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こないだ「あなたは「心理学っぽい嘘」にダマされていないか?」なんて話を書きましたが、「それ科学的に証明されてるらしいよ!」と言われて、なんとなく信じてしまった経験は誰にでもあるでしょう。たとえば、

 

「甘いものを食べると子どもはハイになる」
「ストレスで胃に穴があく」
「人にはそれぞれ学習スタイルがある」

 

みたいな感じで、いずれも「論文で証明されてる!」や「専門家が断言!」などというフレーズで世に広まった話で、確かにどれも“それっぽい”感じがするわけです。

 

しかし、ここ10年ほど論文を追いかけていると、この手の「ポップサイエンス(大衆向け科学)」の多くが、

 

  • 誇張されている

  • 文脈が抜けている

  • そもそも間違っている

 

のどれかに当てはまるケースが非常に多いんですよね。このブロマガをお読みの方ならご存じのとおり、科学は別に正しさを担保するものではなくて、どちらかと言えば「仮説 → 検証 → 修正」を繰り返すプロセスそのものだったりします。つまり、初期の研究はだいたい不完全で、後から修正されるのを前提にしているんですな。ところが一般には、「論文に書いてある=確定した真実」のように受け取られがちでして、このギャップが誤解を生む大きな原因になっております。

 

では、なぜ「それっぽいけど怪しい情報」が広まるのかってことですが、ポイントは大きく3つあります。

 

  1. 相関が因果関係っぽく見える:たとえば、「ストレスが高い人ほど病気が多い」「砂糖を食べると子どもが騒ぐ」みたいなデータを見ると、すぐに「ストレスと砂糖が原因だ!」と思っちゃうわけですが、実際には第三の要因があったり、ただの偶然だったりというケースもめっちゃ多いんですよ。これは「相関と因果の混同」と呼ばれまして、ポップサイエンス的な誤解が起きる原因の定番中の定番っすね。


  2. もっともらしいストーリー:人間は「説明がつくと信じやすい」って特徴がありまして、たとえば「血糖値が下がると脳が疲れるから、判断が雑になるに違いない!」とか「人工甘味料は脳を暴走させるから、食欲が増えてより太ってしまうに違いない!」みたいな感じで、ちょっと読むとどちらも「ありそう」な感じがするじゃないですか。しかし問題は、「説明が成立する=正しいとは限らない」ってところでして、実際には、具体的な指標や状態が測定されていなかったり、他の可能性を検証していなかったりといったケースがしばしばなんですよね。いわば、「納得できる仮説」に騙されている状態ですな。


  3. メディアによる“盛り”:科学的な研究の結果は、本来は「条件付き」「限定的」「曖昧」なもの。なので、それをそのまま伝えてもウケないじゃないですか。そのため、多くのメディアは「◯◯は効果あり!」「科学が証明!」といった形で、わかりやすく単純化&誇張するわけですよ。その結果として、本来の研究とは別物のメッセージが広まってしまうわけです。ここで厄介なのが、一度広まった誤解はなかなか消えないって問題でして、これは「ウソを広めるコストよりも、それを否定するコストが大きい」って現実があるからです。俗に「ブランドリーニの法則」ってヤツでして、たとえば「砂糖で子どもの脳が壊れる!」みたいな話は一言で広まるのに、「実験デザインは〜で…バイアスが…」みたいな話は説明が長いせいで広まりにくいですからね。当然、前者のほうが拡散されやすく、結果として間違いが“ゾンビ化”して残り続けるわけっすな。

 

ってことで、いずれも「よく見かけるなー」って感じですが、実際にこの問題に立ち向かうのは難しいもんです。人間は直感で納得できる話にめっぽう弱い生き物ですからねぇ。

 

とはいえ、打つ手がないわけではありません。この「よく聞くけど怪しい科学ネタ広がっちゃう問題」には「疑うべきポイント」みたいなものがいくつかありますんで、そこを押さえておけばポップサイエンスに振り回される確率はかなり下げられるはずであります。

 

ただし、「ここを気をつけよう!」ってポイントを抽象的に理解しても、いまいち実践に応用しづらいでしょうから、ここでは実際によくある科学ニュースをベースにクイズ形式で科学的な思考の進め方について考えてみましょう。疑似科学のクイズはちょっと前にも出しましたけど、ここでは特定の説が生まれた経緯と、そのツッコミどころをクイズにして見ていきますんで、答えを考えていくうちに、なんとなく科学的に物事を考えるコツみたいなものがわかってくるはず。わりと典型的な問題を出していきますんで、ぜひ楽しみつつ取り組んでみてくださいませ。