篠山紀信さんが亡くなられたことは、かなりショックだった。
 最後にお会いしたのは、おととしの六月。日大理事長の公式写真を撮っていただいたのだ。
「お祝いだからお金はいらないよ」
 とまで言ってくださった。
 篠山さんも日大芸術学部OBである。昨年のことで、がっかりさせたのではないかと非常につらい。
 思えば、要所要所でいろいろ撮っていただいている。作家でいえば、瀬戸内寂聴さんの次ぐらいはいったのではなかろうか。
 結婚式の時だって、ウェディングドレス姿の私を夫と一緒に撮影してくださった。この時は面白がって、わざわざ写真館と同じような台紙をつくってくださったのである。
 その後、「婦人公論」の表紙になった時は、ちょうど妊娠中であった。 
週刊文春デジタル