年をとると、寒さが本当につらくなる。
 朝起きて洗面所に行く。身じたくをしながら震える私。
「寒い……」
 そして私は毎朝能登の人たちのことを考える。北陸の寒さはこんなものではないだろう。そのうえ避難所で暮らしているのだ。床の上に直に眠っている。着の身着のままで、お正月以来、お風呂にも入れないと聞いている。
 私と同じような年齢の人たちが身を寄せ合うようにして、ストーブにあたっている姿をニュースで見るのはせつないものだ。なんとか早く、安全で暖かい場所を確保してほしい。国や県が二次避難場所を用意しても、行く人があまりいないと聞いた。住みなれた場所を離れたり、近所の人と別れたりするのに抵抗があるようだ。なんとかいい手だてはないものだろうか……。 
週刊文春デジタル