人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
 これといった用事もないのに家を出て、ぶらり散歩をする。そんなぶらりに昔から憧れはあるが、どうも性に合わないらしい。
 散歩は好きな方だが、その道中でついついぶらりに反する、目的ってやつを捜してしまう。
 貧乏性ってやつであろうか、目的を見つけ、それなりの達成感が欲しくなる。
 JRはそんな僕のような者に時折、スタンプラリーというものを用意してくれるが、電車を利用しているようでは散歩とは言い難い。
 しかし、ふだんはほとんど自宅と仕事場の往復だけ。
 これでは足腰が弱ってしまう。
 現在、66歳。その対策として週に1度くらい散歩を心掛けているのだが、ぶらりのセンスは一向に身に付かない。 
週刊文春デジタル