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株価はなぜ動き、なぜリアルな価値から歪むのか
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株価はなぜ動き、なぜリアルな価値から歪むのか

2016-03-17 12:24
    (1)株価はなぜ動くのか

     株式市場は、株式会社が事業を遂行するために資金を調達するための機能を果しています。企業が事業資金を調達する方法は、株式を発行し、これを投資家に 買ってもらうという方法があります。投資家が投資した資金は企業の自己資金となり、借入のように貸主に返す必要はありません。

     しかし株に一旦投資したら、そのお金を別なことに使う必要が出来たとき返してもらえないというのでは、投資家は投資に二の足を踏んでしまいます。
     そこで株に投資した資金を使いたくなったとき、別の投資家に株を売って、投資した資金を回収する場所が必要になります。その役目を果たしているのが株式市場です。

     株式市場では多くの企業の株が売買されています。その売買を活発に行なわせる大切な仕組みが、株価が変動して、うまく売買すれば一攫千金を狙えるかもしれないという射幸心です。


     私は株式市場を成り立たせる仕組みとして、株価が「人間の欲望と恐怖」を原因として動き、その株価が上に下に動くということが、投資家の資金を株式市場 に呼び寄せる魅力(=すなわちエサ)として機能するという仕組みで作られているゲームだと理解しておくと分かりやすいと思っています。

     株価が右肩上がりに上がり続け、下がることがないならば、そんな株を売ろうという人はいないでしょう。よほどお金が必要な人意外は売りません。そうすると、その株を買いたい人がいても、買えません。

     では下がり続ける株を買う人はいるでしょうか。そんな損をすることがわかりきっている株を買おうという人も、普通はいないと思います。

     株価が上下に変動しているからこそ、変化しているからこそ、もっと上がるかもしれないから買おうという投資家。いやいやこれからは下がる可能性のほうが 高いから売っておこうという投資家。つまり意見の異なる投資家がいるからこそ市場で売買が成立し、いつでも現金に換金できるという安心感を投資家に与えて いるわけです。


     このように理解しても、どの株が上がり、どの株が下がるかということとは、まったく関係がありません。しかし株価が上にも下にも動かない出来高の少ない株には投資家の資金があまり回ってこない理由が理解できます。

     つまり上がらない、上がりそうにない企業の株に投資する投資家は少ないということで、どんなに低PERかつ低PBRかつ自己資本比率が高い業績が安定的 に推移している銘柄でも株価が上がらない理由があります。投資家にこの企業に投資したいという欲望を持たせるための理由が少ないのです。
     だから、このような銘柄の株を大量に買って、『なんでこれほど条件が良い企業の株が、これほどまでに上がらないのだ』と嘆いてもしょうがないのです。



    (2)株価はなぜ『企業が持っているリアルな価値』から大きく歪むのか

     企業の姿は『その企業が持っているリアルな価値』とは大きく乖離した『株価』というバーチャルで歪んだ数字で証券取引所のボードの上に表示されて投資家の目にとどきます。

     多くの投資家はパソコンの画面に映し出された株価というバーチャルで動き続けている『企業のリアルな価値の影』を追うことで利益を掴もうとしてあがきます。

     私は、『企業のリアルな価値(=本質的な企業価値)』というのは、その企業が過去の利益で蓄積してきてすでに持っている『企業の資産価値』と、その企業が事業を行うことで将来にわたって稼ぎ続ける収益力の総和、つまり『企業の事業価値』を合計したものだと考えています。

     その企業が過去の利益で稼いできた利益の多くはバランス・シートの資産の欄に表示されています。特許などのようにバランス・シートに表示されていない資産もありますが、開示されている資産だけでも投資判断するのに十分な『企業の資産価値』を把握することが可能です。


     しかし企業が将来どれだけの利益を稼ぐことができるかという未来の収益の総和を計算することは、誰にもできません。いろいろな手段で推計するしかありません。

     そこで私は事業価値(=利益を上げ続ける収益力)を推定するために、4つの経済サイクルのうち一番短い3年~4年でサイクルを描く在庫循環を参考に、企業の4年間の平均経常利益を計算し、その5年分つまり5倍を事業価値と考えるようにしています。

