週刊文春デジタル
伊藤沙莉が文句なしだ。昭和初期の男女不平等な時代に、女性法律家の草分けとなった三淵嘉子さんがモデルの朝ドラ「虎に翼」で猪爪寅子(いのつめともこ)を演じる彼女の表情が断然いいんだよ。
納得できないと「はて?」と首をひねり、とことん正論をぶつけていく姿がチャーミングなんです。
一般的にいって、正論をふりかざす人は面倒くさい人が多い。しかし伊藤沙莉が演じる寅子は、戦前の不条理な現実には飽くまで抵抗し、女の前に立ちはだかる大きな壁に体当たりしていくが、妙な悲壮感はなく、その表情には明るい笑みさえ浮かんでいる。