■会計はビジネスの言語だ その2
粗利・有利子負債
●正確に間違っているよりもおおよそ正しい方がいい
バフェットは、投資(企業買収)を行う前に、徹底的に対象となる企業を研究します。そして、それらのデータをもとに会社の「定価」を算出した上で、その価格から十分な「安全余裕率」相当分を差し引き、「妥当な購入価格」を算出します。
バフェットがすごいのはその「妥当な購入価格」を一円でも上回れば、絶対にその株式(会社)を購入しないことです。彼の表現を借りれば「投資はいくら見 逃しても三振にならない野球である」ということです。いくら見逃しても一円も損をしないわけですから、絶好球のホームランボールが来るまで辛抱強く見送り をするべきですし、バフェットは「投資の利益は忍耐に対する報酬だ」とも述べています。
そのようにバフェットが忍耐強く待つことができるのも、膨大な知識とデータで徹底的に企業を分析したうえで「適正価格」を決めているので、その判断に絶対の自信があるからです。
しかし、バフェットは徹底的な財務データ分析を行うものの、細かな数字にはそれほどこだわりません。むしろ、決算書や年次報告書(アンニュアルレポー ト)をはじめとした各種資料で表現された会社の、「社風」「社是」「ビジョン」「経営者の人柄」などを読み取ることに集中します。
まず、会計上の数字はいってみれば「理論上」のものですから、粉飾決算とまではいかなくても、会計システムの中で自社に都合の良い選択をすることによって、実際の会社の状況が悪いのにも関わらず投資家に好印象を与えることができます。
ですから、会社の実態を包み隠さず正直に投資家に報告してくれる「誠実な人柄の経営者」であるのかどうか、「投資家を大事にする社風」であるのかどうか ということを確かめるのが先決です。投資家に不誠実な企業のデータをいくら詳細に分析しても、元々の数字に悪意が隠されているわけですから、決して会社の 真の姿はわかりません。
それよりも、「社風」「経営者の人柄」をしっかりと理解したうえで、数字を読み解いていった方がはるかに良いということなのです。つまり「正確に間違っているよりもおおよそ正しい方がいい」というわけです。
●スリー・プラス・ワン
「企業情報を読み解け! バフェット流[日本株]必勝法=永久保有銘柄を見抜く18のポイント」(日本実業出版社)では、本連載の第12回で解説した三つの重要指標((ROE)(PER)(売上高純利益率))と有利子負債をまとめて「スリー・プラス・ワン」と呼び解説しています。
<続く>
続きは、産業新潮
http://homepage2.nifty.com/sancho/4月号をご参照ください。
(大原浩)
【大原浩の書籍】
★バフェットに学ぶ【永久不滅投資法】―損を出さないで永遠に資産を増やすことは可能かー(同友館)
★日本株で成功する バフェット流投資術 (日本実業出版社)
★企業情報を読み解け! バフェット流<日本株>必勝法=永久保有銘柄を見抜く18のポイント(日本実業出版社)
★『勝ち組投資家は5年単位でマネーを動かす』(PHP研究所)
★「バフェットからの手紙」に学ぶ(2014)大原浩著 昇龍社<Kindle版>
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GINZAXグローバル経済・投資研究会・代表大原浩著
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)