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■Putin Has His Own No-Fly Zone in Syria
By Josh Rogin「15-10/2 Bloomberg View」
おくやま です。
私のブログエントリー(http://geopoli.exblog.jp/24956922/)
に引き続きロシアのシリア空爆の報道について
コメントしたいと思います。
今回紹介した記事は、ロシアがシリア領内のラタキア県にある
アサド国際空港を空軍の主要拠点として新しく使用し始め、
その周辺に独自の「飛行禁止空域」(no-fly zone)を設置した、
ということを指摘しております。
単純にいえば、ロシアはシリア領内で
本格的に介入を始めたということですが、
ここで私が戦略学の観点から述べておきたいことが2つあります。
まず1つは、どうやら空爆を行う上で、
レーザーやGPSを使って標的をピンポイントで狙う
「精密誘導ミサイル」よりも、
「頭の悪い爆弾」(dumb bomb)と呼ばれる
「無誘導爆弾」を使っているということ。
この背景には、もちろんロシア軍の兵器が旧式のものであり、
精密誘導兵器がまだ本格導入されておらず、
そもそも軍全体のテクノロジーのレベルが
西側と比べてまだ低いという点が上げられます。
ただしそれに大いに関係してくるもう1つの点は、
ロシアがより正確に空爆しようとするなら(その本気度はわかりませんが)、
そのテクノロジーのレベルのアップと共に、
さらに正確なインテリジェンスが必要になるということ。
たとえば空爆の開始当初に
ロシアが病院を誤爆したという誤報が流れましたが、
このような副次的被害(コラテラル・ダメージ)というのは、
アメリカのように高い精度の精密誘導兵器を持っていたとしても、
そもそもそれを狙う場所が間違っていたら必ず発生するものです。
端的にいえば、正確な爆撃には
正確な標的の情報が必要になるのですが、
これは空爆だけでなく、テクノロジー全般にも広く言えることです。
たとえば新幹線はものすごい速度で走れますが、
それはそれを可能にする、
しっかりと整備された線路が存在するからです。
ネットは企業の単純な業務を効率化した
と言われていますが、逆にそのシステムをメンテナンスする
高度な知能を持った人間を必要とするようになりました。
テクノロジーの発展というのは、
ある一面では素晴らしい飛躍を社会にもたらしてくれるわけですが、
その飛躍は人間側にも別の問題を発生させるわけです。
たしかに西側の高度なテクノロジーによる
精密誘導兵器というのはピンポイントで
コラテラル・ダメージを発生させにくくなっているのかもしれません。
ただし、それには、どこに何があって
どこを狙えばいいのかを教えてくれる、
現地の詳しい情報が必要になってくるわけです。
そういう意味で、おそらく今回のロシアのシリア領内における
「飛行禁止空域」の設置は、空からの(無人機)などを使った
情報収集という側面もあるのかもしれません。
高度なテクノロジーを使った正確な空爆には、
現地で泥臭いやり方で集めた情報が必要になってくる・・・
私が気になったのは、このテクノロジーの発展の両面性。
これこそが戦略のパラドックスなのかもしれません。
http://www.realist.jp/strata.html
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(担当:紫@管理人)
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ゲルニカのように狙いは鉄道の交差点なんだけど、当時の照準器の限界でピンポイントに爆弾を落とせないから街ごといっとくか、という時代よりはまあ利口になったのかもしれません。
野戦においても大砲の性能は伸びてるのに観測ができないという理由で第一次世界大戦までは、砲兵の任務は敵を目視できる距離で敵の銃火を浴びながら射撃することでした。