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中国人民銀行が、8月11日に実施した突然の人民元切り下げから広がった中国経済への不安は、世界的株安、原油に代表される商品価格の下落に繋がりました。これにより、早ければ9月実施が予想されていた米国の利上げによる金融政策の正常化への思惑も後退しています。
中国に関する情報が不透明であることに加えて、8.11というタイミングは世界的にも夏休み真っ最中の油断を急襲されたショックによる混乱と不安心理が過度に広がった感があります。そして、油断禁物の状態は、まだまだ続きそうです。
中国発の世界株安によるリスクオフ心理で、為替相場も大きく荒れる展開になりました。
円相場は主要通貨の中で8月中に対米ドルで最も上昇しました。リスクオフの円高です。
8月24日月曜日は、ブラックマンデーか?というような動きでした。
アジア市場で121円90銭水準から始まったドル円相場は、アジア、欧州での株価下落とともに棒下げ。ニューヨーク株式市場開始直前に突然116円07銭という安値をヒット。
2~3分の出来事ではありましたが、一瞬目を疑い手も出ない恐怖場面でした。
その後は、株価の反発とともに、28日から31日にかけて121円台に戻しましたが、9月1日には日本が発信源とも言える株安の影響で、119円台へ反落。リスクオフ状態の警戒解除には更に時間が必要であることを思い知らされました。
8月24日以降のドル円相場は、24日の一日のレンジ116円07~122円06の範囲内での動きになっています。今のところ、118円台の後半のサ ポートが機能していますが、割り込んでくると今年1月の安値115円を覗きに行く可能性もあり、日本企業の想定為替レートが気になりだし、企業収益への影 響に要注意領域になります。
今後、自律反発などにより市場価格の回復が見られても、震源地である中国市場の落ち着きが確認できるかどうかには時間がかかると推測されますので、乱高 下は続くものと思います。ただ、見方を変えれば、株も為替も、これまで高値圏でのこう着状態が続きましたので、投げ売られたところを拾うチャンスとも言え るかもしれませんが、乱高下が続きそうな中、資金的、精神的な余裕をもって、丁寧に下値を拾う必要がありそうです。
ところで、リスクオフが起こると、質への逃避で米国債が買われ利回りが低下する傾向があります。今回も一時的に米債10年物が2%を割る場面がありまし たが、その後早々に2.1%~2.2%水準へ戻りました。真偽は定かではありませんが、中国がドル売り介入資金確保のために、欧州の債券保管期間を通じて 売却に動いたとの見方が伝わっていました。
因みに、2014年後半から減少を見せている中国の外貨準備に対しては、自国からの資金流出の対する元買いドル売り介入資金のために米債を売ったため、とか、外貨準備で保有していた外貨が目減りした等の推察が聞かれます。
中国の米国債売りが現実的にあったとしても、今のところ、米国債市場を揺るがすような影響を懸念する向きはありませんが、ここでも中国の影響には注意を払っておく必要がありそうです。
さて、最近の市場動向により、米国の9月の利上げはありそうもないという見方が大勢になってきています。
今後の金融政策の柔軟性のため、そして、米国の景気は良いというアピールをするためにも小幅でも早期の利上げをする価値はあると思いますが、外部環境がそれを許さず、慎重な現イエレン氏FRBは更に慎重な決断をする可能性が高いでしょう。
米国の利上げを期待して上昇してきたドル相場ですので、利上げが遠のくことで、一旦の戻しはあるものと思われますが、混乱が収まってくれば、長いトレンドであるドル高に回帰すると見ています。
本日発表された日本の8月のマネタリーベース、資金供給量は327兆円と13か月連続で過去最高を更新しています。また、年金、生保、投資信託による海 外証券投資も着実に増えています。目先では、リスクオフ下での円高への揺り戻しはあると思いますが、中長期的にはドル円相場は上昇する可能性がより高いと 見ています。
今週は、3日に欧州中銀の政策決定会合が予定されています。ドラギ総裁あたりから市場フレンドリーなコメントがあれば、マーケットには良いインパクトを与えるでしょう。期待したいところです。
落ち着いた感がある欧州ですが、議会を解散したギリシャの総選挙が9月20日に、27日にはスペインの独立を志向するカタルーニュア地方の議会選挙が予定されています。このところ忘れた感があるEUの諸問題。忘れた頃に何かあるかもしれませんので、油断禁物です。
他の注目イベントとして4日の米国8月の雇用統計発表、G20も予定され、また、明日は中国の抗日70周年記念行事もあります。当面、市場は神経質に反応するものと思われます。注意しておきたいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*9月2日14時執筆
