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自転車は、デザイン第一義の“プロダクト”でも、汚してなんぼの“ツール”でもある?|みんなの自転車
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自転車は、デザイン第一義の“プロダクト”でも、汚してなんぼの“ツール”でもある?|みんなの自転車

2021-02-06 14:00
    ディーター・ラムス、ジャン・プルーヴェ、シャルロット・ペリアン……。名だたるプロダクトデザイナーたちを、こよなく愛する宮下さん。

    職業も家具職人であり、公私ともに、つね日頃から“いいもの”に触れています。

    そんな彼にとっては、自転車選びも、家具や雑貨を選び取るのと同じ。わけへだてなく、デザインの美しさや完成度に、とりわけ重きを置いているところ。とはいえ、いっぽうで。

    たかが“道具”。あくまで実用してこそ。きっぱりと、そう言ってのける。

    いっけん相反する価値観も、彼にとっては、いたってひとつづきであるようです。

    名前(職業):宮下 渉さん(家具職人)
    年齢:26歳
    愛車:CREATE-BIKES
    価格:8万円
    自転車歴:1ヶ月

    お下がりのフレームをつかって、DIYした一台

    宮下さんの自転車は、前の職場の同僚が新しい自転車を買ったのを機に、もともと乗っていたのを安く譲ってもらったお下がり。

    その頃、通勤用の自転車をちょうど探していたものの、最初の一台ということで、新品であることには、とりわけこだわらなかったのだとか。

    4万円ほどで譲ってもらいました。そこから、フレーム以外はほぼフルカスタムして。雨に濡れてもいいようにサドルをカーボン製のものにしたり、前輪はヤフオクで落札したものに替えたり



    家具職人というだけあって、ふだんからDIYにも精通している宮下さん。そうしたカスタムも、ぜんぶ自らでおこなったのだとか。

    とりわけこだわったカスタムのひとつが、ハンドル。

    もともとは端が突き出したブルホーンタイプのものがついていたところをドロップバータイプに。そこには、こんな理由があります。

    自転車のことが気になって調べていた時期に、YouTubeで見つけた動画のなかで、さまざまな自転車の乗り方を紹介するというものがあって。

    通常、後輪の上から足を回して乗るところを、ニューヨークのメッセンジャーたちは、片足を前方に振り上げて、ハンドルをまたぐようにして乗るらしいんです。

    それを僕もやってみたくて、このハンドルを選びました!(笑)

    着脱式のペダルを、あえて選んだワケ

    ピストバイクなら、ストラップのついたペダルを選ぶのが一般的ですが、宮下さんは、あえて着脱式のものをチョイス。

    それは、自転車を車に積んでキャンプに行くことがあるから。

    前の会社の集まりやプライベートで、東京近郊にキャンプをしに行くことがあって。

    そういうときには、かならず自転車も持っていくようにしています

    でも、オフロードに対応していない、ロード用のピストバイク。山のなかを走るわけではないだろうし、いったい、なにに使っているの?

    キャンプ場から最寄りのスーパーまでのちょっとした買出し用に、自転車があると便利なんです!

    車の荷台に横にして載せるので、ペダルを外せると車が傷つくのを防げます

    なるほど。あくまで“足”として、実用的に使っているというわけ。こりゃ、一本取られたね!

    自転車は、“プロダクト”でも、“ツール”でもある

    家具職人として、アパレル店舗や個人宅の什器・家具の製作から取り付けまでをおこなっている宮下さん。

    インテリアへのこだわりはプライベートにおいてもひとしおで、自宅の部屋にも、名のあるデザイナーの家具や雑貨が並んでいるのだとか。

    とくに敬愛するのは、ディーター・ラムスやシャルロット・ペリアン、ジャン・プルーヴェといった、シンプルなデザインのなかに力強い存在感を秘めるプロダクトをつくる作家たち。

    もしかして、自転車もそういった目線で捉えているんじゃない?

    多少あるかもしれません。

    この自転車を譲ってもらう前、自分で探していた時期は、究極にミニマルなデザインの自転車を狙っていました。クロモリのステムに、ハンドルテープすら巻いていないくらいの

    本当なら、前後のブレーキすら無くしてしまいたいくらいなんです。

    実際、自転車にこだわっている会社の同僚は、自分でステムに穴をあけて、そこにブレーキを通したりしていて。

    そんな風に、いつかは僕もとことんこだわりたい。この一台は、あくまで“初号機”と捉えています

    削ぎ落とされた美こそ、正義。やはり、自転車もインテリアも、その選考基準に、さほど差はない様子。

    そうやって自転車を“プロダクト”として見つめながらも、こと扱い方に関しては、さにあらず。



    傷がついても汚れても、まったく気にしないどころか、むしろそれを歓迎する節すらある。じつに職人らしい眼差しが注がれています。

    前の持ち主がつけた傷や、その補修跡も、いたるところにあります。

    こまかく見るとけっして綺麗ではないですが、むしろ、それがいいかなって

    仕事で使う工具や車と同じように、自転車も、あくまで“道具”。

    ガシガシと使って汚していくほうが、かっこいいと思っています

    Photographed by Masahiro Kosaka

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