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『不落の重装戦術家』 静かな日【4】
コメ3
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。 4週間前
決して表情に出すまいと平静を装うに努めたこの数秒が、私には途方もない時間に感じられた。 今回の任務は、何者かに拉致されたゴードン・ゴルトマンの救出と実行犯の殲滅だったはずだ。しかし今、その頭目らしき男がゴルトマンを名乗り、確かにその顔は過去の記憶と一致している。面倒なことになりそうだと思った...
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『不落の重装戦術家』 静かな日【3】
コメ2
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。 1ヶ月前
私の意思一つで起爆する爆炎球を肩に浮かべながら、男は坑道内を先導し続ける。その背中を常に視界のどこかに捉えながら、私は少なからず違和感を覚えていた。 この男が廃坑入口で言った『あんたが来るとは』という言葉。あれは、私の存在が想定外であるからこそと思った。しかし、私を『不落』として認識しながら...
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『不落の重装戦術家』 静かな日【2】
コメ6
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。 2ヶ月前
沈みかけの日に周囲が赤々と染まる頃、隣国との国境近く。この付近一帯は深い森に覆われており、一本の街道だけが頼りなさげに国同士を繋いでいる。そこから少し外れに分け入った先、人の肩幅はあろう樹木の影。認識阻害の魔法結界に身を潜めながら、私は指示書の内容を思い返していた。 要人救出、対象は帝国の高官...
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『不落の重装戦術家』 静かな日【1】
コメ9
ゲーム妖怪ジーコの、創作小説とかブロマガとか。 3ヶ月前
その日も、朝から静かな一日だった。 午後の陽光が小さな窓を抜け、傷んだ木床を容赦なく炙る、静寂に包まれた兵舎。 歩を進めるたびガチャガチャと鎧が擦れ、頼りなさげに廊下が軋むその先に、古ぼけながらも見慣れたドアが私を迎えてくれた。いつものように手甲に魔力を籠め、丸いドアノブをゆっくりと捻る。なんの...