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野田稔・伊藤真の「社会人材学舎」VOL.6 NO.4
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野田稔・伊藤真の「社会人材学舎」VOL.6 NO.4

2014-07-28 06:00

    野田稔・伊藤真の「社会人材学舎」VOL.6 NO.4

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    コンテンツ

    対談VOL.6
    鈴木賀津彦氏 vs. 野田稔

    人は、自ら発信することで
    メディアリテラシーを身につける。
    市民メディアの進展が必要な理由とは?

    第4回 情報社会を創るのも、主権者である市民であるべき

    Change the Life“挑戦の軌跡”
    17歳で起業して、ものづくりを背負った、その心意気
    ――株式会社ノーブル・エイペックス 大関 綾

    第4回 後進にとってのロールモデルになりたい!

    NPOは社会を変えるか?
    第20回  危うい日本、10年で果たして道を示せるか
    ――NPO法人YouthCreateの原田謙介代表理事

    誌上講座
    テーマ6  マネジメント力を身につけよう!
    野田稔
    第4回: プロジェティスタというビジネス界のファンタジスタ

    粋に生きる
    7月の主任:「ナオユキ」
    第4回 修羅場体験が人を成長させる。芸の肥やしになる

    連載コラム
    より良く生きる術
    釈 正輪
    第24回 死を乗り越えたところに、心の安寧はある



    対談VOL.6

    鈴木賀津彦氏 vs. 野田稔

    人は、自ら発信することで
    メディアリテラシーを身につける。
    市民メディアの進展が必要な理由とは?


    本誌の特集は、(社)社会人材学舎の代表理事である野田稔、伊藤真をホストとし、毎回多彩なゲストをお招きしてお送りする対談をベースに展開していきます。ゲストとの対談に加え、その方の生き様や、その方が率いる企業の歴史、理念などに関する記事を交え、原則として4回(すなわち一月)に分けてご紹介していきます。

    今月のゲストは、東京新聞編集局読者応答室長の鈴木賀津彦氏。しかし鈴木氏は、むしろ「市民メディアプロデューサー」としてのほうが有名だ。メディアのあり様を変える。市民メディアを育て、マスメディアとの融合を図ることが鈴木氏の目標である。そして、そんな新しいメディアが個々人や地域をつなぐ。そこから町おこしや地域おこしも始まるのがいいと考える。
    最終回の今回は、さらにさまざまな角度から議論を深める。オープン・ジャーナリズム、ハイパーローカル、世論形成の研究、シティプロモーション……メディアがより良い街づくりを推進し、少子化対策にも貢献する。果たして、その心はどのようなものか。

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    第4回 情報社会を創るのも、主権者である市民であるべき

    オープン・ジャーナリズムにあっていい
    会費制メディアという可能性

    野田:ここまで、いろいろとお聞きしてきましたが、鈴木さんのこうした活動、思いに関して、お膝元の東京新聞の人たちはどう関わっているのですか?
    鈴木:そこは希薄ですね。情報としては入れていますけど、あくまでも私が勝手にやっていることという位置づけです。もちろん、本当は両者をつなげていかないといけないので、少しずつはそうしようとしていますが。
    野田:オープン・ジャーナリズムという動きがあります。どう思われていますか?
    鈴木:非常にいいと思いますね。英国のガーディアン紙の「オープン・ジャーナリズム宣言」には賛同します。

    ガーディアンのウェブサイトにあるオープン・ジャーナリズム宣言では、インターネットの利用が常態化した現在のジャーナリズムは、大量生産で新聞を発行し、上意下達で情報を受け手に届けた「19世紀型のジャーナリズム」とは一線を画すと語られている。その胆は何かというと、受け手もジャーナリズムに参加しているということだ。そもそもジャーナリストは各分野の専門家ではない。だから、取材先として選ぶ各専門家だけでなく、ネットを通じて広く専門家、あるいは生活者の意見やそこからの情報を入れることはジャーナリズムにとっても有益だということになる。
    だからガーディアンは、読者に対してオープンにして、参加を奨励する。真実により近づくためだと言う。たとえば、取材したり取得した情報や膨大なデータをネットで公開して、読者にも、その中から真実を見つける作業を手伝ってもらったりもしている。

