目につくのは為替相場に支えられ堅調な業績推移を辿ってきた輸出関連企業や原油価格の下落や中国経済の停滞、悪化を背景にしたそれに関わる中国市場依存型企業の業績下方修正です。
日本企業の業績は輸出依存型と内需型とに分かれますが目下のところは輸出依存型企業、とりわけ中国市場に依存してきた企業の業績悪化が見られます。
これはある意味当然のことで、ある程度分かっていましたので覚悟はできていたはずです。
問題はこうした状況がいつまで続くのか、それに対して明るい状況はあるのか、と言った議論が必要です。
起きている現象は過去の積み重ねで株価にもかなり織り込んできた筈なので、既に株価には反映されている可能性が高い。ただ、下落トレンドにある銘柄を選定し投資するのはかなりの勇気が必要で買いがおっかなびっくりで腰がすわっていないため何とも弱弱しい状況です。
誰しも底を言い当てることはできませんし、底値で買うことも不可能ですが、打診買い作戦は敢行できるかと思います。
日本は世界のマクロ経済が不況にあえぐ中で、米国とともにまだ政策対応ができる国の一つではありますが、市場の先行きは実体を伴わないと見れば容赦ない評価を下し、リスクオフに走り出します。
原油価格に為替相場、米国の市場金利、上海株に香港株、NYダウに日本株、様々な要因がリンクした相場になってきましたので、インデックスの動向を語るのは、ある意味やりやすいのかも知れません。
日本株は日本独自のよもやのマイナス金利政策の発動で一旦はポジティブな評価で売り方の買戻しを誘いました。ただ、冷静に眺めると投資家に人気のある銀行株の下落につながりましたので、痛手を受けたものと推察されます。
銀行株には昨年上場したゆうちょ銀行も含まれます。
多くの個人投資家は銀行株を安定株としての評価からポートフォリオに入れているケースが多いと見られますが、日銀はマイナス金利で銀行に融資を促している状況で、この効果が今後内需企業にプラスに働く要素も考えられます。
また、キャッシュリッチな企業も黙って現預金を保有していると銀行ともども立ち行かない状態になる可能性もありますので、ここは投資を積極化していく必要があります。
有望事業を見出してそこに集中して投資をしていく膨大で地道な作業が求められますが、銀行の機能が発揮されないおかしな状況が見られるのが昨今の問題点です。
日本株が底値に達しているという意見とまだ下げトレンドが続くという意見に分かれているのかも知れませんが、投資家は既に現金ポジションを高め、下落に備えているものと見られますが、いかがでしょうか。
企業もどのような局面においても徹底的にコストダウン対応を図り、収益向上に努めていく訳ですし、株価が企業価値以上に値下がりすれば自社株買いでの対応が可能なので極端な株価下落は想定しにくいのですが、相場のことだけに現実には想定外の展開もあるのかも知れません。
アベノミクスの象徴であった株高がなくなれば、景気への影響が必然的に出てきます。日銀のマイナス金利発動は景気を刺激し株安に陥らないよう配慮されたものであろうかと推察しています。
日銀にぶら下がっている銀行に総裁は
「君ら、はよ企業や個人に融資しろ、黙ってたら赤字になるよ!」
と喝!を入れているようなものです。
これで銀行がつぶれる事態になればそれも金融市場の混乱につながりますので、もし本当にそういう事態になれば日銀は配慮すると思いますが、本来の融資業務を捨てた銀行への警告のような政策発動と受け止められます。
これによる恩恵は住宅業界、自動車業界などのほか設備投資やIT化投資などにも向かう可能性があります。
現預金をため込んできたキャッシュリッチ企業がどのような投資アイテムに資金を振り向けるのか気になるところです。
要は人材投資、社員の待遇改善などにつながることが狙いなのかも知れませんし、稼いだお金を何に使うのか、投資家に還元してしまうのか、様々な施策を打ち出すきっかけに今回のマイナス金利導入がなるのかも知れません。
(炎)
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