本号の情報は9月1日の米国市場始値水準を主に引用しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
中国に関する情報が不透明であることに加えて、8.11というタイミングは世界的にも夏休み真っ最中の油断を急襲されたショックによる混乱と不安心理が過度に広がった感があります。そして、油断禁物の状態は、まだまだ続きそうです。
中国発の世界株安によるリスクオフ心理で、為替相場も大きく荒れる展開になりました。
円相場は主要通貨の中で8月中に対米ドルで最も上昇しました。リスクオフの円高です。
8月24日月曜日は、ブラックマンデーか?というような動きでした。
アジア市場で121円90銭水準から始まったドル円相場は、アジア、欧州での株価下落とともに棒下げ。ニューヨーク株式市場開始直前に突然116円07銭という安値をヒット。
2~3分の出来事ではありましたが、一瞬目を疑い手も出ない恐怖場面でした。
その後は、株価の反発とともに、28日から31日にかけて121円台に戻しましたが、9月1日には日本が発信源とも言える株安の影響で、119円台へ反落。リスクオフ状態の警戒解除には更に時間が必要であることを思い知らされました。
8月24日以降のドル円相場は、24日の一日のレンジ116円07~122円06の範囲内での動きになっています。今のところ、118円台の後半のサ ポートが機能していますが、割り込んでくると今年1月の安値115円を覗きに行く可能性もあり、日本企業の想定為替レートが気になりだし、企業収益への影 響に要注意領域になります。
今後、自律反発などにより市場価格の回復が見られても、震源地である中国市場の落ち着きが確認できるかどうかには時間がかかると推測されますので、乱高 下は続くものと思います。ただ、見方を変えれば、株も為替も、これまで高値圏でのこう着状態が続きましたので、投げ売られたところを拾うチャンスとも言え るかもしれませんが、乱高下が続きそうな中、資金的、精神的な余裕をもって、丁寧に下値を拾う必要がありそうです。
ところで、リスクオフが起こると、質への逃避で米国債が買われ利回りが低下する傾向があります。今回も一時的に米債10年物が2%を割る場面がありまし たが、その後早々に2.1%~2.2%水準へ戻りました。真偽は定かではありませんが、中国がドル売り介入資金確保のために、欧州の債券保管期間を通じて 売却に動いたとの見方が伝わっていました。
因みに、2014年後半から減少を見せている中国の外貨準備に対しては、自国からの資金流出の対する元買いドル売り介入資金のために米債を売ったため、とか、外貨準備で保有していた外貨が目減りした等の推察が聞かれます。
中国の米国債売りが現実的にあったとしても、今のところ、米国債市場を揺るがすような影響を懸念する向きはありませんが、ここでも中国の影響には注意を払っておく必要がありそうです。
さて、最近の市場動向により、米国の9月の利上げはありそうもないという見方が大勢になってきています。
今後の金融政策の柔軟性のため、そして、米国の景気は良いというアピールをするためにも小幅でも早期の利上げをする価値はあると思いますが、外部環境がそれを許さず、慎重な現イエレン氏FRBは更に慎重な決断をする可能性が高いでしょう。
米国の利上げを期待して上昇してきたドル相場ですので、利上げが遠のくことで、一旦の戻しはあるものと思われますが、混乱が収まってくれば、長いトレンドであるドル高に回帰すると見ています。
本日発表された日本の8月のマネタリーベース、資金供給量は327兆円と13か月連続で過去最高を更新しています。また、年金、生保、投資信託による海 外証券投資も着実に増えています。目先では、リスクオフ下での円高への揺り戻しはあると思いますが、中長期的にはドル円相場は上昇する可能性がより高いと 見ています。
今週は、3日に欧州中銀の政策決定会合が予定されています。ドラギ総裁あたりから市場フレンドリーなコメントがあれば、マーケットには良いインパクトを与えるでしょう。期待したいところです。
落ち着いた感がある欧州ですが、議会を解散したギリシャの総選挙が9月20日に、27日にはスペインの独立を志向するカタルーニュア地方の議会選挙が予定されています。このところ忘れた感があるEUの諸問題。忘れた頃に何かあるかもしれませんので、油断禁物です。
他の注目イベントとして4日の米国8月の雇用統計発表、G20も予定され、また、明日は中国の抗日70周年記念行事もあります。当面、市場は神経質に反応するものと思われます。注意しておきたいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*9月2日14時執筆
本号の情報は9月1日の米国市場始値水準を主に引用しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)