というわけで、大人も子どもも楽しめる絵本の紹介をしていきたいと思います。
第7回は、レオ・バスカーリア作・島田光雄絵『葉っぱのフレディ』です。
葉っぱのフレディを通じて、移りゆく季節(人生)の中で、どのように生き、どのように一生を終えるかを見つめる、アメリカの著名な哲学者レオ・バスカーリアの絵本。
お話の内容はこんな風。
大きな木に生まれた葉っぱのフレディが、同じ葉っぱで、物知りのダニエルから、自分が葉っぱだということ、木の根っこがどんな風に地を張っているかこと、おはようのあいさつにいつもやってくるのは小鳥だということなど、色々なことを教えてもらいながら、めぐる季節と人生を楽しみます。そして、「いのち」は、やがて終わることも教わります。
「ぼく、死ぬのがこわいよ。」そんなフレディにダニエルは経験したことがないことはこわいと思うものであること、世界は変化しつづけていて、変化しないものはひとつもないことを教えてくれます。フレディは、死を受け入れ、生まれてきたことをよかったと思い……そんなフレディにもとうとう終わりのときがやってきて……。
この世に生を受けたものは、やがて、終わりを迎える。
当たり前のことのようですが、日々、忙しく生きる私たちは、「今」、そして、「近い未来」を生きることに精一杯であり、「自分がやがて死んでいく」ことについて、毎日、向き合うのは難しいことかもしれません。
この絵本は、フレディが物知りの友だちダニエルに質問をする形式で、お話が進んでいきます。まるで子どもが親に質問しているようなイメージなので、「いのち」に興味が出てきた子どもに、どんな風に「生と死」を伝えればよいか、1つのヒントになりそうです。もちろん、大人にも自分を見つめなおす、きっかけを与えてくれます。
チビッコには、ちょっとお話が長く、難しい内容なので、小学生から大人によいかも。
どのように過ごしても、いずれは終わる人生。だからといって、ガツガツと人生を楽しむことを提案しているわけではなく、その事実を再認識することにスポットが当てられています。どのように生きるのかや理想などは言及されていません。
このお話を読んだ後、どんなことを感じ、また、どんな時を過ごしていくかは、自分次第なのです。
あと数十年で、自分の存在がなくなる。そうか、じゃあ、何をしようか。
[The World of Leo Buscaglia]