     事業価値はバランス・シート上に載っていないビジネス・モデルや企業の信用力、社長や社員の能力、ネットワークの力などで利益を稼ぎだせる力を現金換算 しなければ計算できません。しかしこれを簡単に算出することは不可能なのです。したがって過去の企業の経常利益で代用し、事業価値を把握するようにしてい ます。


     しかしこの『企業のリアルな価値』は、投資家のその企業に投資したいという需要(=光)によってマーケットのボードに『バーチャルな影(=株価)』として写しだされます。

     そしてその影(=株価)は、大きく歪んで写し出されることがほとんどです。光(=需要)が強ければ大きく、そしていまのように光(=需要)が弱ければ小さく歪みます。


     なぜか。

     それは『株価』というバーチャルな影は、欲と恐怖でいびつに磨かれたミスター・マーケット(=全ての投資家の総意)というプリズムを通過することで大きく歪んでしまうのです。

     その歪みを補正して『企業のリアルな価値』を予想するためには事業内容や資産背景を把握して理解しておくことが重要になると考えて私は努力しています。


     私は特定の企業群(⇔約200社程度の企業)の株価と業績の推移を数年間ウォッチし続けています。

     私がその『企業のリアルな価値』だと考えていた数字から、どう考えても割安すぎるところまで株価が下がっていたのに、更に売り込まれてとんでもなく下がる株が無数にでてくる状態でした。半値八掛け以上に下げる株が多く出ました。

     「株式投資は人間の欲望を変数として機能している制度であり、わずかな入力(投資家の欲と恐怖に駆られた投資行動)の変化が劇的な出力(投資の損益)の変化に帰結するものである」ということ、いやというほど実感させられました。


     本日の有料メルマガの研究銘柄とした企業は、3月15日に発売された四季報によると、一株純資産が2319円あり、その企業の発表している2016年3 月期の一株利益の予想が372.83円(⇔第3四半期までの一株利益の実績は350.62円)であるのに、2月12日には1050円までなげ売りされて下 落しました。
     12月1日の終値は1744円でしたが、瞬く間に1050円まで下げていきました。しかし勢いよくリバウンドしており3月11日には1587円まで戻し、3月14日には1600円台に回復してきました。リバウンドに力があるので研究銘柄として取り上げました。


     このように業績に全く問題ないのに暴落した企業は多いです。

     繰り返しになりますが、株価はその企業に投資したい(=買いたい)という投資家の需要という光がさすことによりマーケットの上に写しだされた『バーチャルな影のようなもの』です。その影は投資家の欲と恐怖が作り出したプリズムを通過することで大きく歪みます。

     証券取引所のボードのうえで1秒以下のスピードで変化していきます。光がないと(=投資家の買いたいという需要)がなければ影(=株価)はできません。

     しかし実社会に存在する『企業のリアルな価値』は影(=株価)の大きさとは関係なく、実在していることを忘れるべきではありません。

     投資環境が極端に悪化して光(=需要)がなかったら株価はつかず、少ししかない(=需要が小さい)と小さな影(=株価)にしかなりません。

     株ではなく、実社会のなかに存在する大きなビルや橋、巨大な池や山などの厳然として存在するリアルなものでも、太陽の光がとどかない夜に嵐が起きて月の光さえなければ、暗黒の中で、その大きさを人の肉眼ではとらえることはできません。

     真っ暗闇の中で、巨大なビルが見えなくてもビルが存在しないと思う人はいないと思います。


     でもマーケットのボードに写る株価が小さいと、多くの投資家は『企業のリアルな価値』も小さくなったと勘違いしているように思われます。

     もちろん株をキャッシュに替えるためには、いまボードに写し出された株価、すなわち買いたい投資家の買いたい価格(=需要)で手放すしかありません。

     しかし嵐の中で手放さなければならない理由がない以上、持ち続ければ良いだけです。株価と企業の価値は同じだという勘違いをしないことが大事だと考えています。


     株のトレードというのは株価(または儲け)を追いかけて、とらえるための狩りのようなものです。だから株価を追いかけて捕らえて、ボードの数字が上がったら(=とらえた時の株価から上昇したら)手放して、キャッシュに替える必要があります。