    鈴木:そんなふうに、マスメディアのほうが門戸を開いて、読者に記事づくりを手伝ってもらうというのもありですよね。
     ただ、日本で広まりつつある市民発のオープン・ジャーナリズムの場合、あるいはインターネット新聞として上陸したハフィントン・ポストのようなケースでもそうですが、1つには、さきほど野田さんがおっしゃられた流通する価値のない情報をどう排除するかがキーになります。これには稚拙だとか、信頼できないといった意味だけでなくて、マスメディアの延長線上や焼き直しのコラムや記事なども含まれます。後者が多いと、スクラップサービスと何も変わらなくなると思います。
     だからこそ、オリジナルの記事が大事なわけですが、そうなると、もう1つのポイントとして、取材現場のクオリティをどう担保するかですね。確かに、言いたいことを言うのであれば、誰でもできるわけです。
    野田:市民メディアの成功例は、まだ日本にはないですよね。
    鈴木:代表的だったのは、オーマイニュースとJanJanだと思います。ただ、つぶやきであれば、誰でも書けます。評論もできるでしょう。しかし、きちっとした取材をして、しっかりとした調査報道をするメディアにまではならなかったですね。

    オーマイニュースは韓国発の市民参加型インターネット新聞サイト。2006年に日本語版が創刊、08年にオーマイライフと名称を変えて存続を図ったが、09年4月24日に閉鎖された。

    JanJan(ジャンジャン)は日本発のインターネット新聞の1つ。日本インターネット新聞株式会社が運営、市民記者制度を導入して、投稿から記事を作成するという市民ジャーナリズムの草分け的存在であった。富士ソフト株式会社が親会社で、親会社からの広告費で成り立っていたが、10年3月に休刊した。

    野田:マスメディアはダメだからネットを使って勝手にやるんだという考えではうまくいかない。大企業とベンチャー企業の関係にも似ていますが、どちら発でもいいのですが、やはり両者の融合、コラボレーションが前提でないと革命は起きないということですね。
    鈴木:そうだと思います。
    野田:ただ残念ながら、マスメディア側に鈴木さんのようなお考えの人はまだ少ないのかなと思います。
    鈴木:そうかもしれないですね。テレビにしても同じですが、読者を取り込まないといけないとか、視聴率を高めなければいけないという努力ばかりしています。しかし、そうした経営姿勢にはそろそろ違和感が漂い始めていると思います。メディアの特性はそもそもそうしたビジネスモデルには似合わないです。ただ商品を購入するから対価を払うということではなくて、仲間だから、自分も参加しているからお金を出し合うという形が理想なのではないかと思っています。
     これをビジネスの話として言い出すと、多分、大きく否定されると思いますけど。
    野田:会費制ビジネスみたいなイメージですよね。
    鈴木:そうです。
    野田:今までのようにニュースを買うというのではなく、そこにいる人たちが発信者でもあり、受け手でもあって、そこの場にいられることのためにお金を払うというイメージですね。ありですよね。
     ただ一見よさそうなのだけど、また怖いのは、そうなると輪が閉じてしまって、またフェースブック化してしまうのではないかと言うことです。結局似たような人だけが集まって、視野が狭くなっていくというリスクです。
     私たちは、世論形成の研究というのも傍らでやっています。
    「泡研究」と言っています。かつてはマスコミの力が強かったから、大本営発表が世論を形成した。ところが今はマスコミの波及力が相対的にだんだんと弱まるにつれて、部分、部分での世論がたくさん形成されているのではないかと思っています。
     この社会における世論、この集団における世論というものがたくさんあって、泡のように出たり消えたりしている。その中で、1つの泡がだんだん大きくなっていわゆる世論になる場合もあるだろうし、対立する世論が生まれることもある。
    『美味しんぼ』の鼻血問題が世間を騒がせましたが、あの経過をたどっていくと、最初は小さな泡が出来て、それに反発する泡が生まれて、両方の陣営に味方が出てきて、お互いに拮抗しながら大きくなっていって、最終的には世論を二分したかというくらいに拡大していった。
     こうした動きは無理に収束させないで、放っておいたほうがお互いの視野も広がっていいと思うのですが、政府は躍起になって鎮めようとしました。旧態依然たる発想だなと思いました。
    鈴木:そうですね。ネットにも世論にも、荒れることもあるし、悪い人間もそれは少数いるけれども、それ以上に大きな自浄作用があるわけですから、最後はそれに任せて、おおいに論議するのがいいと思います。ただ、それを怖いと思う人たちがいるわけです。

     
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