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常に目標を持っている、常に挑戦する心を持っている。那須大亮は今、その時を大切にして戦っている。だから常に周囲への感謝を忘れず、常にいろいろなものを感じ取っている。だからチームのため、サポーターのため、仲間のために死力を振りしぼる。魂のディフェンダーが語るレッズでの日々──
[浦和レッズマガジン7月号掲載]
──後方の選手からすると、ペトロヴィッチ監督の目指すビルドアップからの縦パスなども連係が伴わないまま実践すると危険な失点局面を生み出してしまう恐れがあります。
「そうですね。どこが相手でも僕らがボールを保持する時間が長くなることが多い。その際、ただボールを持っていればいいわけではなく、上手く我慢してゲームをコントロールしながらパスワークをしなければなりません。そして、その際に後方から前方へしっかりと縦パスを入れないと攻撃のスイッチが入らない。そのスイッチの入れどころを探る作業が必要で、その点は意識していましたね。縦パスを相手にカットされてショートカウンターを受けるパターンは失点のリスクが増大します。それは相手の狙いでもある。かといって怖がって縦パスを控えていたら突破口を見出せない。縦パスを入れるタイミングとそのバランスは意識してきたつもりです」
──ペトロヴィッチ監督はチームの理想を追い求め、選手に厳しい指導を施すこともあります。それはリスクを冒した攻撃によってチーム状況を好転させる意思からなのですが、ピッチにいる選手はその監督のコーチングを受けながらも冷静に戦えている印象があります。
「監督が伝えようとしていることは選手たちにしっかりと届いていると思います。また局面の中で監督から指示があった時に『このような見方もあったのか』と勉強になることも多々あります。監督も選手も実際の試合になれば興奮して感情が高まります。その中でどれだけメンタルをコントロールできるか。それは肝に銘じるべきなのですが、監督は選手と違ってピッチの外から俯瞰して物事を見ていますので、的確な指示で選手を動かすことができます。選手の視点では見えないプレーも監督の視点からはしっかりと見えている場合がありますから、その都度指摘を受けるのは僕たち選手にとって非常に勉強になります。その点はとても助かっています」
──今季の浦和はAFCチャンピオンズリーグで残念ながらグループリーグ敗退に終わりました。
「もっとやれたなと。自分たちの力をうまく出し切らずに終わってしまった印象があります。その点ではとても悔しさの残る大会でした。コンビネーション面に関しては試合をこなすことで徐々に良くなっていたのですが、そのようなチームの向上が見られたのがACLのグループリーグを数試合戦った後のことだったのが残念でもあります。ただ、どのような形でも勝ち切りたかったです。少し不完全燃焼です。もちろん得られたものも大きかったのですが、2年前のACLのグループリーグで勝ち点10を得ながら突破できなかった悔しさを今回も払拭できませんでした。その点も残念ですし、サッカーの難しさを痛感したりもしました。欲を言えば今の時期に、今のチーム状態でACLのゲームを戦いたかったと思いますが、そんなことを言っても仕方ありません。難しいシチュエーションだったにしろ、それでも勝ち抜くことができなかった点はチームの力の無さだと思います。今季、またACLの出場権を獲得して、今感じている思いを来季以降に活かせたらなと思います」
──JリーグとACL、大会の違いは何か感じましたか。
「やはりACLは球際ですね。特に韓国勢からはそれを感じましたけども、それでも怖さを感じたわけではありません。どんな相手にも『強いな』という印象は抱きませんでした。2013シーズンにACLで戦った中国の広州恒大の方が個人の能力が高く脅威を感じましたね。今回は個人のインパクトというよりも自分たち自身のプレーレベルが上がらずに敗戦してしまった思いがあります。例えば今回のACLでは先制しながら逆転負けした試合がありました。別に守りに入ったわけではないのですが、上手く攻守を切り替えられず、ボールを動かしながら、人を動かしながらという僕たちのチーム本来の戦い方を実践できませんでした」