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波乱の幕開けとなった2016年。中国の株安、通貨安、原油安から始まったリスクオフの流れが止まりません。
原油安は中東の国家財政や王族たちの懐具合を悪化させ世界に保有するリスク資産の売却へ、そして、更に負の連鎖が続くという動きがでました。
今年に入ってから今日まで12営業日、日経平均株価のローソク足で陽線になったのは4日のみ。陰線の長さに比べると、陽線は短く、小幅の反発に過ぎず、下落基調が続いています。
外国為替市場の動きは、基本的にドル高、円高です。
米ドルの、貿易相手国通貨バスケットに対する指数であるドル指数(ドル・インデックス)は直近値で98.85と、昨年12月につけた過去5年間の高値である100.51に近づきつつあります。
年初来の主要通貨のパフォーマンスをみると、円は対ドルでは約3%弱の上昇、ユーロは0.7%上昇、とリスクオフのマーケットでは、流動性がある通貨が買われます。
一方で、新興国通貨の下落が続いています。昨年末から直近20日までに、対ドルで最も売られた通貨が南アフリカランドで8%の下落、市場最安値を更新しています。
好金利で人気があったニュージーランドドル、メキシコペソ等も6%強の下落です。日本の投資家に人気がある豪ドルは資源通貨、中国と関連が強い、国内経済も不振等から下落が続き、対円で80円を割る動きになりました。
売られ過ぎ感、値ごろ感が出てくる水準ではありますが、リーマンショック時の急落と比較すると、今回はズルズルとした下落が続いています。個人的には、まだ底値を拾うタイミングではないように思っています。
21世紀に入ってから中国を中心に新興国の発展が続き、過剰投資が行われるようになった反動が出てきた時期に、米国の昨年の利上げがあり、ドル回帰、ドル高が今年のマーケットにも大きく影響しているでしょう。
マーケットが落ち着いたところで、今年も市場の関心事、鍵を握るのは、やはり米国の利上げだろうと思います。
直近の予想では、今月末の利上げはないと見られ、3月に約2割強の確率、後半に行くほど確率は少しずつ上がります。昨年考えられていたよりも更なる利上 げ頻度予想は下がっています。また、米国の経済指標次第とはしつつも、今年1回は利上げはあるだろうとの予想が大勢となっています。
昨年と比較すれば穏やかになると思いますが、利上げ期待がある限り、ドル高基調は続くものと考えます。
日経平均株価とドル円相場の相関性が以前と比べれて薄れています。
本日20日の株価下落によるリスクオフの流れで116円割れすれすれまで来ていますが、株価下落に比べると変動した率は小さい傾向です。
その背景には、ドル高基調という要因があることに加えて、昨年もそうだったように、節目で見られる日本からの海外投資(年金機構による外債投資のためのドル買い、機関投資家、海外企業買収)というドル買いも影響しているように思います。
そして、その一つの背景が、日銀が異次元緩和で日本国債を大量に買っているため、債券投資が海外へ向かわざるをえない、ということがあると言われます。 積極的に上値までドル買いに走る姿勢はこれまで見られてきませんでしたが、下値圏でのドル買い意欲が相場を支えれば、ドル円相場は、今年もボックス相場を 形成する可能性はあるかもしれません。
1月の最終週に日銀、米国FOMCが開催されます。両方とも政策変更が出されると期待されていません。また、明日1月21日には欧州中央銀行ECBの定 例理事会が開かれますが、昨年12月のECB理事会の緩和策が期待外れであったことから、今後の追加緩和も実施されたとしても限定的との予想が大勢となっ ています。
金融政策には期待が持てないとなると、株価の下落は今後も基調として続く可能性が高くなります。今年7月に選挙を迎える安倍政権が早期に腰の入った経済対策、特に財政出動をすることが期待されます。
リーマンショックなみの景気後退がなければ消費増税は行うと安倍氏は先般コメントしていますが、きっちり経済対策を打たなければ、消費増税どころではなくなるでしょう。
新年早々の相場波乱は未だ続きそうです。チャンスを拾う姿勢をキープしつつも、乱高下が起こりやすい環境ですので慎重に臨んでいきたいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*1月20日18時執筆
