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日本国のアドバンテージ その2
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日本国のアドバンテージ その2

2015-09-04 15:32
    2010年5月のコラムで下記の記述をしました。


    (引用)

     「失われた20年と言われているが、日本にはまだまだ優秀な技術がある、勤勉な労働者がい る、金融機関の傷も浅い、個人金融資産も潤沢でまだしばらくは債務(国債発行)を自国内で消化できる、これから数年のうちに財政再建の道筋をつけ、産業振 興に努め、税制改革も出来るのなら陽はまた昇るのではないか・・・。」
     これが今、我々が漠然とイメージしている、日本が現在の困難な時期を脱して再度浮上するかもしれないと期待する際のストーリーです。

     世界では日本の環境技術を必要としていると言われますし、インフラ整備や原発、水ビジネスも漸く官民を上げての取り組みが進展してきたようです。迷走し きっている政治の状況は毎度のこととして一旦忘れ、では、何をキッカケとして国富の再上昇に繋がるのか、景気が持ち直し、そして雇用が増え、プライマリー バランスが実現し、新しい安心な社会が生まれてくるのかを見たいと、誰もが望んでいますが・・・可能なのでしょうか。

     前回の「番頭さん」の話の続きになってしまいますが、先日とあるヘッジファンドの電機関連アナリストから、韓国サムソンや中国の有力メーカーと最近はどんな話をしているのかを聞く機会がありました。

     彼曰く、ここ1、2年は5年前辺りまでとは様変わりで、韓国や中国系の大手企業からは「もう日本のハイテクメーカー系の技術で欲しいものは無い」「これからは素材や材料製品の基礎技術が欲しい」「金は出すから能力のある
    技術者を紹介してくれないか」と、こんな話ばかりになっているそうです。
     中には、日本の素材メーカーが持つ要素技術において、高い知識や技能を持った技術者なら1億でも2億でも出すのでスカウトしたい、安く放置されているの なら会社をまるごと買っても良い、今は特に電池技術が欲しい、それらが手に入ればもうそれ以上のものは日本に求めるものは無い・・・と断言しているそうで す。

     そう、十数年前まで優良ハイテク企業を指した「ブルーチップ銘柄」という言葉は既に陳腐化し、且つソコソコの成長性さえも期待されなくなってきた時代です。残されたものは素材などの要素技術だけなのかもしれません。

    (引用終わり)


     冒頭にあります「何とかなるのでは」と言う幻想が、5年経った今でも似たように「霞のように」存在しているだけと感じます。

     既に3度発表されている成長戦略も戦略と言えるほどのものは見当たりませんし、先日来話題の自衛権論議においても戦略性が感じられません。政治家の質の 低下が著しいと言えばそれまでですが、大事な国会質疑の時間をダラダラと無駄遣いし、自衛権の拡大解釈の範囲を云々するだけの各論で政治ゴッコに終始して います。
     そもそも軍隊とは、どこまで何が出来るのかを知られないからこそ抑止力がある訳で、それを「これはどうする?詳細を説明しろ」「いや、それは言えな い」…などと言う隘路に入り込み、身動きが取れなくなっています。もちろん世間知らずの首相の信念(無用なケースが多い)ばかりを貫かれても困りますので 注意も必要ですが。


     要所は、今こそ将来に於ける日本国のあるべきグランドデザインをどう描くかと言う議論から始める必要があるのに、議員バッジを手放したくない(小物)政治家達は本音を語れず、そして省益に拘泥する役人に任せている限り新しい発想も生まれません。

     ついでですが、国民への落胆だけを残した野党第一党の民主党に至っては何をしたいのか?言いたいのか?サッパリ分かりません。
     単なる烏合の衆です(呆)


     何とかなると考えていたこの5年間で総人口はピークアウトし、そして労働生産人口はピークアウトから既に20年以上が経ちました。国の借金は200兆円 以上増え、経済力では中国とのドルベースGDPの差は僅か5年間で同レベルから2.5倍へと拡大し、軍事費支出は倍以上の開きとなっています。

    ※中国は内政(国内圧政)にも莫大な軍事予算を割いているはずですから、実際には4倍くらいの差があるのではないでしょうか。


     小泉政権下での郵政選挙と米国サブプライムに影響を受けた2000年代半ばのミニバブル(資産バブル)の頃に幾らか戻ったかの印象以外には、この10年間では然したる変化を感じません。無数の既得権が依然として日本の国力を削ぎ続けています。


     と言いつつも、まだ日本国のアドバンテージには余熱が残っています。この温かみが残っているうちに票格差是正や既得権の打破を出来るのか?
     残された時間は長くてオリンピックまで。何も出来ずにそれを過ぎれば再生の種も尽き、その後2020年以降の急速な高齢化の大波を受け日本丸は沈むのだと思います。


     海外への資産分散のチャンスや株式で稼げるのもあと数年ではないかと危惧します。

    (街のコンサルタント)


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)
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