流れを十分見極めながら対応していこうと思います。羊辛抱という格言も頭に入れて、慌てずじっくりチャンスを伺っていきたいと考えます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*1月14日13時執筆
本号の情報は1月13日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容および拙見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
本年もよろしくお願い申し上げます。
今年の為替市場は、ギリシャのユーロ離脱もあり得るという情報によるユーロ一段安から始まりました。一方、原油価格は1バレル、50ドルを割りこみ、世界経済の下振れリスクを懸念するリスク回避優勢の年初となりました。
年初来の対米ドル主要通貨の騰落をチェックすると、昨日終値ベース上昇率トップは、日本円の1.57%、続いてメキシコペソ(+0.94%)韓国ウオン (+0.74%)。対して、下落トップはノルウエー・クローネの-3.94%、スウエーデン・クローネ(-3.27%)続いて加ドル、ユーロ、英国ポンド などは2%台の下落率です。主に欧州通貨の下落が目立ちます。
ロシア・ルーブルも下落しています。リスク回避姿勢によるドル高、円高の動きと言えるでしょう。
新年早々の世界経済への悲観的見方の背景にあるのは、世界的なデフレ懸念です。
世界の商品価格は、2002年秋以来の水準に下落。1バレル=45ドルを一時割り込んだ原油価格をはじめ、天然ガス、トウモロコシなどの食料価格、そして、非鉄金属の代表、銅相場も昨日6年ぶりの大幅下落となりました。
昨年初めには、利上げ期待が高まった英国でしたが、昨日発表された12月の消費者物価上昇率は前年同月比で0.5%。インフレ目標値を2%としている英国中銀にとっては利上げどころではなくなりました。
世界の国債市場を見ると、先進諸国の国債利回りはインフレという言葉から程遠いところで取引されています。昨年は2%前半での取引が続いた米国債10年 物も1.8%台まで低下、量的緩和真っただ中でつけた歴史的低水準である1.6%に近づき、今年年央の利上げ期待にも関わらずの金利低下が続いています。
ドイツ連邦債10年物も0.4%台、2年物は相変わらずマイナス金利です。
また、日本国債は中央銀行による市場操作という要因もありますが、0.25%割れという歴史的低水準まで低下してきました。2年物はマイナス金利、5年物はゼロ利回り。世界的に超低金利が極まってきた感があります。
米国の金融政策変更のタイミングを計るために注目された12月の米国雇用者数は予想を上回ったものの、賃金が予想外にマイナスになったことから、米国 FRBによる今年年央の利上げ予想に疑問符がつきました。近い将来の金融政策を反映するとされる2年物国債利回りは昨年末の0.7%台から0.5%台まで 低下し、市場の期待が変化しつつあるように見えます。
米国経済の回復基調は続くと見る向きは多いものの、一人勝ちとされた昨年までと比べてペースは遅くなる可能性が高いと見られます。
昨年来、量的緩和を終了した米国FRBが利上げに動くか? 動くならいつなのか?が市場を動かす大きな要因になってきました。一方で、欧州中銀がいつ量的緩和を始めるのか?も大きな関心事でした。
1月22日の欧州中央銀行の理事会で、ついに量的緩和へ足を踏み入れるという見方が優勢になっています。ユーロ相場は対ドルで、1.17台まで下落。過 去10年間につけた安値である1.1640に近づく展開となっています。ユーロ下落は、量的緩和期待のみならず、ギリシャ政局不安もあり、1.1640安 値を割り込み、米ドル等価である1ユーロ=1ドルに近づく可能性は十分あるとみています。
数年前の欧州債務危機以来、金融リスクの安全網を整備してきた安心面もある一方で、政治、テロなどへの懸念材料に加えて、根が深いデフレの長期化により、量的緩和政策を長期に実施する可能性が高いのもユーロ安の背景になるでしょう。
異次元緩和で長いデフレ状態から脱却を目指す日本。円安による食品値上げも相次いでいますが、ここへ来て商品相場安という外部要因が押し寄せてきましたので、物価目標の達成とされた2015年には、第三回目のさらなる異次元金融緩和を期待する声が高まるかもしれません。
利上げタイミングは不透明なもののニュートラルに戻した米国に対して、量的緩和を始める欧州、ますます長期化しそうな日本の構図は続くと見られますから、基調としてのドル高は続く可能性は高いとみられます。
ただ、日本の円安の背景として大きな部分を占めていた累積貿易赤字が原油安によって縮小してきており、背景の一角が崩れかけていますので、昨年後半、一 気に進んだドル高円安はスピードダウンし、110円台(広いレンジではありますが、110円~120円)の間のどこかでレンジ形成をしていくのではないか と考えています。また、鍵を握る米国経済次第では、レンジの下値が下方に変わることもあるかもしれません。
当面のドル円相場は、12月の121円台の高値を天井に、下値を探りながらの展開になると想定して、一方方向の相場に固執せず、流れを十分見極めながら対応していこうと思います。羊辛抱という格言も頭に入れて、慌てずじっくりチャンスを伺っていきたいと考えます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*1月14日13時執筆
本号の情報は1月13日のニューヨーク市場終値レベルを基本的に引用、記載内容および拙見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)