本号の情報は、主に1月20日のロンドン市場始値のレートを引用しています。なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
原油安は中東の国家財政や王族たちの懐具合を悪化させ世界に保有するリスク資産の売却へ、そして、更に負の連鎖が続くという動きがでました。
今年に入ってから今日まで12営業日、日経平均株価のローソク足で陽線になったのは4日のみ。陰線の長さに比べると、陽線は短く、小幅の反発に過ぎず、下落基調が続いています。
外国為替市場の動きは、基本的にドル高、円高です。
米ドルの、貿易相手国通貨バスケットに対する指数であるドル指数(ドル・インデックス)は直近値で98.85と、昨年12月につけた過去5年間の高値である100.51に近づきつつあります。
年初来の主要通貨のパフォーマンスをみると、円は対ドルでは約3%弱の上昇、ユーロは0.7%上昇、とリスクオフのマーケットでは、流動性がある通貨が買われます。
一方で、新興国通貨の下落が続いています。昨年末から直近20日までに、対ドルで最も売られた通貨が南アフリカランドで8%の下落、市場最安値を更新しています。
好金利で人気があったニュージーランドドル、メキシコペソ等も6%強の下落です。日本の投資家に人気がある豪ドルは資源通貨、中国と関連が強い、国内経済も不振等から下落が続き、対円で80円を割る動きになりました。
売られ過ぎ感、値ごろ感が出てくる水準ではありますが、リーマンショック時の急落と比較すると、今回はズルズルとした下落が続いています。個人的には、まだ底値を拾うタイミングではないように思っています。
21世紀に入ってから中国を中心に新興国の発展が続き、過剰投資が行われるようになった反動が出てきた時期に、米国の昨年の利上げがあり、ドル回帰、ドル高が今年のマーケットにも大きく影響しているでしょう。
マーケットが落ち着いたところで、今年も市場の関心事、鍵を握るのは、やはり米国の利上げだろうと思います。
直近の予想では、今月末の利上げはないと見られ、3月に約2割強の確率、後半に行くほど確率は少しずつ上がります。昨年考えられていたよりも更なる利上 げ頻度予想は下がっています。また、米国の経済指標次第とはしつつも、今年1回は利上げはあるだろうとの予想が大勢となっています。
昨年と比較すれば穏やかになると思いますが、利上げ期待がある限り、ドル高基調は続くものと考えます。
日経平均株価とドル円相場の相関性が以前と比べれて薄れています。
本日20日の株価下落によるリスクオフの流れで116円割れすれすれまで来ていますが、株価下落に比べると変動した率は小さい傾向です。
その背景には、ドル高基調という要因があることに加えて、昨年もそうだったように、節目で見られる日本からの海外投資(年金機構による外債投資のためのドル買い、機関投資家、海外企業買収)というドル買いも影響しているように思います。
そして、その一つの背景が、日銀が異次元緩和で日本国債を大量に買っているため、債券投資が海外へ向かわざるをえない、ということがあると言われます。 積極的に上値までドル買いに走る姿勢はこれまで見られてきませんでしたが、下値圏でのドル買い意欲が相場を支えれば、ドル円相場は、今年もボックス相場を 形成する可能性はあるかもしれません。
1月の最終週に日銀、米国FOMCが開催されます。両方とも政策変更が出されると期待されていません。また、明日1月21日には欧州中央銀行ECBの定 例理事会が開かれますが、昨年12月のECB理事会の緩和策が期待外れであったことから、今後の追加緩和も実施されたとしても限定的との予想が大勢となっ ています。
金融政策には期待が持てないとなると、株価の下落は今後も基調として続く可能性が高くなります。今年7月に選挙を迎える安倍政権が早期に腰の入った経済対策、特に財政出動をすることが期待されます。
リーマンショックなみの景気後退がなければ消費増税は行うと安倍氏は先般コメントしていますが、きっちり経済対策を打たなければ、消費増税どころではなくなるでしょう。
新年早々の相場波乱は未だ続きそうです。チャンスを拾う姿勢をキープしつつも、乱高下が起こりやすい環境ですので慎重に臨んでいきたいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*1月20日18時執筆
本号の情報は、主に1月20日のロンドン市場始値のレートを引用しています。なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)