人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
 老いるショックの影響で、このところ旧友との再会が増えてきた。
 なつかし話に花が咲き、別れ際には、「次、会う時が葬式にならんよう、互いに元気でいようや」の常套句が出る。誰しもそんな切なさを感じながら余生を送っているんだなぁー。
 などと思っていたところ、先日、それには全く該当しない電話が、何年かぶり、いや、十何年かぶりに掛かってきた。発信者はS、大学時代の友人だ。僕はケータイの名前表示を見た瞬間、嬉しかったけど、何か良からぬ知らせではないかと思った。 
週刊文春デジタル