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石のスープ
定期号[2013年12月12日号/通巻No.100]
今号の執筆担当:村上和巳
定期号[2013年12月12日号/通巻No.100]
今号の執筆担当:村上和巳
「やったー!」
私は思わず左こぶしを握りしめた。反対の右こぶしには中央に赤丸が印字された紙片。
11月1日午後1時過ぎ。東京電力本店1階の記者会見場での出来事だ。ちょうど1週間前の10月23日、東京電力は11月6日に同社が年数回行っている福島第一原発の報道公開を行うと発表し、そのフリーランス取材者枠の抽選会がこの日行われたのである。私は抽選に初めて当選したのだ。
[キャプション]東電フリーランス抽選会の当たりくじ
ここで改めて簡単に触れておくと、福島第一原発の報道公開は毎回40人ほどが参加する。その参加枠にはいくつかの種類がある。以下にそれを列挙する。
* * * * *
(1)新聞社、通信社
・各社1名および代表スチール1名
【対象メディア】
朝日新聞、産経新聞、東京新聞、日経新聞、毎日新聞、読売新聞、共同通信、時事通信、電気新聞、その他新聞社1社(東北地方太平洋沖地震以降、本日まで、東京電力本店記者会見に参加実績がある新聞社)
(2)福島県地元紙ほか
・各社1名および代表スチール1名
【対象メディア】
福島県政記者クラブ(福島民報、福島民友、河北新報)、いわき記者クラブ・いわき記者会から1社、東京電力原子力発電所立地地域のメディア(東奥日報、新潟日報)
(3)テレビ局・ラジオ局(東京キー局)
・各社1名および代表カメラ1名・音声1名
【対象メディア】
NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ、ラジオ局1社
(4)テレビ局・ラジオ局(福島系列局)
・各社1名および代表カメラ1名・音声1名
【対象メディア】
福島県政記者クラブ(福島テレビ、福島中央テレビ、福島放送、テレビユー福島、ラジオ福島)
(5)雑誌メディア
・代表記者3名、代表スチール1名
【対象メディア】
日本雑誌協会所属社3社(代表スチール含む)、その他雑誌社1社(東北地方太平洋沖地震以降、東京電力本店記者会見に参加実績がある雑誌社)
(6)インターネットメディア
・各社1名および代表カメラ1名・音声1名
【対象メディア】
IWJ、ニコニコ動画
(7)フリーランス
以下の条件を全て満たす方2名
A)東北地方太平洋沖地震以降、東京電力本店記者会見に参加実績がある方
B)東北地方太平洋沖地震以降、以下の団体の媒体に福島第一原子力発電所事故に関する署名記事が掲載されたことがある方。または、福島第一原発事故に関する出版物の刊行実績がある方(日本新聞協会、日本専門新聞協会、日本地方新聞協会、日本民間放送連盟、日本雑誌協会、日本インターネット報道協会)。
なお、計2名のうち1名は、参加するフリーランスの代表スチールとして、スチールカメラ1台の持ち込みを許可。
* * * * *
最初に報道公開が行われたのは2011年秋だったが、この時フリーランス枠はなかった。しかし、震災直後から東京電力の記者会見に参加していたフリーランス各氏が東京電力に抗議を続けた結果、2012年5月の報道公開時に初めてフリーランス枠2名が設定され、枠を超える応募があった場合は抽選が行われることとなった。
ただ、喜ぶべきこの初のフリーランス枠設定時には、この枠のみ代表カメラが設定されていなかった。当然のことながら抽選に参加したフリーランスの面々は東電広報部に猛抗議したが、広報部側は「フリーの代表カメラに対する要員が割けない」という理由で押し切った。
この要員とは核物質防護担当要員である。原発では原子炉等規制法に基づき、対テロ防護などの観点から写真撮影などをしないよう定められている施設・設備がある。原発構内で撮影などが行われる場合、その監視・指導に当たるのが各電力会社所属の核物質防護担当者である。彼らは撮影者に密着し、どこを撮影してはいけないかなどを現場で事細かに指示する。この要員が足りないというのが当初の東電広報部の主張だった。
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