     しかし企業の価値に投資して買い持ちするという投資スタイルなら、需要が消えた大嵐に持ち株を手放すのはバカらしい愚かな行為です。

     企業に投資するスタイルなら企業のファンダメンタルズを調べて、自分で把握しておくことが必要だと考えて実践しています。だから、今年になってから日本の株式市場を吹き荒れるこの嵐はチャンスだと考えることにしています。


     本日のコラムにも、2月23日のコラムに取り上げた配当優待利回りが5%を超えるところまで下落した6銘柄の3月11日までの株価のリバウンド率を確認 しました。このうち5銘柄は3月に配当と優待がでる企業であり、その5銘柄すべてが3週間で約10%リバウンドしました。

     そのうちの1銘柄はオリックスです。オリックスの株価は今週に入っても上昇傾向を維持しています。

     オリックスの株価のチャートです。
    http://www.nikkei.com/markets/company/chart/chart.aspx?scode=8591&ba=1&type=3month

     オリックスはIRで長期保有を優遇する優待拡充を発表しています。一部を引用させていただきます。

    http://www.orix.co.jp/grp/news/2016/160127_ORIXJ.html

    『個人株主数が大きく増加したことを背景に、今年から、より長期にわたって当社株式を保有して いただくこと、およびオリックスグループの経営理念や経営方針、多角化した各事業に対する理解をさらに深めていただくことを目的に、単元株である100株 以上を3年以上継続保有いただいている株主の皆さまには、さらに充実した内容のカタログギフトをお届けします。』

    『※オリックスグループの野球観戦やゴルフ場でご利用可能な優待券(Aコース10,000円分、Bコース5,000円分)も掲載予定です。Aコース 3年以上継続保有の株主、Bコース 3年未満保有の株主』

    (以上で引用を終わります。)


     先週の億の近道で書いた、私のポジショントーク銘柄であるUKCホールディングスと加賀電子の株価も、3月8日からリバウンド傾向を維持しています。

    UKCホールディングス
     3月8日の株価2123円⇒3月14日の株価2303円。

    加賀電子
     3月8日の株価1381円⇒3月14日の株価1429円。

     私は加賀電子の方に重点的に投資していますが、UKCホールディングスのほうがリバウンド力は強いです。しかし企業統合すれば、加賀電子もUKCホール ディングスの株価上昇の恩恵を受けるので、UKCホールディングスの株価が更に早く上昇することを期待して応援しています。

    UKCホールディングスの株価のチャートです。
    http://www.nikkei.com/markets/company/chart/chart.aspx?scode=3156&ba=1&type=3month

    加賀電子の株価のチャートです。
    http://www.nikkei.com/markets/company/chart/chart.aspx?scode=8154&ba=1&type=3month


     多くの企業の株がリバウンドしていくのを見ているのは、とても楽しいですね。


    経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎


    ★有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」を週1回配信しています。石川臨太郎が特定銘柄を挙げて詳細研究する「銘柄研究」が好評です。ご興味がある方はぜひ一度ご購読下さい。

     本日配信の有料メルマガでは、各種産業に不可欠なものを取り扱っており、M&Aを積極活用して業績を伸長させていて、低PER低PBRで、3期連続で増配予定で、保守的な業績予想により期中に上方修正される可能性が高い企業を、研究銘柄として掲載しています。

     また、コラムでは、「3月のメジャーSQが終わった今週から配当優待権利日までは3月高配当銘柄や、3月高配当優待銘柄に関しては、聞き飽きたフレーズ かもしれないが『いつ買うか、今でしょう』と考えるべきタイミングが来ているのではないかと強く感じています」と題し、ある条件に基づいてリバウンドが期 待できる銘柄を抽出し、投資判断を行う提言を行っています。

     さらに、投資判断に迷ったときに順守する投資ルールについても、具体例として提示し、どのような投資行動をしたらよいかを提案しています。

     加えて、魅力ある3月の高配当優待銘柄を7銘柄、非優待銘柄を1銘柄取り上げています。

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    過去サンプル(研究銘柄)
     銘柄研究 帝国電機製作所(6333)
     銘柄研究 わらべや日洋(2918)
     銘柄研究 ミライアル(4238)

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